日本共産党
川崎市議会議員(中原区)

市古次郎

ブログ
2024年5月5日

教員不足131.5人への質問、ご意見、ご要望について

新年度に入り、川崎市の教員不足の状況が明らかとなりました。そのことをXでポストしたところ、多くのご意見、ご質問、ご要望が届きました。

率直なご意見に対し、本来ならX上で一件ずつ回答すべきでしたが、ご質問を受け、聞き取り、調査したことも含め、改めてお答えしていきます。

そもそも教員不足ってなに?

各学校に配属されるべき教員の定員に対し、不足が発生している状況のことをいいます。理由は三つ。

  • 欠員未充足 定員に対して不足が発生
  • 産育休未充足 産休、育休を取得した教員の枠に不足が発生
  • 休職者未充足 病欠等、休職で長期お休みとなった教員の不足が発生

本来は正規、若しくは臨時任用(非正規 1年契約 仕事は正規の教員と同じで担任もできる)で補填していくはずが、埋まらないことから未充足、教員不足が発生している状況です。

明らかとなったきっかけは?

そもそも先生不足の状況は毎年、こちらから資料請求を行なっており、毎年5月末頃に報告を受けていました。4月の情報提供は異例の早さとなりました。そのけっかけは、 

4月18日の文教委員会での教育委員会からの「不登校対策」の報告で

※(参考資料)不登校対策の充実に向けた指針(案)0418-2(1)1.pdf (city.kawasaki.jp)

「支援教育コーディネーターを中心とした…」という説明があったため

「今の川崎の教育現場の状況で、本当にそんなことが可能なのか?昨年末の過去最多となった先生の未充足の状況から支援教育COは授業のフォロー、なかには担任を持つ先生もいると聞いている。そもそも新年度に入って先生の未充足はどのようになっているのか?」

「把握していない」

「なぜ深刻な問題である、川崎の先生不足の状況をリアルタイムで教育委員会として共有、把握していないのか?現場の状況を掴まずに、対策だけ並べても空論になってしまうのではないか?新年度の先生の未充足の状況の資料を提供して欲しい」

この議論がきっかけとなり、4月の先生不足の状況が明らかとなったわけです。

それでは、私のX宛てに届いたご質問、ご意見(批判)、ご要望について回答して参ります。

質問

131.5の0.5ってなに?

ハーフタイム勤務の先生を指します。

再任用や育児短時間勤務を取得している先生等はフルタイムではなく時短勤務となっており(教育委員会の説明ではハーフタイムの先生とも呼ばれているとのこと)、勤務時間から0.5と換算され、2人いれば1となります。

加配未配置も含まれているのか?

含まれています。

加配教職員とは、例えば小学校における「英語」だけを教える専科指導教員のことをいい、他にも少人数指導等があります。

※参考資料 公立小中学校等の学級編制及び教職員定数の仕組み(文科省)20200618-mext_syoto02-000008021_9.pdf

先生がいない学校はどうなっているのか? 担任の先生がいないのか?

専科や教務主任、支援教育コーディネーターの先生達が担任に入っているため、担任の先生がいない所は今のところないとのことです。その分の業務負担、シワ寄せは当然、他の先生に及びます。

特に小学校が多い理由は?

131.5人中、小学校が106.5人(前年度40.5人)と大幅増。その理由については教育委員会から(現状分析)聞き取りを行いました。

  • なり手不足(採用倍率の減少)
  • 支援級を利用する子どもの増加に伴い配置が追いつかない
  • 他の自治体への流出(近隣自治体との待遇の差や、自分の育った町で教員として働きたいという意向)
  • 加配教員が埋まらない

加えて、本市の小学校の先生は若い方が多い為、今後産休、育休を取得される先生が多数予測されるとのこと。確かに、昨年度も小学校の先生の未充足は4月の40.5人から年度末の2月には103人と62.5人の増となりました。

昨年度の状況を考慮すると、このままでは年度末には200人を超える未充足が発生し、深刻さは増していくと思われます。

ご意見・ご批判

やはり、特に多かったコメントは昨年夏におこった学校プールの水の流出に対する教員への直接請求です。全てではありませんが、以下、ご紹介していきます。

「プールの水道料金を個人賠償で請求した事は多いに影響してると思います」

「他の方も書いていますがプールの水の賠償の件の市長の発言などを思い出せば当然の帰結では無いですか?是非市議会で市長に聞いてみて下さい」

「教員に人権が無い。労働者としての権利もだ。 政策が数字上失敗したならもちろん、川崎市の議員や市長は自腹で補填するんでしょうね?同じ公務員ですし、業務上の話ですよね?」

「『プール代自腹』の川崎市で欠員が130人で済んでいることに驚きました。200人は超えると思っていました」

「プールの水の賠償金のことが原因でしょうね。 小学校の欠員の増加数を見れば明らかでは?」

「まあ、あのプールの水個人賠償事件であまりにも有名になりすぎましたからね……」

「プールの水道料を教員に支払わせたことが大きいでしょう。機材の不備を放置していたのに、水道料は責任を負わせて平気なのですから、貴市ではおっかなくて仕事できないです。 同じことを議員や行政職にさせますか?」

「この結果につながったプール自腹問題について、判断の責任者は反省を促されるべき。でないと、130人分の欠員を抱えて身を削って働く現場の先生たちはやってられない。浮いた130人分の人件費の行方は?欠員を補う現場へ、手当てしなくちゃ!」

「まあ 川崎で働きたいとは思いませんよね 退職してでも東京と横浜受け直すでしょうね プールの件は金額以上に教員のやる気を削いでますね。 いろいろと検討して市が出した答えですからね 受容してください 支払いを命じた教員も受容したように」

「当たり前でしょ。 教員への対応の結果でしょ。 これでもまだマシでしょ。 予想できなかったことに驚き」

「プール事件の報いでワロタ 童話みたいなオチがつきましたね〜」

「川崎市で仕事ミスると個人で賠償しなきゃいけないんですよね? そんな自治体()で誰が仕事してやろうと思うんでしょう? 川崎市の公教育を終わらせたのは、川崎市自身ですよww」

「プールの水を過失で流した教員に自腹切らせる自治体ですからね…。人気がでないのは仕方ないのでは?」

「損失したプールの水を教員に自腹で賠償させた政策が功を奏していますね。きっと川崎市に適した人材のみが集まったことでしょう」

「プール管理のミスを個人のミスにする川崎市。一躍有名になりましたね。がんばってください」

「川崎って、賃金のかなり高い自治体なのですが、意外です。プールの賠償請求などマイナスの印象付けをされると、こうまでになるのですね」

「川崎市は教員不足でも自業自得、仕方ない。ミスしたら個人で後始末しなければならないから。そんなところで働きたくない」

「川崎市ね。先生にミスの自腹を切らせるところですから、もちろんこうなることは覚悟の上で自腹切らせたのでしょうね」

「教員のプール管理ミスで水道代40万円を支払わせ、出張に自家用車を認めず出張旅費の誤申請として100人以上を処罰した川崎市。まぁ当然の教員不足。この責任は福田市長と教育長・委員会にあるわけだが、しわ寄せは子どもたちにいく。保護者や川崎市民は怒るべきだ」

「川崎市はプールの水道代を得た代わりに、教員のなり手を失ったということだ。そこで働く人を大切にしないから罰があたったね」

プールの水、流出に対する先生への個人請求については、私が行なった代表質問でも取り上げました。

プールの水の流出損害を先生に直接請求することについて(代表質問より) | ブログ | 市古次郎 日本共産党川崎市議会議員(中原区選出) (ichiko-jiro.jp)

調査を重ね、当時の操作状況を明らかにし、操作マニュアルの不備(教育委員会の不作為)、故意・重過失はなかったことも教育委員会は認めています。しかし、請求の撤回を行ないませんでした。法的に見ても、ここまでの教育委員会の対応を鑑みても、川崎市の個人請求という判断は明らかな間違いです。その後、横浜市も同様の案件が発生しましたが、マニュアルが作成されていなかった事、教育委員会としてもマニュアルの作成指示をしていなかったことから操作をした教員、校長に「故意、重過失」はなく賠償請求を行いませんでした。真っ当な判断だと思います。

プールの水を教諭が止め忘れ出張に、4日間流し続け損害58万円…市教委は賠償請求せず : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

加えて教職員の大量処分についても触れておきます。

出張費不正受給で教職員136人を戒告など懲戒処分に 川崎市教委 | NHK | 神奈川県

この件も議会で取り上げました。

予特⑤ 来年度から配置される教職員の予防監察・相談調整担当について | ブログ | 市古次郎 日本共産党川崎市議会議員(中原区選出) (ichiko-jiro.jp)

7年間一度も現場にヒアリングをせず、突然の大量処分を行なっておきながら、規定に課題があったことを認め、今年度から自家用車の出張を認めるという対応は教育委員会の不作為であると指摘させて頂きました。現場の実態を知ろうとする努力を怠り、トップダウンの一方的な処分は先生を大切にしない現れだと感じています。

ご提案・ご要望

欠員により業務負担が起きている学校現場に特殊勤務手当を適用してはどうか?浮いた人件費を支給するべきでは?

調査、検討させていただきます!

川崎市の特殊勤務手当の条例を確認しました。

教員特殊勤務手当(15条)は、市立学校の管理下において行う非常災害時の緊急業務、修学旅行等においての生徒・児童又は幼児を引率して行なう指導の業務等が規定されていますが、

19条(臨時の手当)には、15条同等以上の著しく危険、不快、不健康又は困難な業務その他、著しく特殊な業務で…市長はその勤務の特殊性に応じて臨時に手当を支給することができる。

と規定されていますので、この条文が運用上適用可能か調査、検討を進めて参ります。

他の自治体も調査、公表して欲しい

大賛成です! ご自身がお住まいの教育委員会、議員さんに、ぜひ働きかけてみてください!

新任の先生のフォローをしっかりやって欲しい

仰る通りだと思います。学校現場、教育委員会との連携、トップダウンではない取組みや今年度から開設される相談窓口の周知、相談しやすい環境作りも行なっていく必要があります。

川崎の子ども達の教育を受ける権利が守られない危機的な状況であるという認識に立った取組みを

年度初めから131.5人という川崎市の教員不足に対して、多くのコメントが寄せられました。

厳しいご意見が多数寄せられましたが、それが、川崎市に対する評価の現れであり、教育現場からの危機的な状況を伝える切実な声であるということを受け止めていかなければなりません。

昨年度を振り返ると、プールの水の直接請求に始まり、一方的な突然の大量処分、遅れているハラスメント対策等、教育委員会には反省すべき点も多々あると思います。しかし批判ばかりで終わらず、今、懸命に頑張っている先生方、学んでいる子ども達、学校に行きづらいと感じている子ども達に何ができるか? 資格を持っている方達の確保、学校を支援して下さる方達の確保等、現場の方達の声を聞きながら、他都市の取組み、有識者の提言等の調査を重ね、様々な提案を行なっていきたいと思っています。

全ては川崎の子ども達のために。

引き続き。


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