日本共産党
川崎市議会議員(中原区)

市古次郎

ブログ
2021年3月9日

予算審査特別委員会② 感染症予防費について

感染症予防費について

※正式な議事録ではありません。

5款7項3目感染症予防費について、健康福祉局長に伺います。

質問①

 1月19日に本市「新型コロナウイルス感染症総合ページ」に配信された動画「かわさきコロナ情報#39」で健康安全研究所、感染症対策課、各区衛生課のひっ迫した状況が伝えられました。その中で、川崎区、中原区衛生課の職員の方が、「毎日、もう今日が限界だな。を更新している」「仕事の終わりがない」という発言を紹介しています。この動画の撮影日は1月8日となっていますが年末年始から1月中旬以降、市内各区の衛生課の業務状況はどのようになっていたのか、伺います。

かわさきコロナ情報#39 保健所などコロナ対応部署の現状 – YouTube

答弁①

 市内各区の勤務状況についての御質問でございますが、年末から年始にかけましては、新型コロナウイルス感染者数の増加に伴い、陽陛者の疫学調査や健康観察、入院調整等で、各区役所衛生課の業務は、大幅に増加しておりました。

 本年1月8日の緊急事態宣言後におきましても、新規の感染者数は減少傾向にあったものの、依然として状況は厳しいものと認識していたところでございます。

質問②

 動画撮影日の1月8日以降も厳しい状況が続いていたことを認識していたということですが、1月中旬過ぎに、中原区内に在住の方から連絡を頂きました。その内容は、新型コロナウイルスに罹患し自宅療養となったが、家庭内感染が不安の為、同居の家族の検査を衛生課に要望すると、「今、中原区では無症状の濃厚接触者の検査はできない。ご心配であれば自費で受検して欲しい」と言われたとのこと。家庭内感染が拡大しているさなか、同居の家族の検査もできないとお聞きし、すぐに中原区衛生課に確認しますと、「検査をしないわけではないがとても順番が回る状況ではない。現状では高齢者や基礎疾患をお持ちの方等、重症化リスクが高い方を優先して検査を行っており、無症状の方は症状が出た方から検査している」とのことでした。中原区のHP「新型コロナ濃厚接触者の健康観察について」の欄には、患者が自宅療養する場合は、患者の同居の家族は濃厚接触者に該当し、患者と最終接触日の翌日から14日間の健康観察期間中に初期スクリーニング(PCR検査)を実施します。と記載があるにも関わらず、

川崎市中原区:【新型コロナ】濃厚接触者の健康観察について (city.kawasaki.jp)

 検査ができない状況。罹患されたご家族の不安は計り知れないものだったと思います。

 1月20日付で神奈川県健康医療局医療危機対策本部室から各保健所設置市宛に発出された「積極的疫学調査」に関する通知には、原則無症状の濃厚接触者の方は、14日間の自宅待機のみが記載されており、症状が出た場合に保健所等に相談、検査対応については言及されていません。

積極的疫学調査の重点化の徹底 – 神奈川県ホームページ (pref.kanagawa.jp)

 つまり無症状の濃厚接触者は検査しないという方針のようですが、本市は県の疫学調査縮小方針については、そのまま採用しないとしていました。しかし中原区衛生課の状況を聞き、市の感染対策はここまで後退してしまったのかと危機感を覚え、中原区よりも感染者数が多い川崎区衛生課に同居の家族の検査対応をお聞きしたところ、「2、3日お待たせすることもあるが、症状の有無に関わらず初期検査を実施し、症状が出たら改めて検査を行っている」という驚きの回答でした。なぜ中原区の衛生課の対応がひっ迫したのでしょうか、ディスプレイをお願いします。

 3月3日時点の市が発表している資料での居住区別の感染者数は川崎区1857名、中原区1239名。事前の聞き取りでは、衛生課の職員のみの人員は川崎区26名、中原区21名とのことですので、単純に衛生課の職員一人あたりの対応感染者数を出しますと、川崎区71.2人、中原区58.5人となり、

 区ごとの感染者数だけでは計り知れない部分があると思うのですが、市感染症対策課として、各区の状況についてどのように把握しているのか伺います。

答弁②

 区の状況についての御質問でございますが、

 区役所衛生課においては、居住区の患者発生に伴い患者や濃厚接触者の調査及び検査について対応しているところでございます。

 また、感染症法に基づく患者が発生した場合には、診断した医師が最寄りの区役所衛生課に届出をすることとなっており、届出を受けた区役所衛生課は患者の居住地に関わらず、届出医師に届出内容を確認し、入院している場合には患者調査を実施することになります。

 このことから、居住区の患者発生数のみで区の業務量について評価を行うことができない状況でございます。

質問③

 居住地に関わらず、診断した医師が最寄りの区衛生課に届け出を出すということですので、例えば中原区では大学病院等の中核病院が複数あるわけですから、近隣地域の陽性者の増加によって業務が集中する可能性が高く、また他の要素も調べてみますと、例えば陽性者が出た場合に追跡調査に時間を要する保育園の数は、認可保育園の比較で、2番目に多い高津区59か所、中原区90か所と突出しています。実際に3月までの時点で新型コロナにより臨時休園になった中原区の保育園は51園中15園と約3割を占めているわけです。

 川崎市: こども未来局 報道発表資料 (city.kawasaki.jp)

 その後も中原区の保護者の方からは、同じ習い事先で陽性者が出た際、幸区の子どもは検査してもらったようだが、中原区はしてくれなかったという声も届きました。なぜ同じ川崎市なのに…保護者の募る不安、不信感は容易に想像できます。

 感染予防対策は自治体として均一な対応を取るのは当然であり、あちらの区は検査して、こちらの区は検査しないということは到底、容認できません。また症状がでたら検査するという対応は、和歌山県知事が1月22日付けのメッセージで濃厚接触者の症状の有無によって検査対象を決める神奈川県の疫学調査の諦めとも取れる方針を批判されている通り、感染拡大に歯止めがかからなくなり採用するべきではありません。

知事からのメッセージ 令和3年1月22日 | 和歌山県 (wakayama.lg.jp)

 本市は本庁の感染症対策課を保健所として、七つの行政区に支所を設置する形で保健所業務を行っています。つまり市の方針に沿って業務を行っているわけですから、中原区だけに限らず、ある区では例えばクラスターによる業務集中などで現場だけでは対応困難な状況となり、いわゆる保健所崩壊に陥る危険性をいかに食い止めるか、これは本庁保健所の責務だと思いますが、例に挙げた中原区の状況について、当時の対応、今後の対策についても伺います。

答弁③

 各区の状況についての御質問でございますが、

 令和2年2月から、各区衛生課と電話会議を行い、国や県から発出される通知の共有や、各区の状況を確認し、情報共有するとともに、個別の事例に関しては、直接、当該区と調整を図ってきたところでございます。

 その後、相談業務の増加に伴い、令和2年3月からは各区1名ずつ、また患者発生数の増加に伴い、令和2年5月からは各区の希望通りの人数の看護職等を派遣して、業務の負担軽減に対応してきたところでございます。

 今後におきましても、各区及び庁内関係機関と連携を取りながら、必要な対応を図ってまいりたいと存じます。

設問④

 2月から情報共有を行い、5月から各区希望通りの看護職等を派遣して負担軽減に対応していたにも関わらず、冒頭で紹介した市の動画の中での職員の声は「限界」「終わりが見えない」です。そしてついには区によって感染防止対策に差異が生じていたというのが実態です。暮らしている区がダメだから、隣の区に相談しようなどと市民の方に保健所を選ぶことはできません。○○区だけはできない。というような差異は二度と起こらぬよう、更なる人員配置や現場に丸投げしない綿密な情報共有を図り、再発防止に取組んで頂ければと思います。

 関連して、代表質問でも取り上げた学校、保育園で陽性者が出た際の対応についても伺います。まず保育園では2月下旬に複数の園で集団感染が確認され、予断を許さない状況が続いておりますが、複数の感染者が確認される背景には、可能性がある園児、職員を対象にした集中検査を行っているからと推察します。我が党の代表質問の中で、「児童等の感染が判明した場合、場合によっては濃厚接触者に至らないまでも、検査範囲を拡大して実施する」という答弁がありました。具体的に保育園では、どのような場合に集中検査を実施しているのか伺います。

答弁④

 検査についての御質問でございますが、

 保育園等の施設で感染者が出た場合の検査につきましては、クラスターの発生状況や施設の特徴、園児や職員の行動歴などを考慮した上で、感染拡大を防止する必要がある場合には、濃厚接触者の定義を超えて、幅広く検査を実施しているところでございます。

質問⑤

 保育園は必ずしも園児達がマスクができない状況に加え、詳細な行動歴調査も容易ではないわけですから、ご答弁にある、感染防止の見地に立った幅広い検査を、積極的に行って頂くよう、今後も対応を注視させて頂きます。

 次に学校での検査対応についてです。我が党の代表質問でも取り上げた22名の感染者が出た学校の件をもう少し掘り下げますと、一人の陽性者が12月5日に確認されてから、12月9日に59人のいわゆる集中検査を行い、6名の集団感染が確認されました。

 その後も同学校から12名の陽性者が12月19日の間までに確認され、お示ししている図には入り切りませんでしたが、さらに21日までに3名、合計で22名となり、2度の臨時休校にいたるまでに感染が繰り返されました。代表質問では

 

 最初の7名と次の12名の関連性について、学校外の近隣施設においての感染であり、最初の集団感染から新たな感染は確認されていないという教育次長の答弁でした。しかし、その後の12名の中には、12日13日に陽性が判明。

 その方の発熱などの症状発症日は11日となっています。新型コロナウイルス感染症のPCR検査陽性期間は、発症2日前からと言われていますから、もし、

 12月9日の6名の集団感染が確認された時点で、いっきに検査対象を広げて、代表質問でもご紹介した三浦市のように全生徒、職員の一斉検査を行っていれば、

 13日の判明よりも早く陽性を確認することができ、保護できたのではないでしょうか。さきほどご紹介した和歌山県知事の1月22日付けのメッセージでは他にも、コロナ対応においての保健医療行政は何をすべきかについて、

 1.早期発見2.早期隔離3.徹底した行動履歴の調査4.保健所の統合ネットワークとしての運用を挙げています。結果、和歌山県内の2月中旬以降の新規感染者は多くても1日4名。ほとんどの日が0名、1名と確実に感染拡大を抑え込んでいます。

和歌山県における新型コロナウイルス感染症発生状況 | 和歌山県 (wakayama.lg.jp)

 当該学校の感染拡大について、1度目の学校内と、2度目の学校外の近隣施設が起因すると言われている連続集団感染は、感染、症状が確認された間隔の近さ、把握しきることが容易ではない学校内での生徒たちの行動歴などを考慮すれば、無関係であるとは言い切れません。そして一斉検査を行い、一人でも多く早期発見ができていれば、学校関係者だけで22名にも及ぶ、そのご家族を含めればさらに多くの陽性者を出した、ここまでの感染拡大を食い止めることができたのではないでしょうか。従って学校で陽性者が確認され、一度目の集中検査で集団感染が確認された場合、さらに対象範囲を広げて一斉検査を行うべきと考えますが、見解を伺います。

 また一方で、感染拡大が複数校に及ぶなか、近隣の学校からは保護者宛に「大規模な検査を実施することはできない」という文書が当時出されています。3月現在、例えば、当該学校、全校生徒、職員900名の一斉検査は可能なのかも併せて伺います。

答弁⑤

 学校における検査についての御質問でございますが、感染者が確認された場合については、学校関係者と連携して疫学調査を実施し、濃厚接触者の方のみならず対象範囲を拡大して検査を実施している状況でございます。

 次に、一斉検査につきましては、検査が可能な民間検査機関数が増えたことから、検査を実施することは可能となってきている状況はございますが、今後につきましても、感染拡大防止や重症化予防の観点から、引き続き、検査が必要な方に対して適切に対応してまいりたいと存じます。

意見・要望

 900人規模の一斉検査も可能ということがはっきりしたわけですから、あとは必要と判断された場合は、ぜひ積極的に行って頂きたいと思います。しかし、ここまで、学校での集中検査実施回数は1回のみ。

 触れたおきたいのはそこに至るまでの、疫学調査、いわゆる事前の聞き取り調査です。川崎市内と他都市に付属校がある、ある学校では、ほぼ同時期に双方で新型コロナウイルス陽性者が確認されました。その際、本市と他都市、双方の聞き取り調査に立ち会った方の印象は、本市の調査はどこか牧歌的で「ここは大丈夫なんですか?」「あちらはいいんですか?」と学校側から対応を提案しながら決めていく状況だったそうです。一方の他都市の場合は最悪のケースを想定した細部にわたるまでの聞き取り調査が行われ、緊張感が全く違っていたとのことです。

 現在の市の感染状況は、3月3日付けで感染症対策課が発出している「今、何の病気が流向しているか」に記載されている通り、1日当たりの感染者数が20名前後から横ばいで下がらない状況です。

川崎市:「今、何の病気が流行しているか!」の情報提供について(令和3年第8週) (city.kawasaki.jp)

 ここから感染のいわゆるリバウンドを引き起こし拡大に転じてしまうのか、本当に大切な重要な時期です。ワクチン入荷も4月は限定的な状況となっており、まだまだ流動的です。ワクチン頼みの対応ではなく、やはり重要なのは検査、保護、追跡しかありません。聞き取り調査に関しては、常に緊張感を持った、最悪のケースを想定した、徹底的な感染拡大防止の見地に立った調査を要望いたします。

 また今まで国立感染症研究所に検体を送って行っていた変異株検査を、3月中旬をメドに本市健康安全研究所でもゲノム解析を行い変異株検査が行われるとのことです。

 変異株は感染力が高く、子どもへの感染事例も多数報告されています。市民の皆様への正確な情報提供、及び学校、保育園を始めとした検査対応の更なる拡充、子ども達をないがしろにしない、子どもたちを守るための更なる感染対策を要望し、次の質問に移ります。


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