日本共産党
川崎市議会議員(中原区)

市古次郎

ブログ
2020年1月29日

平間駅踏切改善までの経緯と、これからと

 止まない雨はない。開かない踏切は…

 「大田・神奈川線は平間駅の踏切等で大変渋滞をしておりますが…」

 平間の踏切が議会で初めて言及されたのは1992年。忘れもしない、阪神がパチョレック、亀山、オマリー、新庄で快進撃をした年、私が教室の後ろに「日めくり優勝までカレンダー」を設置した中2の時ですから約30年前に遡ります。それから議会で度々取り上げらていたようですが、大きな改善はみられない、放置と云っても過言ではない状況が続いていました。

①きっかけ

 2018年、日本共産党川崎市議団が実施した「暮らしと市政に関するアンケート」で上平間にお住まいの方から

 「平間踏切の開閉時間の調査をお願いしたい」

 との声が寄せられます。

②調査開始

 当時予定候補者だった私はストップウォッチを持って調査開始。初めての調査は2018年8月10日。8時~8時半までの30分あたり開いたのは僅か2分。その後、そもそも開かずの踏切の定義とは「1時間で40分以上開かない踏切」ということを知り、1時間あたりの調査開始。

  • 9月20日 7時半~8時半 遮断時間 51分(開いていた時間9分)
  • 10月11日 8時~9時 遮断時間約52分(開いていた時間7分40秒)
時には父と。

③JR初交渉

 ちょうど同時期に、地域の方々が署名活動を開始、あっという間に453筆が寄せられ、その署名と調査結果を持ち、2018年11月13日、住民の皆様、はたの衆議院、君嶋県会議員と共に平間踏切遮断時間改善を求めJR東日本横浜支社へ主に以下の項目を要望。

  • ピーク時、1時間あたりで踏切が開いている時間は平間駅約7分に対し、隣の向河原駅は約14分。せめて向河原駅レベルに改善して欲しい
  • 踏切内の危険なブロックがあり、歩行者帯が狭い為、足を引っかけて転倒した人がいる。ブロックを除去して欲しい
  • 歩行者帯の緑の塗装が剥げてしまっている。塗り直して欲しい。

 数日後、回答があり、踏切遮断時間の短縮については向河原駅に比べ、平間駅は停車位置と踏切の距離が短い為、オーバーランなど安全面を考慮すると改善は難しいとの回答。しかし、1点だけ…

 歩行者ゾーンの塗装は対応いただき、僅かですが、安全な踏切へ前進。

④マスコミ報道

 この交渉の様子を君嶋県議がブログへ掲載したところ、スポーツニッポンから取材依頼(掲載18年12月10日)。取材対応をすると、あまりの踏切の開かなさ、それを知り遮断機を押し上げ渡っていく利用者の姿に記者さんが驚いていました(いつもの光景なので少しこちら側が麻痺していたかもしれません)。翌日には大きな枠を割いて掲載。

8時~9時の下り線本数は23本 下りだけで23×1分50秒=42分超。ここに上りも加わるので、1時間あたり14分開いたのは奇跡的(我々の調査ではこんなベストタイムは出ませんでした…)

 その約1週間後、TBS(ビビット)からも取材を受け(放送18年12月13日)、多くの方々に平間の開かずの踏切を知って頂ける機会となりました。しかし一方で、渡る側のマナー問題との文言も…そしてこの報道を皮切りに、フジテレビ、テレビ朝日、NHK、テレビ東京、次々と報道されていくことになります。

⑤他線調査

 しかし、JRからの回答は踏切の遮断時間短縮は安全面を考慮し、難しいとの回答。もちろん安全面が担保されないのであれば、素人の私が無理な要求はできません。しかし、インターネットで調べていると

「西武線には開かずの踏切がない」

 という書込が。18年12月18日、平間駅同様踏切と駅のホームが近い西武線ひばりヶ丘駅へ。近くの飲食店の店員さんにお聞きしたら

「そこの踏切、朝は開かないっすよ。」

…あれ?開かずの踏切ないんじゃ…ネット情報だけに踊らされず、現地に足を運ぶことがいかに大事かを再認識した上で調査開始。

平間より駅から踏切が近いです

 結果、明らかに西武線の方が遮断時間が短いことが判明。特出すべきはホームに停車してから踏切を通過したときの遮断時間が6両編成の南武線より8両~10両編成の西武線の方が約30秒短いこと。この30秒の差はなにか?それは踏切の警音が鳴ってから電車が停車するまでの秒数でした。

 西武線ひばりヶ丘駅、警報が鳴ってから電車が停車するまでの時間約21秒。一方南武線平間駅…

53秒。約30秒差!

 一方で平間踏切報道の過熱を受け、警察の取締も散見するようになります。

⑥2回目のJR交渉

 警察の取締を見て再認識したことは、道路交通法上では警音が鳴った瞬間に踏切内の侵入が禁止されます。つまり、今までの私達の調査も、マスコミ各社の調査も法令上の原則でいくと全て間違っていたということになります。要するに、法令遵守でいけば、平間踏切はもっと横断できる時間が少ないことに。再調査の結果、ピーク時の踏切横断可能時間は…

1時間あたり僅か、4分44秒

 その現状も改めてお示ししながら19年3月19日、2度目のJR東日本交渉へ。

「西武線は平間駅より駅と踏切が接近している場所でも遮断時間が30秒短いですが、JRさんの解釈によると西武線は安全面を考慮していない危険な踏切になってしまうのか?必ず改善策はあるはず。」

 と改めて重ねて改善要望を伝え、

⑦議会でも

2019年6月議会

 市会議員となって初めての一般質問の中でも、現状をお伝えし、改善策としている南武線高架化は少なくても20年先との答弁もあり、今まで放置されたことを鑑みればそんなに待てない。道路管理者(川崎市)として改善をJRへ要望することを訴えさせて頂き、

19年12月議会

 次の一般質問でも、平間踏切の報道が1年間で13件と過熱しているなか、威嚇ともとれる南武線では前例がない看板を、川崎市も連名で設置したことを取り上げ、

 下り線の遮断時間が長すぎる、課題点、改善点は明白であるのだから、看板を設置する前にやるべきことがあるはずと要望を伝えさせて頂き、

⑧三度目のJR交渉

 19年12月19日三度目のJR交渉。

 明確な改善策は示されなかったものの、踏切時間短縮のシミュレーションは行なっていると回答。

 19年末には、当初から要望していた歩行者ゾーンのブロックが一部除去され、安全な踏切へまた一歩改善が進んだと喜んでいたところ…

⑨ついに

 20年1月23日、踏切の遮断時間短縮の公式発表。下り線の遮断時間の改善というまさに満点回答。

 実は3回目のJR交渉のあと、一人で帰っていると対応して下さったJRの職員の方とバッタリお会いし、

「あまりこんなこと言っちゃいけないんだけど、私鉄とうちは規定が違うのよ…」

 JRなんだから踏切を改善する金なんかいくらでもあるだろ、ケチなだけだよ。なんて声もよくお聞きしましたが、やはり大きな企業になればなるほど、一度決まった規定を変更するのは難しく、身動きがとりにくいこともあったのかもしれません。東日本中から上げられる様々な課題の中で、なかなか改善費用の決済が降りにくいという状況も想像できます。 

 今回の平間駅の改善は下り線の停車位置を10m下げることにより賢い踏切の導入が実現するようですので、西武線とはまた違ったJRの規定を守った上での、しかも10m下げるとなりますとホームの増設も必要になってくる、

※1月30日追記 現地を確認しますと、約10mホームに余力がありましたので、点字ブロック等、ホームの再整備で対応可能かもしれません

 システム導入に加えホーム増設(整備)費用も要します。歩行者ゾーンの再塗装、ブロックの除去を含め、住民の声に耳を傾け、様々な状況の中、知恵を出して対応してくださったJR東日本の職員の皆様には心より感謝申し上げつつ、

 中には茶化すだけの報道もあったのかもしれませんが、最初に報じてくれたスポーツニッポンの記者さん、そしてTBSさんなんかは、JR西日本で新たな踏切D-TAS方式を採用したと紹介し、具体的な改善策を示して頂くなど、真摯に取り上げてくれたマスコミ各社の皆様にも心より感謝申し上げつつ、

 決して諦めることなく行政としてJRと交渉を続けてくれた川崎市建設緑政局の皆様にも心より感謝申し上げつつ、

 なにより、アンケートに声を上げて頂き、その声を署名という形で広げ、一緒にJRへ声を届けてくれた住民の皆様に心より、心から感謝申し上げます。

⑩これから

 JRからの発表があった翌朝(1月24日)平間踏切手前(市ノ坪側)で人身事故が発生。平間駅で朝の宣伝をやっていた際、出勤途中のパパ友さんから聞き、すぐに駆けつけますと、汗を流して被害者の方が座り込んでおられました。踏切を通過し緩やかに左へ曲がる際、道が狭い為運転操作を誤り巻き込んでしまったようですが、その車は走り去ってしまったとのこと。救護対応に当たられていた方達と一緒に救急車を待っていますと、すぐに救急車は見えたのですが、踏切で15分以上立ち往生。

平間駅側より地域の方が撮影
事故現場は踏切を渡った先

 被害に遭われた方の意識はあり、ご自身で立ち上がれる様でしたが、身体は車とフェンスに挟まれ圧迫されたようですので、大事に至らないことを願っております。警察もすぐに駆けつけ捜査をはじめています。

事故現場

 踏切の遮断時間短縮の実現はされたものの、狭すぎる歩道等、平間踏切を取り巻く危険な環境は全て取り除かれたわけではありません。

 今後も周辺道路の拡幅、新たな改札口の設置、そして高架化事業等、さらなる安心安全な踏切に向け住民の皆様とご一緒に取り組んで参ります。

 引き続き。


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