代表質問(抜粋)こども誰でも通園制度について
※正式な議事録ではありません。
設問
こども誰でも通園制度は、「こども未来戦略方針」において、「孤立した育児」の中で不安や悩みを抱えている子育て世帯への支援、並びに全ての子育て家庭に対して、こどもの良質な成育環境を整備し、多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での子育て支援を強化するとのことで、来年度から試行実施される制度です。本市は実施自治体として国に採択され、1億4135万円が保育所等への支援の為に計上されています。
対象児童は0歳6か月から2歳の未就園児、利用料金は1時間300円、利用時間上限は月10時間、保育所等の定員と関わりなく受け入れる形で市内保育園事業者に公募を行うとのことです。
全国的に保育中の死亡事故は0、1歳児が全体の8割を占め、30%が預け始めの1週間に集中しているのが実態です。
昨年12月、世田谷区の認可外保育施設で園児がなくなった事例では、危険性の高い時間帯に保育資格のない職員が世話をするなどが明らかになり、安全配慮意識が極めて低いと改善指導がされていますが、こうした事態が繰り返されるのではないかと懸念されます。各保育園が確実に保育士を配置し、安全に保育を行うことができる体制づくりへの支援が必要です。しかし、国からの補助は子ども一人につき1時間850円のみとのことです。これでは保育士を増やせません。本市の対応を伺います。
また、「孤立した育児」で不安を抱える保護者への支援で重要なことは、保護者との相互理解を図ることが保育指針で示されています。月10時間という短い時間で、保育士と保護者が相互理解を深め、「孤立した育児」支援ができると考えているのか、見解を伺います。
虐待等の疑いがある場合等、要支援家庭への対応、児童相談所等との連携、情報共有体制はどのように取り組んでいくのか伺います。
答弁(こども未来局長)
こども誰でも通園制度についての御質問でございますが、
令和5年度補正予算に計上している本格実施に向けた試行的事業におきましては、国の要綱等に基づき実施するものでございまして、子ども1人につき1時間あたり850円の補助金と、 300円程度の利用者負担により必要な経費に充てることとされております。また、利用時間数の上限につきましては、今回の試行的事業においては、月10時間という国の設定の範囲の中で実施することとしております。
さらに、今回の試行的事業におきましては、支援が必要な子どもに早期に気づき、適切な支援に結び付けていくことが狙いのひとつとされております。
事業実施にあたっては、安全に保育を行うことができる体制の確保や、要支援家庭へのアプローチを含め、利用状況、効果や課題、保護者や保育者の声などについて情報収集を行い、その状況等について、国に報告してまいります。
再質問
答弁にあった支援が必要な子どもの早期発見も、安全な保育体制の確保も、国が定めたわずかな補助金と預かり時間では実現することなどできません。
そのままの枠組みで試行実施することは、保育現場への負担、こども達への危険が増すだけです。保護者の就労要件を問わない一時保育の様な形で利用時間を増やし、市独自で補助金を上乗せする考えはないのか、伺います。
答弁(こども未来局長)
こども誰でも通園制度についての御質問でございますが、
本格実施に向けた試行的事業におきましては、国の要綱等に基づき実施するものでございますので、市独自で補助の上乗せ等を行うことは考えておりません。
事業実施にあたっては、安全確保を最優先としながら、利用・時間や補助単価等も含め、保護者や保育者の声などについて情報収集を行い、その状況等について、国に報告してまいります。
再々質問
こども誰でも通園制度について市長に伺います。
こども未来局長の答弁は「市独自で補助の上乗せはしないが安全確保を最優先とする」というものでした。保育士の確保などできない、わずかな補助金のままで、どうやって安全確保を最優先に行うのか理解できません。
市長は施政方針の中で「安心して子育てできる環境を作る取組として、こども誰でも通園制度の本格実施に向けた取組を加速していく」との説明がありました。この制度で安心して子育てできる環境を作る目的なのであれば、市独自の予算を使って保育士の体制を確保するべきです。伺います。
答弁(市長)
こども誰でも通園制度についての御質問でございますが、
本事業は、国の要綱等に基づき実施するものであり、国が示す補助額等の条件の中で、適切に実施できる事業者を選定してまいります。
また、今回の試行実施を通じて、保育現場の二ーズや課題等を整理・検証し、必要な事項について、制度設計に反映させるよう国に働きかけてまいります。
あとがき
「誰でも通園制度」は子育て支援の一つとして必要でないとは思いません。しかし、「子どもの健康と安全が守れるのか」「保育現場の負担がさらに増えるのではないか」等の声が届いており、現在の制度設計ではその懸念を払拭できるものにはなっていないと考えています。
福岡市では市独自で月10時間ではなく、月上限40時間まで拡充。関連予算を計上しました。
川崎市も預かり時間の拡充、子ども達が安全に過ごせるための保育体制が整う支援を行うべきと考えています。
保育現場の「善意」に頼るような制度にならぬよう、引き続き、注視して参ります。
⇩⇩以下、今年度行っているモデル事業の中で挙げれた課題とアンケート結果となります。⇩⇩
01_【参考資料1】 令和5年度モデル事業の状況調査 (cfa.go.jp)