日本共産党
川崎市議会議員(中原区)

市古次郎

ブログ
2025年10月2日

代表質問(抜粋)特別市ってなんだ?

南武線のモニターにも広告が流され市長の肝いり政策の一つである「特別市」。

特別市について、神奈川県はパンフレットを発行しています。添付しますが、正直、懸念だらけ、全否定と言ってもよい内容となっています。

神奈川県はテキストでも特別市についての見解を示していますので、添付しておきます。https://www.pref.kanagawa.jp/documents/84275/kennkai.pdf

代表質問では、県のパンフレットで示された懸念、指摘等について質問を行いました。

※正式な議事録ではありません。

特別市についてです。

 川崎市は、指定都市制度の問題点について、「指定都市と道府県の「二重行政」の存在と「不十分な税制上の措置」という課題がある」としています。市はこれらの課題解決のために「川崎市が原則として県の仕事をすべて担い、権限と財源を市に一本化」し、「二重行政を解消し市民サービスが向上するとともに、県を通さず国と直接やり取りすることで、素早い対応が可能になる」として特別市をめざすとしています。これに対して神奈川県は、21年11月「特別自治市報告書」を発表し、最近はパンフレットも作成して、様々な角度から反論を述べています。

市が指摘する指定都市の課題の一つである「二重行政」についてです。

 国で地方自治法が改正され、すでに都道府県から指定都市へほとんどの事務・権限が委譲されています。県は、二重行政について、これまでのように「個別具体的な支障があれば、指定都市都道府県調整会議を活用して、施策の見直しや事務・権限の移譲等を行うことなど、具体的な解決を図るべきである」としています。この間、この手順で県費負担だった教職員の給与負担を市に移譲しています。市は幼稚園の窓口や信号機の設置などを二重行政の例として挙げていますが、個別に対応すればよいだけの話ではないですか、市長の見解を伺います。

課題の2つ目「税制上の不十分な措置」についてです。

 県の報告書では「地方自治体全体が財源不足の中で、道府県・指定都市間の税源の奪い合いでは、根本的な解決にならない」と述べ、「地方税財政制度は国の法律によるものであり、本来の仕事量に応じた税財源は国に求めるべきである」と主張しています。全くその通りだと思いますが、市長の見解を伺います。

さらに県の報告書では様々な問題点を指摘しています。

県の総合調整機能・広域行政についてです。

 県は、医療、警察など、県内に偏在する地域資源を有効活用し、広域的なスケールメリットを活かした取組や、市町村のバックアップといった取組を展開するなど、県内全域で「総合調整機能」を発揮しています。この機能が特別市になると、「こうした県の「総合調整機能」に大きな支障が生じ、指定都市域を含む住民サービスが低下するおそれがある」と指摘しています。

 例えば、コロナ禍で川崎市は市内の病床が不足し満床状態となりましたが、県が入院・搬送調整をして、県内の病院に1987人もの患者を受け入れてくれました。こういう感染症病床や精神病床の不足をどうするのか、医療提供体制にしても、今まで県が担っていた高度・特殊な専門的医療などはどうするのかという問題もあります。警察については、「県境を越えた広域事案」をどうするのか、また、今まで県が担っていた警察本部、鑑識課、科学捜査研究所などの施設や警察官・職員は自前で持つのか、という問題もあります。これらの県の総合調整機能をどうやって特別市で実現していくのか、市長の見解を伺います。

県民・市民の負担についてです。

 現在、市内の県有施設は134施設あり、財産価格1622億円にもなります。特別市側は県有施設の移管・取得費用や債務引き受け額などは相当な額になると思われます。また、市が新たに整備する必要がある機関・施設もあります。公安委員会、労働委員会、警察本部など、これらの機関については、専門的な業務を担うため、専門人材の育成・配置などの新たなコストも生じてきます。

 さらに、特別市になれば、これまで県が担っていた事業を市が負担するようになります。例えば、警察・交通機能の維持管理・運営費用、道路や河川の維持管理・改修費用、県有施設の維持管理、県営住宅、学校などの長期修繕費用などです。これらの莫大な費用の財源はどのように確保するのか、市長に伺います。

答弁(市長)

 特別市制度にっきましては、我が国における少子高齢化や人口減少、長期にわたる経済の停滞などの深刻な危機を踏まえ、地方自治制度の抜本的な見直しを行い、日本をけん引すべき大都市が「その役害を十分果たせる環境を整えることが重要である」との認識のもと、実現を目指してぃるものでございます。
事務量に見合った適切な税配分につきましては、今後の特別市の法制化に向けた地方税財政制度の見直し等の検討の中で、具体的に整理されていくものと考えております。
 広域的な対応につきましては、特別市は、大都市としての豊富な地域資源等を積極的に活用し、基礎自治体同士の「水平連携」の中心的役割を果たす一方で、広域自治体である県は「垂直補完」に、そのりソースを重点化するこ
とが重要と考えており、県と特別市が役害分担を行い、それぞれの役害に注力し、連携を進めることで、日本全体における持続可能な行政サービスの提供に繋がるものと考えております。
 費用負担につきましては、地方税財政制度は、地方自治制度を財政面から支えるものであるため、県から移譲される事務事業に応じた財源配分が行われるものであると考えております。
 広域自治体において必要な財政需要につきましては、一義的には1也方交付税で措置され、国・地方間の適切な税源配分や財政調整が可能となるよう、制度の見直し等がなされるものと認識しており、また、特別市が基礎自治体同士の連携の中心的役割を果たすとともに、県が特別市以外の市町村の補完・支援に、より一層注力することが可能となるため、県内市町村の行政サービスの維持・向上にも大きく貢献するものと考えております。
 施設の移管など、特別市への謝テに係る費用につきましては、特別市が法制化された後、移行に向けた県と市の協議の中で、効率的・効果的な行政運営の観点などを総合的に勘案しながら、決定していくものと考えております。

再質問

 県が不足する財源については、「国が税源配分などで見直しをする」という答弁ですが、何の保証もありません。県有施設の取得、移設、新設の費用については、「県との協議の中で」という答弁ですが、県は猛反対しており、話し合いできる段階ではありませんし、特別市の市民が負担することは明らかであり、その金額も莫大です。総合調整機能である広域行政については、「県は垂直補完」するという答弁ですが、県は「指定都市からの財源を失えば行政サービスは困難になる」と言っているのです。特別市が失う県からの行政機能については、自治体同士の「水平連携で」という答弁ですが、どのようにカバーするのかの答弁もありません。警察機能はどうするのでしょうか。これら市の答弁は、県の反論に対する答えになっていません。

県が反対する理由についてです。

 県が反対する最大の理由は、指定都市に県庁所在地があるという点です。多くの指定都市には県庁、県警本部、県議会など県の主要な行政、県政の機関が集中しています。このような指定都市が独立するとなれば、県はどこでどのように県政を行えばよいのか、市長に伺います。

 これらの機能を移転するにしても移転費用は少なくても数百億円はかかります。そんなことをすれば、それぞれの地方の財政が破綻すると思いますが、市長に伺います。このように県政機能そのものを失いかねない構想を県民は納得すると思いますか、市長に伺います。

答弁(市長)

県の施設等の取扱いや、移行に係る費用につきましては、特別市が法制化された後、移行に向けた県と市の協議の中で、その役割や性質等を踏まえ、効率的・効果的な行政運営の観点などを総合的に勘案しながら、決定していくものと考えております。
特別市制度につきましては、特別市が基礎自治体同士の「水平連携」の中心的役割を果たす一方で、広域自治体である県は「垂直補完」に、より一層注力することが可能となるため、県内はもとより、日本全体における持続可能な行政サービスの提供に繋がるものと考えております。

(あとがき)

特別市について、お分かりになりましたか?

適切な税配分は、具体的に整理されていくもの…

広域的な対応については、広域連携は水平連携、県は垂直補完… 

費用負担については、財源配分が行われるもの…

政令市以外の必要な財源需要については、制度の見直し等がなされるもの…

県の施設の移管などの費用については、県と市との協議の中で…決定していくもの(県がこれだけ全否定してるのに、どうやって…?)

「日本をけん引すべき大都市がその役割を十分果たせる環境を整えることが重要」とのことですが、県の施設の維持・移転や、医療・警察機能の移譲等、多大な費用を要する政策のはずなのに、不透明な部分が多すぎませんか?


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