日本共産党
川崎市議会議員(中原区)

市古次郎

ブログ
2024年9月12日

代表質問(抜粋) 特別休暇を不正取得したとする教職員への処分について

まえがき

まず、処分の報道発表を改めて。

 この報道発表は1年と7カ月前。資料には文書注意を行った職員については給与、勤勉手当の減額とはっきり記載があります。なぜこの時にもっと聞き取り調査をしなかったのか…

 正直言い訳になりますが、この情報提供があったのが令和5年の2月。市会議員の改選前。

 まだ私は文教委員会に所属しておらず、議員宛の報告だけを見てスルーしていたことになります。

 しかし今年7月の東京新聞の報道で、その実態を知ることになります。

コロナ禍の混乱中、女性教諭が出勤したら…「給料28万円返納を」 川崎市教委「特別休暇の不正取得」 https://www.tokyo-np.co.jp/article/342570

 以下、代表質問の質疑です。

 ※正式な議事録ではありません。

特別休暇を不正取得したとする教職員への処分についてです。

設問1

 教育委員会は新型コロナウイルス感染症対策に伴う保育所等の臨時休業や登園自粛要請により子ども等の世話を行う事由で特別休暇1号を取得した教職員26人について、不正な取得が認められたとして戒告、文書注意を行い、本来勤務できたのにそれを怠った「不参」として、給与、勤勉手当を減額し返納を求めました。

 7月25日、文書注意を受けた教員が多額の返納を不当だと訴え、市人事委員会に措置要求を行うと報道がありました。記事によると、3日間、特別休暇を申請していたが、生徒が写真撮影などで1~2時間ほど登校するのに立ち会うため、出勤の必要が生じ、子どもを短時間保育に預けて勤務されました。しかしこの対応が、本来勤務すべきなのにしなかった「不参」と認定され28万円分の返納を求められています。いずれの日も管理職に了承を得て出勤、教員の方は「職務を全うしようと思い、保育園に頼み込んで子どもを預けて仕事に行った。久々の登園で何かあればすぐにお迎えに行ける状態にしたかった」と休暇のまま短時間勤務した理由を説明されています。なぜ勤務した教員に給与の返納を求めるのか伺います。

 この処分理由について教育委員会は、公務に対する信用を著しく失墜させ、全体の奉仕者としてふさわしくない非行と認められるとしていますが、子ども達の為にと献身的に職務を全うしようとした教職員のどこが「信用を失墜させた非行」なのか伺います。

 不参についてです。不参とは一般的な無断欠勤に近い取り扱いとなりますが、その適用要件は、川崎市教育委員会職員服務規程、第13条の3に「無届若しくは勤務命令に反し」としています。当該教員は、特別休暇の届けを出しており、管理職からの了承を得ています。これでなぜ、不参が適用されるのか伺います。

答弁(教育次長)

 特別休暇の不正取得にっいての御質問でございますが、はじめに、不参の適用につきましては、特別休暇1号の不正取得に伴い、無届で正規の勤務時間中に勤務しなかった時間が生じたこと、また、勤務したとする時間において、正当の理由がなく1C力ードによる出退勤情報の登録を怠り正規の手続をしなかったことから、川崎市教育委員会職員服務規程に基づき、不参としたものでございます。
 次に、給与の取扱いにつきましては、不参があったことから、川崎市職員の給与に関する条例等に基づき、改めて算出した給与額と、既に支給済の給与額との差額につぃて、返納を求めたところでございます。
 次に、文書注意につきましては、特別休暇1号を不正に取得していたこと、当該休暇申請の取消し、修正の手続を職員自身が怠ったことから、全体の奉仕者としてふさわしくない夛断テであるとしたところでございます。

設問2

 「不参の適用について、特別休暇の不正取得を行った」と答弁がありました。コロナ禍の混乱期、登園自粛要請に応えようと特別休暇を事前に届け出て取得したことのどこが不正取得なのか伺います。

 生徒の為に献身的に勤務した先生のどこが全体の奉仕者としてふさわしくない非行なのか伺います。

 不参の要件は「無届若しくは勤務命令に反し」た場合です。届け出を出して登園自粛に協力していた時間を「無届」として、本人に何の説明もせず2年後に突然、不正取得したとして「不参」を適用することは、あまりにも唐突で、妥当性を欠いた判断であり、懲罰規定の濫用ではないですか、伺います。

 本来献身的に働く教員を守るべき教育委員会が、当初、特別休暇が時間取得できることを知らせず、教員の特別休暇取得中の出勤を管理職が許可していたことを把握していたのに出退勤情報の修正の機会さえ与えませんでした。この教育委員会の不十分な対応を棚に上げて、28万円の返金を求めること自体が不当な請求ではないのか伺います。

答弁(教育次長)

 特別休暇の不正取得についての御質問でございますが、はじめに、不正取得とした理由についてでございますが、特別休暇1号は、川崎市職員の勤務時間、休暇等に関する規則において、「その都度必要と認める時間」に取得できると定めておりますが、当該職員は保育所からの登園自粛要請に応じ、子の世話をするためとして特別休暇1号を1日単位で取得した日において、実際には子を保育所に預けていたことが確認されたためでございます。
 次に、文書注意の理由につきましては、特別休暇1号を不正に取得し、また、当該休暇申請の取消し、修正の手続を職員自身が怠ったことによるものでございます。次に、不参適用の経過等につきましては、令和4年度実施の調査において、令和2年度の不正取得が確認され、特別休暇1号が取り消されることとなり、無届で正規の勤務時間中に勤務しなかった時間が生じたこと、正当の理由がなく出退勤情報の登録を怠り正規の手続をしなかつたことから、不参としたところでございます。
 次に、給与の取扱いにつきましては、本事案の事実経過等を踏まえ、川崎市職員の給与に関する条例等に基づき、返納を求めたところでございます。

設問3

 どこが「不正」なのかという問いに対し、登園自粛要請に応じ、特別休暇を1日単位で取得した日において、実際には子どもを保育所に預けていたことが確認されたためという答弁でした。これではまるで、ずる休みをしたかのような答弁です。しかし預けた理由は「職務を全うしようと思い、保育園に頼み込んで子どもを預けて仕事に行った」とのことです。コロナ禍の混乱期、登園自粛要請に応じ、職務を全うしようとした先生のどこが「不正」なのか改めて伺います。

 特別休暇取得について、時間単位で取得していなかった教員に対して、短時間取得していないことを知らせて修正すれば済む案件です。修正していないと分かった時点で、なぜ、本人に知らせなかったのか、伺います。

 修正すればそれで済む案件を、届け出を無届とし、子どもたちのために出勤した教員に対して、勤務命令に反する行為である「不参」と断定して、給与1か月分に当たる28万円を請求することは、懲戒処分の濫用ではないのか、伺います。

 最後に教育長に伺います。登園自粛要請に応じ、生徒の為に勤務した先生に何ら寄り添わず、事情を考慮せず、懲戒規定を一方的に適用し28万円の給与の返納を求めることで本当に良いのでしょうか。教育者として正しい判断なのか伺います。

答弁(教育次長)

特別休暇の不正取得についての御質問でございますが、はじめに、不正取得とした理由につきましては、当該職員が保育所からの登園自粛要請に応じ、子の世話をするためとして特別休暇1号を1日単位で取得するとした日において、実際には子を保育所に預けていたことが判明したことにより、当該休暇の取得事由に該当しなくなったためでございます。
次に、当該休暇の修正等についてでございますが、特別休暇は、職員が規則等に定める特別の事由を明らかにして申請し、承認を得て取得するもので、その取消・修正の手続は、職員自らが速やかに行うものと捉えております。
次に、不参及び給与の返納の取扱いにつきましては、川崎市教育委員会職員服務規程に定める不参の要件に該当したことに伴う措置であり、懲戒処分とは異なるものでございます。

答弁(教育長)

 特別休暇1号についての御質問でございますが、子どもたちを正しく教え導くという重要な責務を担う教員は、法令や規則等を遵守することが、より高いレベルで求められる立場にあります。
 本事案は、事実関係を詳細に調査し、関係法令等に基づき、適切に対応したものと考えているところでございます。

最後の意見

 教育長の答弁に「教員は、法令や規則等を遵守すること」とありました。

 登園自粛要請に応じ特別休暇1号を取得する為に事前に申請を行なったことは規則に沿ったものです。

 しかし、生徒が写真撮影などで1~2時間ほど登校に立ち会うために出勤の必要性が生じたため、子どもを短時間だけ保育園に頼み込んで勤務しました。本来、規則通りに休暇が取れたのに、必要に応じて出勤したのです。この行為が公務員としてあるまじき非行でしょうか、正規の手続きで届出を出していたのに、何ら説明も修正の機会も与えられることなく一方的に無届、不参となることを誰が理解できたでしょうか。事実関係を詳細に調査したとも答弁がありました。その事実の中に先生の不正取得の意図はあったでしょうか。子ども達を教え導く重要な責務を投げ捨てる行為があったでしょうか。

 本市でも初めての保育所の登園自粛要請等、誰もが経験したことのない混乱のコロナ禍での対応だったことは全く考慮せず、特別休暇が時間単位で取得できることも後から周知し、届出を出していたのにそれを「無届」と職務規定に一切記載のない運用を行い、献身的な先生を「非行」と切り捨て、28万円の返納、生涯賃金にも影響する勤勉手当の減額まで行う教育委員会の処分は、社会観念上、著しく妥当性を欠き裁量権を濫用した処分であり、断じて容認できることではありません。申請漏れ等を理由に文書注意を行なった教職員の給与、勤勉手当の減額処分の速やかな撤回を求めておきます。


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