一般質問② 学校給食における食物アレルギー対応について
※正式な議事録ではありません。
学校給食の食物アレルギー対応について教育次長に伺います。
設問1
現在、教育委員会が把握している本市における食物アレルギーに該当する児童数はどのように推移しているのか、またその要因についての見解を伺います。
答弁1
学校給食における食物アレルギー対応についての御質問でございますが、小学校における食物アレルギーを有する児童数につきましては、平成25年度は児童数71,007人のうち、3,348人、令和4年度は児童数75,148人のうち 6,107人となっております。
食物アレルギーを有する児童が増加していることにつきましては、食生活の多様化に伴う環境の変化などが、その一因となっているものと考えております。
設問2
ディスプレイお願いいたします。
様々な環境変化により本市においても2013年度からの10年間で3348人から6
107人、割合でも4.7%から8.1%と約1.7倍と増加の一途を辿っています。子どもたちが毎日口にする学校給食のアレルギー対応について現状から伺っていきたいと思うのですが、以前は各学校判断で食べられない食物を可能な範囲で部分的に除去する一部除去対応、いわゆる個別対応が行われていたわけですが、現在は卵、乳、小麦に限り、除去食対応となっています。きめ細かな印象を受ける個別対応から卵、乳、小麦のみの除去食対応になった背景、その理由を伺います。(ディスプレイ結構です)
答弁2
学校給食における食物アレルギー対応についての御質問でございますが、
平成27年3月、文部科学省’が策定した「学校給食における食物アレルギー対応指針」では、安全性確保のため、原因食物の完全除去対応を原則とするとされたところでございます。こうした中、本市におきましては、従来の学校ごとの個別対応は、きめ細かく丁寧な対応である一方、学校に十分な体制が整っていない場合などにはアレルギー事故を発生させてしまう危険性もあることから、平成28年2月、「川崎市立学校給食における食物アレルギー対応方針」を策定し、卵、乳、小麦等の特定原材料7品目を除去食対応食品とするとともに、小学校及び特別支援学校では、施設設備、人員等を考慮し、除去食に対応する食品を各学校で検討し決定するものとしたところでございます。
設問3
国の対応指針が示されたのが2015年3月、その契機となったのが、2012年に調布市で発生した児童の死亡事故です。当時5年生の児童が、給食でおかわりした際に除去食対象であった料理を口にし、その30分後に体調が急変、尊い命が失われました。
その事故検証結果報告書では事故要因として、除去食についての情報共有、確認不足、エピペンの使用方法等が挙げられる中で給食指導においては、担任は給食を完食するという目標達成のあまり、おかわりがもたらす影響について注意を怠ったといった記載もあります。本市は学校給食のアレルギー対応について学校現場に対しどのような情報共有、意見交換、支援を行っているのでしょうか、伺います。
答弁3
学校給食における食物アレルギー対応についての御質問でございますが、
学校給食における食物アレルギーにつきましては、安全性を最優先し、組織的に対応することが不可欠であることから、学校管理職、学級担任、養護教諭、栄養教諭、学校栄養職員などを対象とした研修や給食担当者会議等の場において、市の対応方針を理解し、取組の方向陛や課題を共有するとともに、誤配や誤食による事故防止に向けた事例の共有などを行っているところでございます。
また、除去食の提供に必要な調理器具等を購入するなどの支援を行っているところでございます。
設問4
調理器具の購入支援については、申請待ちにならず、ぜひ積極的に学校現場へ働きかけていただければと思います。また学校現場と密に連携しヒヤリハット事例の共有等にも努めて頂きながら安全最優先で進めて頂ければと思うのですが、卵、牛乳、小麦の除去食対応ができない学校もあり、保護者が一部お弁当対応している状況があります。保護者の方から、子どもが通う学校は除去食対応ができないが、隣の学校はできているといった声を伺いました。例えば卵の除去食対応ができないとなると、本来なら卵抜きの八宝菜やおでんを提供できるのに、それができず一人、お弁当のおかずになるわけですから、クラス内で孤立感を生んでしまう懸念があります。またおかずのみの給食費換算が難しいということですから、同じ給食費を支払っている保護者に対し、公平性の観点からも除去食対応の環境作りは可能な限り進めていくべきと考えます。
現在、本市において除去食対応ができている学校とできていない学校はそれぞれ何校あるのか、また中原区内でできていない学校は具体的にお示しいただき、各校、人員なのか設備なのか、できていない要因を伺います。
答弁4
学校給食における食物アレルギー対応についての御質問でございますが、
はじめに、除去食提供の児童が在籍している小学校につきましては、令和4年度で114校中112校あり、うち除去食を提供している学校は85校、提供していない学校は27校となっております。また、中原区内では、小学校19校のうち、除去食を提供している学校は14校、提供していない学校は下河原小学校、平間小学校、玉川小学校、苅宿小学中支、木月小学校の5校となっております。
次に、除去食を提供していない主な理由についてでございますが、下河原小学校、平間小学校、玉川小学校、木月小学校につきましては、施設の狭隘や設備配置の点から、また、苅宿小学校につきましては、人員体制の点から、現時点では、対応が困難であり、除去食を提供していないところでございます。
設問5
市内、および中原区内ともに7割を超える学校で除去食対応できているということになります。中原区の5校のうち苅宿小については、人員確保の支援を進めて頂ければと思います。また狭隘、いわゆる狭くて提供できていないというご答弁もありました。文科省は一定の広さまで給食室を改築、新築する際に補助金を出す基準を示しています。その基準に下河原、平間、玉川、木月小をあてはめてみますと、ディスプレイお願いします。
不足面積と記載してしまいましたが、正確には在校児童数に対し、拡張して国の補助金を活用できる面積は下河原14㎡、平間143㎡、玉川86㎡、木月156.5㎡となっています。昨年7月に行われた地域医療審議会の中でも有識者の方から「教育委員会が川崎市の学校を所轄しており、課題を把握しているわけですから、教育委員会として予算を要求し、環境改善に取り組むということは実際に行っているのか」とお話されています。ご指摘の通り、国の補助金を活用できる余剰分もあるのですから、安全な除去食対応を行っていくうえで環境整備を行っていくべきです。今後の方針を伺います。ディスプレイ結構です。
答弁5
給食室の整備についての御質問でございますが、現時点におきましては、児童数の急増により食数の確保に課題がある学校への対応が最優先であると認識しており、給食室の増改築や内部改修により食数の確保を行っているところでございます。
増改築を行う際には、アレルギー対応も含めた環境改善を図るため、学校の状況に応じた整備を実施しており、今後も引き続き、増改築等の機会を捉え、可能な限り環境改善に努めてまいります。
要望
設備面で実施できていない中原区の4校のうち、国の補助基準に照らして特に狭いと思われる3校の建築年数は、平間小49年、玉川小46年、木月小52年と老朽化の懸念があります。2問目のご答弁にありました文科省が策定した「対応指針」には、市区町村教育委員会が取るべき対応として、食物アレルギー対応の充実のための環境整備及び支援のために適切な調理場の施設整備、必要な人員の配置と明記されているわけですから、川崎で学び、育つ全ての子ども達に安全、安心なアレルギー対応が行なわれる様、また給食室で働く調理員さんの職場環境の改善の面でも、給食室の環境整備を進めていただければと思います。この問題は引き続き取組ませていただくことを申し上げまして、次の質問へ移ります。