日本共産党
川崎市議会議員(中原区)

市古次郎

ブログ
2022年6月24日

一般質問① 保育士配置基準のうち本市加配分について

※正式な議事録ではありません。

 保育士配置基準について、こども未来局長に伺います。

設問①

 配置基準の質疑の前に離職対策について市の認識を伺います。保育士の離職率は10%前後を依然推移しており、特に経験年数の低い層が多く、8年未満の保育士が半分を占めている状況が続いています。まずは継続して勤務しやすい環境作り、離職対策が重要と考えますが、保育士の離職対策について、どのようなことが必要と考えているのか伺います。

答弁①

 保育士の離職対策についての御質問でございますが、令和2年にまとめられた国の保育の現場・職業の魅力向上検討会の報告書によりますと、「職場の人間関係」や「給料が安い」、「仕事量が多い」、「労働時間が長い」などが主な離職理由となっており、その対策といたしましては、安定的な保育体制の確保、処遇改善等による業務に見合った給与水準の確保、 ICT化の推進等による業務の効率化等が必要と考えているところでございます。

設問②

 安定的な保育体制、業務に見合った給与水準等が必要であるというご答弁ですので、現在の保育現場の業務負担についての御認識を伺いたいと思うのですが、代表質問でもご紹介した通り、保育現場からはとにかく人手が足りない。事務仕事が多すぎて保育に手が付かないといった声が数多く聞こえてきます。保育研究所、保育科学研究第9巻「保育士の専門性向上に伴う保育業務の変化の実態と課題」という研究調査では、10年以上勤務した保育士さんがこの10年間で業務負担が「多くなった」と答えた方が40.4%「非常に多くなった」8.2%と合わせて48.6%とおよそ過半数を占めています。これは、以前と変わらない16.9%、また「少なくなった」29.5%、「非常に少なくなった」3.7%の合わせて32.2%と比べても最多となっています。増えた業務項目について、さきほどのご答弁ではICT化の推進とあった中で、ホームページ、SNS作成、管理、ICTシステム導入などの「ICT化に伴う業務」、また、保育要録、園児要録、個別の保育日誌などの「保育記録の作成」が増加した業務の2位、3位であげられていますが、最も増加したといわれている業務は危機管理業務です。

 危機管理について、この10年間何か事件、事故が起こるたびに様々なマニュアルの見直し強化が図られてきました。例えばお昼寝時、0歳児は5分に1回、1,2歳児は10分に一回の睡眠呼吸チェックが必須です。プールは指導役の先生だけでなく、監視役の先生の配置も義務づけられ人員を割かなければなりません。「子ども達の命を守る」どれも大事な対策ですから重要です。しかし人員の補填はないまま、業務だけが増えていく。こういった実態が約過半数の保育士の方々が業務負担が増加したと回答する調査結果に結びついているのではないでしょうか。本市も保育士の業務負担が増加しているという認識があるのか伺います。

答弁②

 保育士の業務負担についての御質問でございますが、近年、保育に係る周辺業務が増加し、保育士の負担が増加する傾向にあるものと認識しております。こうしたことから、保育の質の維持・向上に資するためにも、保育士の業務負担軽減を図ることが重要と考えておりますので、市加算保育士の充足に努めるよう施設に促すとともに、国の補助制度を活用し、 ICT化の推進に必要なシステム導入経費に対する補助や、清掃業務等の保育に係る周辺業務を行う保育補助者の雇用に対する補助を実施しているところでございまして、併せて周知してまいりたいと存じます。

設問③

 増加する傾向にあるというご認識であること、それについて補助制度を周知していくという点は分かりました。その上で、今度は園外活動での置き去りです。国の方針で近隣の公園が園庭の代わりと認めてしまう規制緩和が行われ、園庭があれば園内で済んだ0から2歳児までの外遊びも園外活動となりました。事実、昨年12月議会での我が党の代表質問で、直近1年間で起きた園外活動での見失い3件、置き去り1件は全て園庭のない保育園で発生したことも明らかになっています。国の行った規制緩和が結局、子ども達の命の危険、保育士の負担増を招く結果となっていることは明らかです。今後は園外活動マニュアルの改訂が行われるとのことですが、現在の本市のマニュアルでは複数の職員を配置とされています。しかしそもそも4、5歳児30人に1人という配置基準となっているわけですから、プラスアルファの人員補助は必須です。最低でも昨年度行った児童の園外活動時の見守り等の保育支援者について人件費を補助する川崎市保育体制強化事業は今年度も継続して行うべきです。伺います。

答弁③

 川崎市保育体制強化事業についての御質問でございますが、園外活動時の見守り業務を行う保育支援者を配置する費用を支援することで、より安全に園外活動が行われるよう、今年度も引き続き事業の実施を予定しております。

設問④

 ありがとうございます。この事業は国、県の補助事業で市町村の負担割合は4分の1ということですが、実施しない自治体もあるようです。要件も緩和されたとご説明がありましたので、ぜひ実施して頂き、一つでも多くの園にご活用いただけるよう更なる周知を要望いたします。

 次に川崎市の独自加算についてです。インターネットや保育情報誌等では横浜市の名前が挙げられ配置基準が優れているという記載を良く目にしますが、本市の名前が全くでてきません。本市の独自加算は横浜市と比べてどうなのか少し検証してみたんですが、ディスプレイお願いします。

 川崎市に実際にある保育園で比較した場合、横浜、川崎それぞれの市加算を加えた保育士配置人数は、定員150人の保育園の場合、川崎市23人、横浜市20人。定員80人の保育園の場合、川崎市16人、横浜市13人。大型の保育所でも中型の保育所でも評判が良い横浜市よりもプラス3人分人件費が補助できています。担当の方にも確認していただきましたので間違いないと思います。これは保育現場、保護者の声に応え、市の職員の方々と一緒に築き上げてきた川崎市の財産です。業務負担が増していく中、最低でもこれを維持していくことが市の責務だと思います。しかし、今年度から、国から示された算定基準に統一される形で本市加算分の算定基準の変更が行なわれています。具体的にどのような変更が行なわれたのか。

 前段の文言での変更点は年齢区分ごとに保育士数を算出しの次の黄色の部分、「通分により算出」が削除されました。その他の小数点2位以下を切り捨てや4で除すること、最後の小数点以下切上げの部分には大きな変更はありません。影響が大きいと思われるのは特に黄色の大きい字の部分、小数点1位を切り上げだったものが小数点以下を四捨五入となったところです。

 例えば、0歳児9人、1歳児から5歳児は20人の定員の保育園の場合

 昨年度までは、年齢区分ごとに保育士数を通分、分母を30に併せて算出後に小数点2位以下を切り捨てますと12.3となります。小数点1位を切上げ後、4で除するため、13÷4となり、3.25、小数点以下切上げで市の加算分は4人となります。一方で今年度から採用されている国基準に基づいた算出基準では

 通分されない影響で合算後の数字が12.1となり昨年度までの12.3よりも低く算出され、さらに切上げではなく、四捨五入となりますから、12。4で割ると3。切上げするにも小数点以下がありませんのでそのまま3人となり、同じ保育園において昨年度と今年度で市の加算人数が4から3に、一人分減少という結果となりました。実際にこの算定基準に変更したことにより、市内認可保育園の市加算分にどのような影響があったのか伺います。

答弁④

 市加算保育士の算定基準の変更についての御質問でございますが、職員配置における算定方法の見直しにつきましては、令和2年度から2年間の移行期間を経て段階的に従来の市の算定方法から国の算定方法に見直しを行ったところでございます。対象となる認可保育所417施設について、本年4月時点の市加算保育士への影響を試算したところ、算定方法の見直しに伴う端数処理の取扱いの変更により、17施設につきまして、市加算保育士の配置が1名分減少しているところでございます。

設問⑤

 17施設で1名分減少。人件費の削減が行われたわけです。これは、今まで築き上げてきた本市保育士加算の後退と思うのですが、国からこの基準が示されたのは2015年です。これに準ずる義務は全くありませんでした。事実、本市の認可保育園で適用されたのは今年度、7年後です。なぜこのタイミングで算定基準を変更したのか伺います。

答弁⑤

 算定基準を変更した時期についての御質問でございますが、平成27年度に、子ども・子育て支援新制度の施行により、国から公定価格における年齢別配置基準の換算方法が示されましたが、本市では従来の算定基準を維持し、国基準の保育士配置に加え、市加算保育士を配置することを努力義務として促してまいりました。

 しかしながら、全国的に保育士確保が困難な状況の中、事業者から公定価格における年齢別配置基準の換算方法に対して、見直しの意見が寄せられたことも踏まえ、令和2年度から2年間の移行期間を設けて段階的に算定方法の見直しを行ったものでございます。

設問⑥

 事業者から見なおしの意見が寄せられ、2年間の移行期間で段階的に算定方法の見直しを行った。ディスプレイお願いします。

 1年目の21年度は国基準の算出方法を国の方針に統一しました。国の公定価格は、保育士さんの数でなく、児童数に対して支給されるとのことですので国からの補助金については影響がないんです。但し国の配置基準から溢れてしまった保育士の人件費については、市加算分で充当もできます。つまり市加算の枠を満たしていなかった施設、18施設に関しては保育士1名分の歳入増となったことこれは事前に説明がありましたので事実です。この点について事業者から見直しを求める声も確かにあったと思います。しかし、私が再三指摘しているのは、今年度の部分です。その見直しをそのまま市加算分にも適用したことによって、市加算を満たしていない施設とは逆に市加算以上に配置していた、保育士さんの配置を国や本市から支給される補助金以上に手厚くして、頑張られていた17施設が、歳入減となったわけです。事業者の声というのであれば、国基準の摘要まででとどめておけばよかっただけです。市加算分の見直しを撤回すべきではないですか伺います。

答弁6

 算定基準についての御質問でございますが、今回の見直しにつきましては、国の公定価格に見合った配置基準の算定に必要なものでございます。なお、マイナスの影響に対しましては、国及び市の配置基準を超えて職員が配置されている場合、定員超過補助金や保育体制強化事業補助金等、安定的な保育体制確保のための各種補助金を活用できる場合があることから、これら補助制度の活用の周知を図ってまいりたいと存じます。

要望

 国の公定価格に見合った配置基準算定に必要というご答弁ですが、もう一度申し上げますけども、そうであるならば、市加算の部分まで適用しなければ良かっただけです。義務でもなんでもないわけですから。ここまでのご答弁を振り返りますと、離職対策については安定的な保育体制の確保、処遇改善が必要であると、また保育士の業務については、負担が増加していると認識されているのにも関わらず、やっていることが違います。保育現場、保護者、職員の方々が一緒に築き上げてきた川崎市の優れていた保育士配置基準の後退がはじまってしまったと言わざるを得ません。更に言えば、まだまだ保育園のコロナ禍は終わっていません。今でも市内保育所のコロナ感染による臨時休園の報告は途切れることはないわけです。今、このタイミングでの人権費削減を含む見直しは絶対に行うべきではありませんでした。配置基準に関しては70年以上も変更しない国にも大きな責任があると思います。代表質問のご答弁の通り、本市から国に引き続き配置基準の改善を強く要望すると共に、市加算分の算定基準の見直しを撤回すること、維持、拡充はあっても後退は認められないことを強く要望して、次の質問に移ります。


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