決算審査③4款1項3目 小児ぜん息患者医療費支給事業について
4款1項3目 小児ぜん息患者医療費支給事業について伺います。
※正式な議事録ではありません。
設問1
この事業は今年3月に新規受付を終了し、来年度末で事業が廃止されます。1972年から50年以上、ぜん息で苦しむ子ども達を支援してきた制度にピリオドが打たれることとなります。まず支給対象者についてです。令和5年度決算では2571人の対象者となっており、令和4年度の3277人から減少となっていますが、その要因を伺います。
答弁1
小児ぜん息患者医療費支給事業についての御質問でございますが、支給対象者の減少につきましては、昨年9月の小児医療費助成制度の拡充により、対象年齢が中学校3年生まで拡大されたことに加え、所得制限が撤廃されたことに伴い、小児医療費助成制度を利用する世帯が増加したことが主な要因であると考えております。
設問2
小児医療費助成拡充による影響とのことですので、支給対象者の数だけではぜん息の子ども達の推移は見えにくい状況です。本市は毎年、ぜん息患者数の調査を行っていますが、その調査方法、及び昨年度の調査費用について伺います。また小児ぜん息医療費助成の対象となる19歳までのぜん息患者数は令和4年、5年と比べてどのように推移しているのか、及び区ごとの人口千人に対する患者数も併せて伺います。
答弁2
小児ぜん息患者医療費支給事業についての御質問でございますが、ぜん息患者数の調査につきましては、「川崎市気管支ぜん息患者実態調査」として、市医師会に委託し、毎年実施しているもので、 10月の1か月間に受診した気管支ぜん息患者数を調査しておりまして令和5年度の委託費用は262万5千円余でございます。調査結果によると、 19歳までのぜん息,患者数の推移につきましては、全市で令和4年は5,110人、令和5年は5,542人と増加傾向にあります。また、令和5年の人口千人に対する患者数につきましては、川崎区が19.5人、幸区が16.4人、中原区は2 1.4人、高津区が22.2人、多摩区が41.7人、宮前区が19.3人、麻生区が20.2人となっております。
設問3
増加傾向であり特に多摩区は千人に対する患者の割合が他区と比較してほぼ倍となっています。全年齢のぜん息患者の状況も見せていただきましたが、全年齢の多摩区の千人に対する患者数は令和5年度14.3人となっており、全市平均の12.8人より少し高いレベルですので、多摩区の子どもたちだけ突出して多い状況です。気管支ぜん息は食物、ハウスダストやダニ、アレルゲンや大気汚染等の原因物質等、生活環境に関わる複合的な要因が発症の要因としていますが、ハウスダストやダニが多摩区にだけ多いということでは説明がつかないと思います。多摩区については、過去7年間のデータを見ても、他区の倍近い数値となっています。なぜ多摩区だけこれほど突出しているのか、要因の一つとされる大気汚染の調査等、原因究明を行うべきではないでしょうか。伺います。
答弁3
小児ぜん息、患者医療費支給事業についての御質問でございますが、
気管支ぜん息の発症ないし悪化の要因としては、ダニ、カビ、ペットや、タバコの煙、肥満のほか、大気汚染など、様々であると言われており、発症への影響の度合いも人それぞれであることなどから、要因の究明は難しいものと認識しており、大気汚染の詳細な調査につきましては、実施する予定はないところでございます。
設問4
最低でも制度が廃止となってもぜん息患者の調査は継続して実施すべきと考えますが、健康福祉局とこども未来局にそれぞれ見解を伺います。
答弁4-1(健康福祉局)
気管支ぜん息患者実態調査についての御質問でございますが、
成人ぜん息患者医療費助成制度につきましては、他の疾患との公平性の観点から、特定の疾患に医療費を助成し続けることは困難と判断し、廃止することとなったもので、実態調査につきましても、助成制度の経過措置期間が終了する令和7年度をもって終了することとしております。
答弁4-2(こども未来局)
小児ぜん息患者医療費支給事業についての御質問でございますが、小児ぜん息医療費支給事業については、他の疾患との公平性の観点から、制度を廃止することとなったため、廃止後のぜん息患者の調査につきましても、こども未来局独自で実施をする予定はないところでございます。
設問5
高校生については小児医療費助成の対象でないため、制度廃止後は一切の支援がなくなります。環境再生保全機構のHPには「思春期は、大人になるまでぜんそくをひきずってしまうかもしれない分かれ道ともいえる時期」と記載がある通り、適切な受診を継続しなければ、将来へ影響してしまう大切な時期です。再来年度からは決算にある8489万円は無くなってしまうわけですが、決して子ども達のぜん息患者数は減少傾向ではありません。ぜん息を患っている高校生たちにどのような支援を行っていくのか、制度廃止後、少なくとも現在小児ぜん息医療費助成に充てられている予算を、ぜん息で苦しんでいる高校生達へ何らかの支援をするために充当することを、今から検討していくべきです。伺います。
答弁5
小児ぜん息患者医療費支給事業についての御質問でございますが、制度廃止後の支援でございますが、様々な機会を捉えて保護者及び受給者にアレルギー疾患に関する正しい知識の普及啓発を関係部局と連携し取り組んでまいります。
また、医療費につきましては、高額療養費制度等の利用を促すとともに、症状が重症の患者については、国の制度である小児慢性特定疾病医療費助成制度の対象になる可能性があることから、活用できる様々な制度や支援について制度廃止前に周知を行ってまいります。
本事業に要していた事業費の使途につきましては、関係部局と調整を行い、総合的に判断してまいりたいと考えております。
要望
多摩区の子ども達だけ千人に対しての患者数の割合が倍の数値が出ているにも関わらず、原因の調査も行わず、不自然な事実があるのに、その可視化さえ蓋をする、長年継続してきた患者調査も打ち切るという判断は、とても理解できるものではありません。その方針については引き続き取り上げていきたいと思います。
また小児ぜん息医療費助成を廃止した名古屋市等は小児医療費助成の対象を18歳まで拡充しています。ぜん息で苦しみながら大切な時期を過ごす高校生たちの最低限の支援として、小児医療費助成の18歳までの拡充を改めて要望して質問を終わります。