日本共産党
川崎市議会議員(中原区)

市古次郎

ブログ
2023年12月17日

一般質問⑤ 教育現場でのハラスメント対策について

教育現場でのハラスメント対策について伺います。(正式な議事録ではありません)

設問1

 私たちの代表質問でもいくつか伺いました。ハラスメントを行ってはならないという教育長の明確なメッセージ。教職員の皆さんに届いていない周知、啓発を目的とした研修。存在自体知られていないハラスメント相談窓口。要綱における不利益取り扱いの不十分さや、行為者に対する曖昧な処分規定等の改善を求めるなかで

 教育長の「事案を重く受け止め、改めて、文章による通達や、あらゆる機会を捉えて、繰り返し注意喚起を行いながら、互いの人格を尊重する良好な職場環境の維持、醸成に取り組んでいく」といったご答弁や周知、啓発の研修について要望した外部講師の活用も含めて検討するなど、一定の前進は確認できました。

 その中で改めてお聞きしたいのが、ハラスメント相談窓口についてです。代表質問では「相談窓口の在り方についても関係局と協議していく」というご答弁でした。その具体的な協議方針を伺います。また、厚労省が示す指針では、ハラスメントが現実に生じている場合だけでなく、発生のおそれがある場合や、該当するか否か微妙な場合であっても広く相談に対応することとあります。このような対応が可能となるよう取り組んでいくのか併せて伺います。

答弁1

相談窓口についての御質問でございますが、

相談窓口の在り方につきましては、他都市の状況も把握しながら、職員が相談しやすい環境となるよう、関係局と協議してまいります。

また、厚生労働省の指針では、「職場におけるパワーハラスメントが現実に生じている場合だけでなく、その発生のおそれがある場合や、職場におけるパワーハラスメントに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応し、適切な対応を行うようにする」とされておりますので、今後も、引き続き、指針に基づき相談の内容等に応じ適切に対応してまいります。

設問2

「ハラスメントに該当するか否か微妙な場合であっても広く相談、対応を行うようにする」という指針に基づき適切に対応していくというご答弁ですので、それを実践するための体制の構築が必要です。厚労省が示す相談窓口設置の取組例の中では、外部の機関に相談への対応を委託すること、といった事例が紹介されています。東京都では教職員専用のハラスメント第三者相談窓口を設置し弁護士が相談を受ける体制を整えています。

ハラスメント相談受付(都内公立学校に勤務する教職員専用)|東京都教育委員会ホームページ (tokyo.lg.jp)

第三者相談窓口について他党の代表質問の答弁では「調査、研究をすすめていく」という答弁でしたが、早急な調査、設置に向けた検討を改めて要望させていただきます。

ハラスメント対策において、大きな転機となったのが、ハラスメント対策が義務化された労働施策総合推進法の改正です。

この改正が行われたことについて、その趣旨を教職員の皆さんに周知されたのか伺います。

答弁2

法改正に係る周知についての御質問でございますが、

令和2年6月の労働施策総合推進法等の一部改正に伴い、いわゆるハラスメント防止要綱を改正し、その内容とともに、厚生労働省の指針を参考に「パワハラになり得る言動例」をより具体的に記載した啓発リーフレットについて、同月10日付けで各学校に周知を図ったところでございます。

設問3

 改正に伴い同月10日に周知を図ったとのご答弁ですが、その法改正から3年が経過し、ハラスメント対策の義務化がどこまで教育現場に浸透しているのか、これだけ重要な事案なわけですから、それこそ、現状把握を行い、どのように理解を深めていくかの検討が必要ではないでしょうか。東京都では、2021年に教職員に対するパワーハラスメントに関するアンケート調査を行っています。

パワー・ハラスメントに関するアンケート調査結果について (tokyo.lg.jp)

 冒頭の設問は労働施策総合推進法の改正の認知度について聞いており、知っているが詳細な内容は知らない61.3%、知らない24.8%と併せて約85%の方が法改正の中身を知らない。法改正から1年後の調査でもほぼ浸透していない結果となっています。

 まずは現状の認知度、理解度も含め、実態把握の為のアンケート調査を代表質問で求めましたが、残念ながら「引き続き今まである枠組みを活用して、ハラスメント防止に向けて適切に対応していく」とのご答弁でした。それでは、現在の休職中の教職員は何名いるのか伺います。そのうち、精神疾患が理由で休職中の方は何名いるのか併せて伺います。

答弁3

教職員の休職についての御質問でございますが、本年12月1日現在、休職発令を行っている教職員は65名で、そのうち精神疾患によるものは52名となっております。

設問4

現在52名。休職されている方の8割は精神疾患という現状です。加えて、事前にお聞きした休職扱いとならない、30日以上90日以下の病気休暇中の先生は23名、うち精神疾患の方は18名とのことです。52名に加えて18名、合計70名の方が現在、精神疾患でお休み中であり、その理由がハラスメントなのか、長時間労働なのか、それ以外なのかについては把握していないということです。それ以上の実態はわからないというのが現状です。

11月に市内小学校のハラスメントが報道されてから、私たちのところには複数のパワーハラスメントの実態を伝える声が届いています。その実例を一つご紹介します。

ご相談者である元教職員の方は、職員の個人情報を漏らしたと、身に覚えのない疑いを校長からかけられ、ご本人は事実ではないことを校長に伝えましたが全く聞き入れてもらえず、校長は約2週間にわたり、ことあるごとにその教職員を校長室へ呼び出し、ここではとても申し上げられないほどの、その方の人格、存在さえも否定するような言葉を繰り返し、時間にして15分、長いときは30分間、相談者が疑いを認めるまで執拗に浴びせ続けました。

連日にわたり呼び出され、責められることで相談者の方は精神的に追い込まれ、誰にも相談さえできず、同僚に知られることなく、10年以上勤務していた本市の教育現場を後にされました。実際にその方からお話を伺いましたが、今でもそのことを思い出すだけで、悔しさと恐怖感がよみがえり、苦しまれています。その方の心の傷は余りにも深いです。

これは、労働施策総合促進法が改正されたあとの話です。こんなハラスメントの実態が、指導などとは逸脱した、人格否定を伴う陰湿ないじめのようなことが、川崎の子ども達の学ぶ教育現場で、今もなお、おきているのではないでしょうか。今までの取組の継続ではなく、早急に全ての教職員を対象としたアンケートという方法で実態調査を行うべきではないでしょうか。改めて伺います。

行わないのであれば、どのように今の実態を把握していくのか、そもそも実態を把握するつもりすらないのか伺います。

答弁4

ハラスメントについての御質問でございますが、

実態把握につきましては、厚生労働省の指針では、「必要に応じて、労働者や労働組合等の参画を得つつ、アンケート調査や意見交換等を実施するなどにより、その運用状況の的確な把握や必要な見直しの検討等に努める」

とされており、本市におきましては、各イ壬命権者の人事担当課や職員団体等で構成されるハラスメント防止対策委員会において定期的に意見交換等を行っており、引き続き、こうした枠組みを活用してまいります。

また、相談窓口の更なる周知や相談対応に従事する職員のスキルの習得・向上を図るとともに、相談窓口の在り方について関係局と協議を行いながら、職員が相談しやすい環境づくりに取り組んでまいります。

要望

 相談しやすい体制の在り方については賛同します。本当に苦しんでいる方が相談に繋がり、心の傷を最小限にとどめられるような、迅速、的確な対応ができる体制つくりに早急に取り組んで欲しいと思います。しかし、やはりまずはハラスメントに対する意識、実態を把握し、何が欠落しているのかを受け止め、的確な対策を取っていくことが必要であることは繰り返し要望しておきます。

 加えて、管理職の意識です。東京都のアンケートでも「職場におけるパワハラ防止のために教育委員会に求める取組としてどのようなことがあるか」の問いに対し、最多となったのは管理職の意識啓発研修です。私は、子ども達の為、現場の先生方の為、地域の為にご尽力されている素晴らしい校長先生を何人も存じ上げています。代表質問では報道にあったハラスメントの実態は氷山の一角ではないか?という表現をしましたが、氷山などないと信じています。しかし、指導の範疇など軽く飛び越え、その判断さえできず、職務上の立場を悪用した人格否定を繰り返しおこなっている校長がいるという実態が届いているのも、また事実なわけです。

 そんな方に、現在進めている第二次かわさき教育プランの基本理念「夢や希望を抱いて生きがいのある人生を送るための礎を築く」ことなど実践できるはずがありません。そんな校長が一人でもいるとすれば絶対に看過することはできません。教育長、教育次長、そして委員会の皆さんには、現場の先生方、子ども達のために、ハラスメントゼロ、根絶に向けて総力を上げて取り組んでいただくことを強く要望して、質問を終わります。


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