上丸子山王町マンホールポンプ制御盤についての問い合わせ
被災された上丸子山王町にお住まいの方から
「山王町の三差路近くにあるマンホールポンプ制御盤はなにをしているモノなのか?」
とのお問い合わせを頂きました。私も正式名称は分からなかったのですが、おおよそ検討がつきましたので、現地へ。その施設は上丸子山王町2丁目西側交差点付近に設置されています。
画像に番号を追加しましたが、それぞれのゲージの機能について、上下水道局から説明を受けました。
①電源電圧⇒マンホールポンプの電源電圧を表示しています。
②NO2特殊人孔水位⇒2017年に建設された丸子その1雨水幹線内の水位を表示しています。
③丸子その1幹線水位⇒丸子その1雨水幹線内に設置されたマンホールポンプによってくみ上げられた水の排水先となる丸子その1幹線の水位を表示しています。
④及び⑤NO1マンホールポンプ、及びNO2マンホールポンプ⇒どちらかが故障してしまった場合も作動するように予備のポンプも含めた作動電流を表示しています。
丸子その1雨水幹線とは…
2017年に丸子地区の浸水対策として完成した施設で、地下17m~20mの深さに設置され、時間雨量58mmにも対応できること及び時間雨量92mm(既存最大降雨)に対して床上浸水(浸水深45cm)が発生しないことを目標に計画されたもの。
排出先の丸子その1幹線の水位を見ながらポンプを作動させており、ポンプ作動時、地下20m(終点にあるマンホールポンプ設置深さ)からくみ上げられた水は、丸子その1幹線⇒丸子ポンプ場に繋がる丸子その2幹線の順に排出されるとのことです。
いわば雨水貯留管のような役割をしている丸子その1雨水幹線のスペックは
- 貯留量 8200㎥
- 内径 2.4m
- 延長 1800m
一方で、台風19号により浸水被害の報告が出なかった平間、古市場地域にある「平間貯留管」のスペックは
- 貯留量 5300㎥
- 内径 2.4m
- 延長 1167m
容量は丸子その1雨水幹線の方が上、長さが違うため一概にが言えませんが、ほぼ同程度以上の能力をもった施設とはいえそうです。
しかし、同じ貯留管を要する地域であったにも係わらず、丸子地区でのみ浸水被害が発生しました。以下のグラフが昨年10月12日、台風19号通過時の丸子その1雨水幹線の水位を記録した、中部下水道事務所から提出された資料です。
この資料によると、この雨水幹線内の水位が10月12日の15時30分過ぎに急激に上昇します。また以下のグラフが台風19号通過時の中原区内の雨量の記録です。
台風通過時、中原区内で一番降雨があった井田消防署の観測地点データですが、最大時間雨量は14時の25mm、丸子その1雨水幹線が時間雨量最大58mmを想定して計画、設置されていたものであるならば、内地の降雨だけであれば、まだまだ貯留、処理することができたのではないか、つまりグラフで示す雨水幹線内の水位の急上昇は多摩川の逆流の影響があったのは明らかです。
「逆流が始まった時点で樋管ゲートを閉めていれば、丸子雨水幹線の能力を最大限発揮できたのではないか?」
12月議会の一般質問でもこの点は指摘させていただきました。
台風19号において樋管から多摩川の逆流によって浸水被害が発生した五カ所は排水ポンプが設置されていないという共通点があるとされていますが、厳密に言うと、上丸子山王地域に関しては、ポンプ場へ通ずる排水路がありました。
「ゲートさえ閉めていれば、そもそもこの水害自体おきなかったのではないか?」
被災された方からはこんな声も聞こえてきます。この地域の方々は度重なる浸水被害の度に、町会を通じ市へ改善の要望、交渉を行なってきたとお聞きしました。長く暮らす地域の方は、この地域にどんな浸水対策が施され、どのような対応が必要だったかということを分かっているのです。
1月23日、市長の記者会見では、昨年末から始まった川崎市による検証委員会について、事前告知(議員も含め)されることなく開催されたことについて、市長に対し記者から厳しい指摘が出ていました。
http://www.city.kawasaki.jp/170/page/0000113451.html
少なくとも、検証委員会は公開の形で行なうべきではないでしょうか?一般質問の中で、検証過程で行なう浸水シミュレーションにおいて、樋管ゲートを閉鎖した場合の浸水シミュレーションも行なうと答弁がありました。樋管ゲートを閉めていれば、この浸水被害はどうなっていたのか?
危険が迫り閉められなかった東京都側と比べ、総合的な判断として、積極的にゲートを閉めなかった本市には、その検証、説明責任があります。
山王排水樋管ゲートに通ずる道路。今日も被災地には沢山の業者さんが入り、修繕作業が行なわれています。