代表質問(抜粋)等々力緑地再編整備について
※正式な議事録ではありません。
※最初の質問が市長、建設緑政局長に対して、計6問ありますので、番号を付けておきます。
等々力緑地再編整備とPFIについてです。
川崎市は2022年2月に等々力緑地再編整備実施計画を改定し、23年4月からPFI法に基づく事業手法を活用し再編整備と管理運営を一体にした事業を開始しました。
等々力緑地再編整備実施計画(改定)https://www.city.kawasaki.jp/530/page/0000137065.html
これにより設計・建設などの整備事業はPFIで、維持管理、運営業務を指定管理者制度で実施するとしています。
10月28日、等々力緑地・都市計画素案に対する公聴会が開かれ、15人の公述人が参加しました。
公述会とは?https://www.city.kawasaki.jp/300/page/0000095713.html
素案は、等々力緑地を廃止し、等々力緑地公園を追加して、施設建設の用途変更や高さ制限を緩和するというものです。この素案に対して、公述人から厳しい意見が寄せられました。意見の中では、800本の樹木の伐採されること、憩いの広場、広域避難場所に立体駐車場ができること、緑地・子どもの遊び広場にスーパー銭湯が建設されることなど、素案に対して公述人15人全員が反対を表明しました。指摘された要望、反対意見は、計画に反映されるのか、市長に伺います。➀
樹木の伐採についてです。
既存エリアの緑地面積は再編前の7.0haから再編後6.4haへと6000㎡減少します。「等々力緑地を守る会」の調査では、メタセコイヤ
外周園路のヒマラヤスギ、催し物広場の桜など樹齢60年の樹木800本が伐採されると試算しています。2024年11月に出した都市計画運用指針では「緑地とは、主として自然的環境を有し.環境の保全、公害の緩和、災害の防止、景観の向上、及び緑道の用に供することを目的とする」としています。これらの樹木の伐採は、この都市計画運用指針や、市が今実施している緑化フェアの趣旨に反するのではないか、市長に伺います。②
商業施設、自由提案施設についてです。
事業者の説明で、現在のフロンターレ広場にスーパー銭湯が建設されるという計画を聞いて公述人の方々から驚きの声が上がりました。平日から多くの児童や親子が遊ぶ広場がなくなるだけでなく、銭湯は朝から深夜まで年中無休での営業や膨大な利用者の車両も見込まれるなど緑地と周辺住宅地に多大な環境問題が起こる可能性があります。都市計画運用指針や川崎市の「緑の基本計画」のどこにスーパー銭湯を公園に建設できると書いてあるのか、市長に伺います。③
自由提案施設について、事業者は18か所の商業施設が入る予定と説明がありましたが、どんな店舗が入るかは明らかにしていません。しかし、事業者が出している環境影響評価準備書の中には、27店舗の室外機や送風機の台数と騒音レベル、稼働時間まで書かれています。すでに店舗は決まっているのではないですか、伺います。自由提案施設は公園内で空いているところであれば、どこでも建てられるということですが、例えば広場や森の中でも可能になるのか、伺います。④
今回の都市計画の変更により、「緑地」から「公園」に変更されますが、それによって健康増進の施設としてのスーパー銭湯、選手の休息・宿泊施設としてのホテル、スポーツ施設としてのボーリング場、遊戯施設としてのゲームセンターなども建設可能なのか、伺います。⑤
立体駐車場についてです。
催し物広場とテニスコートだった場所に立体駐車場が建設され、その収容台数は1150台ということです。現在の駐車場が581台ですから、その2倍以上の台数です。7万人収容の日産スタジアムでさえ656台ですから、日産スタジアムの約2倍ということなります。なぜ、これだけの規模の駐車場が必要なのか、伺います。駐車場の規模から推定すると今の2倍の交通量になりますが、公園の中央園路は、中原小学校の通学路です。駐車場、商業施設、スーパー銭湯の建設により、交通渋滞が起きたり、子どもたちの安全や環境が悪化することは必至です。また都市計画運用指針の緑地の目的である「環境の保全、公害の緩和」にも反します。これ以上の車両の増大を招くような施設建設はやるべきではありません、市長の見解を伺います。⑥
事業費についてです。
事業費は昨年契約した633億から増額されるということですが、どのくらいになるのか、伺います。新とどろきアリーナ・スポーツセンター、新陸上競技場、球技専用スタジアム、等々力球場のそれぞれの事業費を伺います。⑦
答弁(市長)➀~③⑥
等々力緑地についての御質問でございますが、
当緑地におきましては、再編整備に向けて、人々の日常とつながり、人生の大切な節目になり、まちの誇りになる緑地を目指し、民間活力を導入して取組を進めているところでございます。
初めに、本年10月に開催した公聴会における再編整備に関する御意見・御要望につきましては、現在、市の考え方を整理しているところでございまして、まとまり次第、公表する予定でございます。
次に、緑の保全につきましては、当緑地の魅力や価値を高めていくため、可能な限りまとまった緑を残すとともに、新たな緑を創出し、都市の中における公園にふさわしい姿を目指してまいります。
次に、温浴施設などの自由提案旛斐の設置につきましては、当緑地の特性、市民サービスや利便性向上の観点などを踏まえ、公園施設としてふさわしいものか、適切に判断してまいります。
また、その他の施設につきましても、同様に、適切に判断したいと考えております。
答弁(建設緑政局長)④⑤⑦
等々力緑地再編整備事業についての御質問でございますが、
等々力緑地では、 PF1法に基づく事業手法を活用し再編整備と管理運営を含めた一体の事業として、令和5年4月から等々力緑地再編整備・運営等事業を進めているととろでございます。
初めに、自由提案施設の入居者にっきましては、事業者が、環境影響評価にあたって入居の働きかけを行う業種を想定し、準備書を作成したものでございまして、現時点では決まっておりません。
次に、設置場所につきましては、事業者が提案するものでございますが、公園施設の設置や管理につきましては、本市の許可が必要となりますので、適切に判断してまいります。
次に、施設設置の可否につきましても、都市公園法や本市条例に則り、公園施設としてふさわしいか判断し、許可するものでございまして、事業者からの提案に対して、適切に判断してまいります。
次に、駐車場台数につきましては、現況の利用台数や、再編整備後に想定される施設の規模等から必要台数を算出したものでございます。
次に、本事業の工事費につきましては、事業者から、建設物価の高騰により、工事費が提案時から6割を超える上昇となり、これまで寄せられた関係団体からの要望等に全て対応する場合、設計変更に多額の費用が必要になる見込みと、本年11月に示されたととろでございます。
本市といたしましては、この金額は、事業者が試算した概算金額であり、内容の精査が必要と考えております。次に、各施設の事業費につきましては、公にするととにより、事業者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあり、お示しすることが難しいものでございます。
再質問
自由提案施設について、「スーパー銭湯、ホテル、ボーリング場、ゲームセンターの建設は可能なのか」という質問に対して、「適切に判断する」という答弁で、否定はしませんでした。要するに、スーパー銭湯やホテル、遊戯施設の建設は可能だということです。また、事業費について「どのくらいになるのか」という質問に対して、「各施設の事業費については事業者の権利、利益を害するため」非公開という答弁でした。事業者から示された増額を合わせると総事業費は、最大1183億円にもなり、昨年の契約金額の約2倍にもなります。結局、事業者の利益最優先で、樹木を伐採し、商業施設を乱立させ、事業者の言い値で事業費を2倍にしたのです。こんなことを可能した原因は、次の2つです。
一つは、都市計画の素案で等々力緑地の取扱を「緑地」から「公園」に変更したことです。「緑地」を削除することで、その目的である「緑地の保全」が削除されます。これによりふるさとの森のメタセコイアが伐採され、四季の森が半分になり、外周園路のヒマラヤスギが伐採されるなど樹齢60年の貴重な樹木800本が失われることになるのです。
また、「公園」に変更することにより「休息、鑑賞、遊戯、レクレーション」などの収益施設の建設が可能になります。このために桜が伐採され立体駐車場になり、スーパー銭湯、ホテル、遊戯施設の建設も可能となり、自由提案施設には18棟27店舗が乱立し、まさにショッピングモールのようになってしまうのです。緑地の樹木を伐採し、自然環境を破壊し、公園をショッピングモールのような収益施設に変えてしまうことは、いま、市が行っている緑化フェア―にふさわしいことなのか、もう一度市長に伺います。
もう一つの原因は、この事業をPFIで行っていることです。PFIにより、企業の利益を害することは、みな企業秘密で非公開となります。例えば、事業費について、各施設の工事費は非公表、増額についても詳細は明らかにされないため、行政は事業費、増額について内容の検証すらできなくなります。自由提案施設についても、どんな店舗が入るのか、また場所も明らかにしていません。これでどうやって行政、議会、市民が関与、監視をすることができるのか、伺います。
答弁(市長)
等々力緑地についての御質問でございますが、
当緑地につきましては、市民のスポーツの活躍の場であるとともに、市民がゆっくりと過ごせる憩いの場でございまして、再編整備にあたりましては、公園としてふさわしい施設の設置を適切に判断するとともに、可能な限りまとまった緑を残し、新たな緑を創出するなど、都市の中の公園にふさわしい、まちの誇りとなる、市民に愛される緑地を目指してまいります。
答弁(建設緑政局長)
等々力緑地再編劉蒲事業についての御質問でございますが、
本事業につきましては、 PF1法に基づく事業手法を活用し、事業契約により取組を進めているところでございまして、事業者が契約義務として担うべき業務の履行に関しましては、外部有識者も参加するモニタリングにより監視し、その結果を適切に評価・公表することとしております。
今回、事業者から示された工事費の増額につきましては、内容の精査が必要と考えておりまして、今後、専門家等の助言を受けながら、本市の対応について検討し、議会に報告してまいります。
また、自由提案施設につきましては、今後、具体的な提案があった場合に、都市公園法や本市条例に則り、公園施設としてふさわしいか、適切に判断してまいります。
再々質問
「樹木を伐採し、商業施設を乱立させることは緑化フェアにふさわしいのか」という質問に対して、市長は「まとまった緑を残し、市民に愛される緑地をめざす」という答弁でした。しかし、都市計画を変更して「緑地」を削除して、大量の樹木の伐採を可能にしたのは川崎市自身です。言っていることとやっていることがまったく違います。また、事業費について、PFIのもとで「どうやって行政や議会、市民が監視できるのか」という質問に対しては、「工事費の増額については内容の精査が必要」という答弁でした。しかし、PFI法に基づく限り、各施設の工事費は企業秘密であり非公開でも許されるわけで、内容の精査ができる保証はありません。
PFIにした根拠についてです。
市は22年の実施計画改定の時に、東急(株)とのヒアリングを通じて、財政負担の削減効果について試算しています。その試算によると、PFIの場合、「公共負担の削減効果は11.3%」、事業費を約30億円削減できる、これがPFIを選択した最大の理由でした。しかし、今回の550億円の事業費の増額で、公費は削減どころか大幅な負担増になるのではないのか、PFIにした最大の根拠は破綻しているのではないのか、市長に伺います。
答弁(市長)
等々力緑地についての御質問でございますが、
再編整備に関して事業者から示された工事費につきましては、本市が試算したものではなく、事業者が算出した概算金額でございまして、今後、専門家等の助言を受けながら、財政負担の削減効果も合わせ、精査してまいります。
意見
最後に意見を述べます。
世界的には気候危機の問題でCO2削減に必死になっているときに、CO2排出量トップの都市である川崎市が、政令市で最も公園や緑地が少ない市の公園の樹木を伐採し、商業施設を乱立させて、CO2排出量を増やすことが、どんなに世界に逆行することか。これのどこが緑化フェア、SDGSですか?自覚すべきです。
事業者がこれからやろうとしている計画は、企業の収益を最優先にした「稼げる公園」をつくることです。これを可能にする最大の原因は、都市計画の変更です。この公聴会では、公述人全員が計画変更に反対でした。よって都市計画素案の「緑地」から「公園」への変更は撤回するよう強く要望します。
PFIについてですが、PFI法に基づく限り、事業者が「企業利益を害する」と判断すれば、多くの内容が非公開となります。それにより事業費は、事業者の言いなり、増額についても適正かどうかの精査さえもできず、当然、議会や市民の監視の目は届きません。全国でも同じような問題が起きており、こういう問題に対して、愛知県豊橋市は、今年の11月、PFIに基づく豊橋公園の特定事業契約を解除しました。川崎市も等々力緑地再編整備のPFIに基づく事業契約は解除して、従来の方式にもどすことを強く求め、質問を終わります。