日本共産党
川崎市議会議員(中原区)

市古次郎

ブログ
2025年3月24日

予算審査特別委員会④ 等々力緑地再編整備における外周園路について

※正式な議事録ではありません。

8款建設緑政費のうち等々力緑地再編整備推進事業費の外周園路整備について建設緑政局長に伺います。

設問1

ディスプレイお願いします。

等々力地区の住宅街と緑地の間を通る閑静な道路があります。現在、この道路を幅員9mの外周園路として整備する計画ですすめられていますが、地域の方達からは幅員9mを見直し、貴重な自然を守って欲しいという声が届いています。この付近にはクゲヌマランというランが咲くとのことです。現地で捜索したのですが、花が咲くのはもう少し先のようで議場のディスプレイで咲いている姿をご紹介できないのは残念ですが、議会図書室にありました「神奈川の植物ときのこ」という図鑑には幻のランと紹介があり、環境省の絶滅危惧2類に指定され、本市では生田緑地と等々力緑地でしか確認されていません。またこちらは地域の方からご提供頂きました。昆虫が苦手なかたはもうしわけありません。

お隣の東京都ではレッドリストとなっている貴重なオオミズアオ等も生息しており、多摩川と等々力緑地を結ぶ貴重な生態系を形成しています。外周園路整備によってクゲヌマランは移植される計画とのことですが、移植が成功しない可能性があるとお聞きしました。なぜなのか伺います。

答弁1

等々力緑地再編整備・運営等事業についての御質問でございますが、

外周園路につきましては、現中央園路の廃止に伴い、その代替機能として、現中央園路の釣池北側から西丸子小学校南側にかけて整備するものでございます。園路整備によって移植を行う予定のクゲヌマランにつきましては、県の植物誌で海岸地帯のクロマツなどの林床に生えるとされているものでございまして、保全方法が確立されていないため、移植後に活着しない可能性が想定されるものでございます。

設問2

保全方法が確立されておらず、貴重なクゲヌマランが等々力からなくなってしまうリスクがあるとのことです。ディスプレイお願いいたします。

緑の道路が外周園路です。この外周園路の整備をめぐっては、答弁にありました中央園路の廃止に伴い

2012年に等々力地区にお住いの方達の生活道路として、川崎市が等々力緑地内を通る代替園路を整備する確認書が取り交わされていました。しかし等々力緑地再編整備のためのマーケットサウンディングを行ったところ、事業者側から代替園路の見直しを求める意見があり、市はそれに従う形で、代替園路整備を取りやめ

外周園路を整備することになりました。端的に言えば、住民との約束を事業者側の意向のみで撤回し、現在に至っているということになります。ディスプレイ結構です。

2021年には住民の皆さんから、約束をした代替園路の整備を進めて欲しいという請願審査が行われています。私も当時、まちづくり委員会に所属して議論に参加させていただきました。審査結果は「継続審査」となりましたが、各委員の皆さんからの共通の指摘は「住民との協議の継続」です。改めて、どのような住民との協議を行い幅員9mと決定したのか伺います。説明会は何度開催され、周知はどのように行われ、何名の方が参加したのか併せて伺います。

答弁2

等々力緑地再編整備・運営等事業についての御質問でございますが、

外周園路の幅員につきましては、沿道の町内会役員との意見交換を重ねながら素案を整理し、これについて、その後の説明会などで御意見をいただき、その結果、車両及び、公園利用者がそれぞれ安全に利用できる形態として、現中央園路と同等の幅員で計画したものでございます。

外周園路に関する説明会につきましては、町内会役員と周知や開催方法について確認し、町内への回覧や掲示による周知を行っていただいた上で、事業者とともに令和6年3月に開催し、 24名の参加があったものでございます。

設問3

参加者24名とのことですが、説明会に参加された方のお話によると、等々力にお住いの方の参加は6~7名だったとのことです。現在204世帯、391名の方達の生活道路が主題である説明会として、全く周知が不十分であったという認識はあるのでしょうか。今後の対応も含めて見解を伺います。

答弁3

等々力緑地再編整備・運営等事業についての御質問でございますが、

外周園路に関する説明会の周知につきましては、沿道の町内会役員と確認した上で、丁寧な対応に努めてきたものと考えているところでございます。

今後につきましては、本年春頃の事業説明会を予定しており、周知方法については、市や事業者のホームページへの掲載や各区役所でのポスター掲示を実施するほか、環境影響評価や都市計画の手続きにおける説明会に準じて、事業区域の周辺100メートルの範囲を基本に、お知らせを配布するなどの対応を行ってまいります。

設問4

周知方法の改善はぜひお願いいたします。外周園路の説明会への参加が少なかったのであれば、複数回の開催も検討するべきでした。また、説明会後、決定した際の説明は行われていないとのことです。周知、決定までのプロセスが不十分であったことは重ねて指摘しておきます。

緊急車両の通行についてです。中央園路の廃止に伴い緊急車両も通行禁止になるので幅員9mの道路が必要。という住民の方の声も伺いました。ごもっともなご意見だと思います。

中原消防署に確認したところ、現在、消防車等の緊急車両による等々力地域へのアクセスは公園内の中央園路をメインに通行しており、特にアクセス困難地域とはなっていないとのことです。再編整備後も園内の緊急対応等のために車両が通行できる道路は整備されるとのことですから、イベントがない平日等、公園内をアクセスルートとして残すべきではないでしょうか。わざわざ等々力地域へ向かう緊急車両を通行禁止としてアクセス困難地域とする合理的な理由はなんでしょうか。なにか法的根拠はあるのでしょうか。併せて伺います。

答弁4

等々力緑地再編整備・運営等事業についての御質問でございますが、

現中央園路の釣池北側から等々力陸上競技場までの区間につきましてはじすでに道路区域から除外し、法令上は園路となっているところでございまして、今回の再編整備において、緑地内の安全・安心な空間の確保や緑地中央部の分断を解消するため、この園路を廃止するとともに、代替機能を確保するため、新たに外周園路を整備するものでございます。

設問5

現在すでに法令上園路であるのに緊急車両は通行しています。法的根拠はありません。分断の解消とのことですが、中原消防署に確認したところ、等々力地区へのアクセスのため消防車等の緊急車両が、中央園路を通行したのは昨年度10回とのことです。月1回にも満たない刻一刻を争う人命への緊急対応が空間の分断になるという理由に何ら合理性はありません。緊急車両のアクセスルートとして園内ルートの確保を求めておきます。

外周園路の説明会で住民に配布された資料についてです。

資料には現在の計画である車道6m・幅員9m案の他に、クゲヌマラン等の希少植物への影響が「ほぼない」とされる現状の車道幅4mのままの幅員5m案、一部6m案、7m案の三つの対応案が示されています。

その資料には警察から「道路幅員は同等程度でも問題ない」という意見があり、川崎市からは

現在中央園路は国道409と多摩沿線道路の抜け道として利用されていることが考えられるとした上で、外周園路の車道幅員は狭い方が、車両の速度が落ちて時間的に遠回りとなり利用する車両は少なくなるといった記載があります。つまり、警察からは今のままで問題ない。市は拡幅すると緑地と住宅街の間を通る、閑静な生活道路が抜け道となる懸念があると認めているにも関わらず、なぜか道路の拡幅を選択したことになります。一方環境アセス準備書では、外周園路は車幅2mを超える生コン車やユニック等の工事車両が通行することが記載されています。工事を行う事業者側の意向を組んで拡張するのが目的なのではないのでしょうか。伺います。また幅員5m案にした場合、工事車両の通行にどのような影響があるのか併せて伺います。

答弁5

等々力緑地再編整備・運営等事業についての御質闘でございますが、外周園路につきましては、工事車両の通行のために整備するものではなく、一般車両及び公園利用者がそれぞれ安全に利用できる形態として、現中央園路と同等の幅員で計画したものでございます。

なお、工事の進捗に合わせ、再編整備の工事車両も外周園路を通行することを想定しておりますが、幅員5メートルの道路の場合につきましても、片側交互通行により工事車両の通行は可能であると考えております。

設問6

5m案にした場合、相互通行ではなく、片側交互通行になるとのことです。

事業費についてです。現行の9m案と5m案とした場合のそれぞれの事業費、差額を伺います。

答弁6

等々力緑地再編整備・運営等事業についての御質問でございますが、

外周園路の整備費につきましては、現在、実施設計を取りまとめているところでございまして、詳細な金額については、お示しすることが出来ないものでございます。

設問7

ディスプレイお願いします。資料には樹木の伐採本数について記載があります。

現在の9m案では174本、5m案では93本と伐採本数に81本の差があります。そのうち3m以上の高木の伐採本数の差は79本、10m以上は20本となっています。

樹木の伐採や伐根、剪定を行っている職人さんにお話を聞くと、高さ、幹の太さで様々としながら伐採だけで1本300万円する樹木もあるとのことです。樹木の伐採だけで比較しても事業費に大きな差が出るのは歴然です。

等々力緑地は子ども達から高齢者まで地域の方達の思い入れが強い緑地です。またこの外周園路については、整備までの背景を鑑みれば、特に丁寧な情報提供、意見交換を重ねていくべきでした。その点について全く不十分です。事業者の意向を聞き、住民との約束を反故にし、公園内の代替園路を整備しないとした以上、外周園路の整備は必要です。しかし現在の9m案ではクゲヌマランの移植は不透明、抜け道としての交通量の増や、多くの樹木の伐採によってオオミズアオ等の生物が生息する貴重な生態系が壊されるリスクもあります。幅員を9mとすることによる代償は計り知れません。だからこそ住民の方たちは自然との共存を求めて声を届けているのではないでしょうか。可能な限り説明会を行い、住民合意を得る努力を重ねて整備を進めるべきです。伺います。現在、官積算も含めた事業費の精査が行われているわけですから、その対象に外周園路も含めるべきです。併せて伺います。

答弁7

等々力緑地再編劉蒲・運営等事業についての御質問でございますが、

今後の再編整備の推進にあたりましては、事業全体についての説明会のほか、工事着手前にも工事内容に関する説明会を開催する予定でございまして、これらの説明会を通じて、住民の皆様へ丁寧に対応してまいります。

また、外周園路の工事費につきましても、適切に金額の精査を行ってまいります。

要望

外周園路整備に伴い、その計画地にたまたま咲いていたクゲヌマランはこの事業に対する自然からの問いかけではないでしょうか。もちろん事業者はこの契約となった以上、必ず利益を出さなければなりません。それが使命です。スーパー銭湯、所狭しと商業施設を敷き詰め、大きな立体駐車場を建設すれば、多くの人が訪れ、賑わいは生まれると思います。しかし、その陰では貴重な植物や小さな生物、野鳥たちの居場所が奪われていく。利用者の木陰も、子ども達が自由に遊んでいる広場も縮小され、交通渋滞は悪化の一途を辿っていく本当にこの再編整備をイケイケドンドンで進めていくのか、立ち止まるべきではないのか。クゲヌマランからの市に対するメッセージではないかと思います。事業の縮小、見直しを要望すると共に、必要不可欠となる住民や近隣学校等との相互理解を深めるための速やかな複数回の情報提供、一方的な事後報告のような説明会ではなく対話を重視した対応に尽くしていただくことを切に要望し次の質問を終わります。


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