日本共産党
川崎市議会議員(中原区)

市古次郎

ブログ
NEW2025年10月13日

決算審査⑤収支フレームってなんだ?

収支フレームについて伺います。

設問1税制改正等があった場合に反映は?

代表質問でも取り上げましたが、令和6年度予算は157億円の収支不足、マイナスを見込んでいたのに対し、決算では65億円のプラスとなりました。その予算編成の基本となっている収支フレームが120億円の収支不足を示しているため、

収支フレームの年度ごとの見直しを求めたところ「本市の総合計画等の取組を反映して策定している」という答弁で、年度ごとの見直しは行わず、4年ごとに総合計画における実施計画策定時に見直しを行うとのことです。改めてお聞きします。収支フレームを説明する資料に「今後の財政運営の基本的な考え方」があります。

今後の財政運営の基本的な考え方https://www.city.kawasaki.jp/230/cmsfiles/contents/0000138/138493/20220322kangaekatakaitei.pdf

その中で歳入、歳出それぞれの内訳が棒グラフで示さています。

例えば、消費税の減税等の税制改正や、来年度から実施される予定の国による学校給食の無償化などが生じた場合も収支フレームに反映しないのでしょうか、伺います。

答弁1

「収支フレーム」についての御質問でございますが、本市では、多様化する課題への的確な対応など「必要な施策・事業の着実な推進」と、財政の健全化による「持続可能な行財政基盤の構築」の両立に向けて、「今後の財政運営の基本的な考え方」を策定しております。

その中で、早期の収支均衡に向けた財政運営の指針として、今後の歳入・歳出の見通しを踏まえた「収支フレーム」をお示ししているところでございます。「収支フレーム」の改定にあたりましては、総合計画の改定作業などと連携を図るとともに、国の制度変更などを踏まえた上で、令和8年度予算案と整合を図ってまいります。

設問2 市民への情報開示の正確性は?

わかりにくい答弁ですが、国による税制改正、例えば消費税が廃止になろうとどこ吹く風、総合計画の改定の4年ごとしか見直しを行わないとのことです。中長期の財政状況の指針を「見える化」することは意義があると思います。しかし、その指針となる収支フレームが実際の収支と乖離しているのを放置し、頑なに4年ごとにしか見直さないことは、指針としてあるべき姿なのでしょうか。まず、市民への情報開示の正確性について課題があると思いますが見解を伺います。

答弁2

市民への情報開示についての御質問でございますが、

「収支フレーム」策定後におきましては、毎年度の予算編成において、様々な社会経済状況の変化等にも的確に対応しているところでございまして、収支フレームとの差異や、その要因につきましては、市民の皆さまなどに対して予算案を分かりやすく説明する「予算案について」の中でお示ししているところでございます。

設問3 職員の皆さんへの影響は?

予算案で説明するという答弁です。次に職員への影響です。各事業担当課の方が実施計画を遂行するために企画の立案・予算要求をする際、中長期的な視点は必要不可欠です。しかしその指針である収支フレームに実績と乖離があるとなると、業務遂行に影響を及ぼすのではないでしょうか伺います。

答弁3

予算編成についての御質問でございますが、

予算編成にあたりましては、直近の決算の状況を踏まえるとともに、本市を取り巻く社会経済環境の変化などにも的確に対応する必要がございますので、「予算編成方針」などにより、こうした予算編成の基本的な考え方や、留意点などを各局区に通知し、円滑な予算編成に努めているところでございます。

設問4 議会での正確な議論に影響しないの?

予算編成時に示しているという答弁です。次に議会への影響です。地方公共団体金融機構が作成した「地方公共団体における財政収支の見通しの作成に関する調査研究報告書」によると

※地方公共団体における財政収支の見通しの作成に関する調査研究報告書https://www.jfm.go.jp/support/research/qcth6100000003ou-att/H30mitoshi01.pdf

収支見通し作成に係る課題として、財政状況の厳しさを議会等に訴えることに重点が置かれ、財政状況に係る認識の共有という作成効果が著しく低下するおそれがあるため、実績との乖離を分析・改善し、精緻化を図ることが必要であると記載されています。収支フレームについては、例えば減債基金の新規借り入れや返済について等、議会でもたびたび取り上げられています。収支フレームと令和6年度決算で比較すれば、収支フレームでは1086億円の借入になるとしていたのに対し決算では507億と半分以下です。

これだけ実態と乖離していることは議会での正確な議論に関して悪影響を及ぼすのではないでしょうか、伺います。

答弁4

国の制度変更や社会経済状況が大きく変化する中で、「収支フレーム」と実態に一定の乖離が生じているところではございますが、その乖離につきましては、毎年度の予算や決算を公表する中で、しっかりとお示ししているところでございます。また、減債基金の借入れ等の状況につきましても、予算との差額や、その理由などをご説明しているところでございます。

設問5 ホントにこのままでよいの?

こちらも予算・決算の際に公表しているという答弁です。現在の収支フレームはコロナ禍に作成されたものです。この4年間で収支や減債基金の借入等、実績との乖離は広がっていきました。しかし市民にも職員にも議会にも予算等の機会に全て説明しているとの答弁が繰り返されました。少し極論かもしれませんが、だったら収支フレームなどいらないのではないかと、正確さを欠く「財政運営の指針」はかえって混乱を招くと思いますが、本当にこのままで、何の課題もなく改善も行わずにいいのか、財政局長に見解を伺います。

答弁5

持続可能な行財政基盤の構築に向けましては、財政運営の指針としての「収支フレーム」が必要であると考えております。

「収支フレーム」の策定にあたりましては、本市の将来人口推計や国の経済財政に関する試算などの基礎データをしっかりと反映するとともに、総合計画等と整合を図っているところでございます。

現状におきましては、物価高騰の進行や金融市場の変動など社会経済環境が大きく変化しており、先行きは不透明感を増しているものと認識しておりますので、そうした状況も踏まえながら、収支フレームの期間や算定の前提条件などについて、検討を進めているところでございます。

要望

収支フレームの期間、算定の前提条件については、ぜひ検討を進めていただければと思います。財政運営の指針ということであれば、その根拠となる正確な数値を市民、職員、議会に示し、その指針に基づき運営、予算編成を行っていく責務が市側にはあると思います。また答弁にありました、社会状況の変化に応じて「必要な施策・事業の着実な推進」ということであれば、地方公共団体金融機構からも指摘されている「財政状況の厳しさ」を訴えることに重点を置くツールではなく、実績との乖離を分析、改善し、精緻化を図るために、4年ごとではなく、必要に応じた柔軟な見直しを行っていただくことを求め質問を終わります。


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