一般質問② 川崎市子どもの権利委員会の答申について
※正式な議事録ではありません。
川崎市子どもの権利委員会の答申について、市長、こども未来局長、市民オンブズマン事務局長に伺います。
設問1
川崎市子どもの権利委員会は、子どもに関する施策の充実を図り、子どもの権利の保障を推進するために川崎市こどもの権利に関する条例に基づき設置され、現在8期目となります。市長、その他の執行機関は、行動計画を策定するに当たっては、子どもの権利委員会の意見を聞くとされており、2022年には「子どもの相談及び救済機関の利用促進」について市長からの諮問が行われ、委員会による不登校や一時保護されたこども達等のヒアリング調査等を経て今年4月に答申が出されました。
答申「子どもの相談及び救済機関の利用促進」https://www.city.kawasaki.jp/450/cmsfiles/contents/0000150/150625/tousinALL.pdf
まず、この諮問のテーマについてですが、第3期子どもの権利委員会に対しても「子どもの相談及び救済」について諮問を行っています。なぜ、同趣旨の諮問を行ったのか市長に伺います。
答弁1(市長)
子どもの権利委員会についての御質問でございますが、急速な少子高齢化の進展や社会経済状況の変化、また、新型コロナウイルス感染症の影響により、子どもを取り巻く環境が大きく変容していることや、子どもの権利に関する実態・意識調査において、困ったり悩んだりしたときに、相談・救済機関に相談「できない」「したいと思わない」と回答する子どもの割合が増加傾向にあることを踏まえ、これまで以上に子どもが相談しやすい環境づくりを行っていくことが大切であると考えております。
「子どもの相談及び救済」については、第3期子どもの権利委員会において、相談機関ごとに広報の手段、相談機会の確保、相談場所の環境整備、相談員の研修システムの充実等について提案があり、必要な措置をしてきましたが、改めて現在の社会状況等も踏まえ、多様な視点から検証いただくため、諮問したものでございます。
設問2
特徴的なことは子ども達が悩んだり困ったりしたときに相談「できない」「したいと思わない」と回答する子どもの割合が増加傾向という点だと思います。答申においても人権オンブズパーソンへの相談の減少が指摘されています。実際の相談件数の推移は過去10年間どのようになっているのか市民オンブズマン事務局長に伺います。
答弁2(市民オンブズマン事務局長)
人権オンブズパーソンに対する相談件数についての御質問でございますが、人権オンブズパーソンは、市民の人権の擁護者として、子どもの権利や男女平等にかかわる人権の侵害について、相談や救済の申立てを受け付けております。子どもに関する過去10年間の相談件数につきましては、平成27年度は17 1件、平成28年度は118件、平成29年度は110件、平成30年度は135件、令和元年度は118件、令和2年度は90件、令和3年度は89件、令和4年度は78件、令和5年度は74件、令和6年度は96件となっているところでございます。

設問3
10年前の171件から減少が続き、昨年度は微増だったものの96件にとどまっており、答申の指摘の通り減少の改善には至っていない状況です。前期にあたる第7期答申において「相談日程を増やし、ラインやメール等のテキストベースの相談の拡充を行うこと」と指摘されていますが、第8期のオンブズパーソンへの聞き取りでは、「人権オンブズパーソン制度のシステム環境・相談体制がデジタル化を想定したつくりになっていないため、社会の変化の速さに追い付いていない」というオンブズパーソンの見解が記載されています。子どもの権利条例には、「相談及び救済」について、人権オンブズパーソンに対し求めることができるとされているわけですから、まず相談窓口となる当機関が条例趣旨を鑑みて、SNS等を活用したテキスト相談体制の拡充を図るべきと考えますが、市民オンブズマン事務局長に見解を伺います。
答弁3(市民オンブズマン事務局長)
人権オンブズパーソンにおけるテキスト相談についての御質問でございますが、人権オンブズパーソンに対する相談につきましては、電話を基本としており、これは、対話によるコミュニケーションを通じ、相談者の伝えたいことを整理しながら相談内容を引き出し、相談者と一緒に問題の解決に繋げていくものでございます。
また、進展するデジタル化社会に適した相談環境の整備は重要と認識しておりますことから、スマートフォンやGIGA端末等からLOG0フォームによる相談受付も行っているところでございます。今後につきましても、社会状況の変化や他都市等の取組状況などを参考にしながら、人権オンブズパーソンにより相談しやすい手法等を検討してまいります。
設問4
進展するデジタル社会に適した環境整備の一環として答弁されたギガ端末等からのロゴフォームによる子ども達の相談件数は年間何件なのか市民オンブズマン事務局に伺います。
答弁4(市民オンブズマン事務局長)
LOG0フォームからの相談件数についての御質問でございますが、
子どもに関する相談につきましては、昨年度は8件でございます。今後とも、子どもや保護者等が困った時に、人権オンブズパーソンを思い出し相談ができるよう、より効果的な広報を工夫しながら行ってまいりたいと考えております。
設問5
電話を基本とした相談体制をなんら否定するものではありません。担当の相談員の皆さんは直接相談者等から声を聞くために現地に出向き、対面での対応を重視し、ご尽力されていることはお聞きしております。ロゴフォームの広報等の工夫も併せて取り組んでいただければ思いますが、やはり、本市が誇る子ども達の専門的な相談窓口として、幅広くSOSの声を聞く相談方法の拡充、それに見合った人員体制の強化を図って頂ければと思います。よろしくお願いいたします。答申では、川崎市に対してもアクセスしやすいあり方の工夫に取り組む必要があるとして、チャットやラインなどの多様な相談方法を求めています。子ども、若者の支援機関をまとめた「かわさきサポートブック」を見ると、本市が運営する相談機関は全て電話相談の案内です。一方で横浜市は2023年の途中からライン公式アカウントを運用しています。担当者の方に市独自で設置した目的をお聞きしますと、相談のハードルを下げることに加え、いち早く市内の支援機関に直接つなげるレスポンスの向上もねらいとのことで、2024年度だけで5381件の声が届いているとのことです。子どもの権利条例をどの政令市よりも早く制定した本市も、子ども達からのSOSの声を多様な方法で聞き取り、いち早く支援につなげる体制が必要です。本市としてライン等を活用した相談窓口の設置を検討するべきと考えますが、子ども未来局長に見解を伺います。
答弁5(こども未来局長)
相談窓口についての御質問でございますが、
様々な生きづらさを抱える子ども・若者は、周囲から置かれている状況が見えづらく支援の手が届きにくいことから、SOSをしっかり受け止め、適切な支援に繋げていくことが重要であると考えております。
本市におきましては、神奈川県及び横浜市、相模原市、横須賀市と合同で実施する「かながわ子ども家庭110番相談LINE」や、 NP0法人が実施する「あなたのいばしょチャット相談」へのりンクを市ホームページに掲載し、 GIGA端末に「そうだんしたいとき」というページのブックマークを登録するなど、子ども・若者がSOSを発信しやすいよう相談窓口の周知を行うとともに、相談機関等の職員が、「かわさきサポートブック」を活用して、相談内容に応じた支援に繋ぐことができるよう取り組んでいるところでございます。
今後につきましては、「かわさきサポートブック」の掲載情報の充実を図るとともに、他都市の取組事例も注視しながら、地域の多様な主体との連携・協働により、困難な課題を抱える子ども・若者への支援の一層の充実が図れるよう関係局区と連携しながら取り組んでまいります。
要望
権利委員会から提出されているヒアリング調査報告書には、市長からの諮問のきっかけとなったアンケート調査結果がまとめられています。
ヒアリング調査報告書https://www.city.kawasaki.jp/450/cmsfiles/contents/0000167/167586/hearingreport.pdf
その中で特に増加傾向なのは「相談したいけどできない」という回答です。どのような所なら相談できるか?という設問の自由記述欄にはLINE、声ではなく文字上でやり取りできる機関、といった声が複数届いています。この声にどう答えるかが問われているのではないでしょうか。答申は「この提言をどのように受け止め、市政に反映させるか、ボールは川崎市にある」と結ばれています。この答申を受けての措置は2026年です。このボールを真摯に受け止め、外部任せではなく、市が主体的に川崎の子ども達のSOSの声を受け止める体制つくり、及び行動計画の策定を求めて次の質問に移ります。