代表質問抜粋(教育) 川崎市教育現場のハラスメント対策
教育現場でのハラスメント対策についてです。(正式な議事録ではありません)
11月1日、市内小学校の前校長によるパワーハラスメントの報道発表がありました。校長室で教職員に対して、必要以上の長時間にわたる指導、強い口調で叱責、物を放り投げる、教員の体を掴んで退室を妨げる等、4件についてパワハラと認定し市教委として初のパワハラを理由とした懲戒処分を行っています。
3名もの教職員を病欠に追い込むほど、職務上の地位の優位性を背景にした精神的、身体的苦痛を与え個人の尊厳を不当に傷つける行為が、子ども達が学ぶ教育現場で行われていたことは断じて許されることではありません。2019年に改正された労働施策総合推進法に伴い、「事業者がハラスメントを防止するために雇用管理上講ずべき措置」を義務付けるための指針が示されました。
その指針に基づき、本市教育委員会のハラスメント防止の取組について伺っていきます。
トップのメッセージについてです。
指針では、ハラスメントを行ってはならない旨の事業主の方針を明確化するとあります。事前に教育長のハラスメント防止に関するメッセージを確認したところ、今年6月の「職務規定の確保と公務員倫理の確立について」の通達文にわずか3行で記載がありました。全く不十分です。教育長として、ハラスメント防止の方針、メッセージを明確に示すべきです。伺います。
答弁(教育長)
ハラスメント対策についての御質問でございますが、
教育委員会においては、いわゆるハラスメント防止要綱において、基本的取組方針を定めており、ハラスメントは、職員の個人としての尊厳を不当に傷つけ、その働く権利を侵害する行為であるとともに、職場環境を悪化させることにつながり、公務の能率的な遂行を阻害するものであり、学校現場においては、児童生徒への日々の教育活動にも多大な影響を及ぼすものと認識しております。
これまでもハラスメントの防止に向けて、機会あるごとにその徹底を図ってきたところでございますが、今回の事案を重く受け止め、改めて、文書による通達や合同校長会議、各種研修会などあらゆる機会を捉えて、繰り返し注意喚起を行いながら、互いの人格を尊重する良好な職場環境の維持及び醸成に取り組んでまいります。
周知、啓発についてです。
指針では周知、啓発の為の研修を定期的に実施するとあります。本市教育現場におけるハラスメント研修について、合同校長会、中堅職員研修会、2校目異動研修等で30分ほどの講習を行っているとのことですが、現役の教職員に確認したところ、ほとんどの方は「受けた記憶がない」とのことです。講師を担当課長等が行うのではなく、弁護士等の外部講師を招き時間を確保して定期的に実施するべきです。伺います。
答弁(教育次長)
ハラスメントの防止につきましては、これまでも新任校長研修などの各種階層別研修等において、その徹底を図ってきたところでございますが、今回の事案を踏まえ、外部講師の活用も含め、研修の実施方法を工夫しながら、その充実に取り組んでまいります。
ハラスメント行為者の厳正な対処方針についてです。
指針では行為者に対する懲罰規定を定めその内容を周知、啓発することとあります。実際に他都市のハラスメント防止規則では「懲罰処分」と明記しています。しかし本市のハラスメント防止要綱は、行為者に対し「人事管理上適正な措置を講ずるものとする」と曖昧な文言となっています。厳正な処分を明確に示すべきです。伺います。
答弁(教育次長)
処分につきましては、「処分量定の標準」を定めており、代表的な事例を示しながら、目安となる懲戒処分の量定を明記しているところでございます。
相談窓口についてです。
指針では相談窓口を周知し、利用しやすい体制を整備しておくこととあります。しかし本市教育委員会ハラスメント専用相談窓口は教職員の誰に聞いても全く知られていないのが現状です。毎年配布する服務掌冊子に記載し周知を図っているとのことですが、周知方法を改めるべきです。伺います。また迅速、適切な対応が図れるよう相談窓口の職員体制の整備、及び研修を実施するべきです。伺います。
答弁(教育次長)
相談窓口につきましては、ハラスメント防止啓発リーフレットや服務掌冊子等において周知しているところでございますが、職員が相談しやすい環境づくりは重要と認識しておりますので、様々な方法を用いながら更なる周知を図ってまいります。また、庁内外の研修等を活用し、相談対応に従事する職員のスキルの習得・向上に努めるとともに、教職員人事課で対応している相談窓口の在り方についても関係局と協議してまいります。
相談者の不利益取り扱い等についてです。
指針では相談、協力を理由に不利益な取り扱いを受けない規定、プライバシーを保護するための措置を実施するとあります。ところが本市の要綱では、当事者のプライバシー保護、不利益な取り扱いについて努力義務となっています。これでは全く不十分です。義務化とするために要綱を改めるべきです。伺います。
答弁(教育次長)
相談者の不利益取扱いの防止につきましては、いわゆるハラスメント防止要綱第9条では、「職員がハラスメントに対する苦情相談の申出、調査への協力その他ハラスメントに対する当該職員の対応に起因して職場において不利益な取扱いを受けることのないよう留意しなければならない」と定めており、引き続きこの規定に則り、適切に対応してまいります。
実態調査についてです。
本件の報道後、私たちのところに複数の教育現場からパワハラの実態を伝える切実な声が届いています。本件は氷山の一角ではないでしょうか。指針に基づき作成されたリーフレットでは、「アンケートで実態を把握する」とありますが、本市の教育現場においてアンケート等による実態把握を一度も行っていないとのことです。全教職員に対し、ハラスメントについてアンケート調査を行うべきです。伺います。
答弁(教育次長)
実態把握につきましては、厚生労働省の指針では、「必要に応じて、労働者や労働組合等の参画を得つつ、アンケート調査や意見交換等を実施するなどにより、その運用状況の的確な把握や必要な見直しの検言寸等に努める」とされており、本市におきましては、各任命権者の人事担当課や職員団体等で構成されるハラスメント防止対策委員会において定期的に意見交換等を行っており、引き続きこうした枠組みを活用することで、ハラスメントの防止に向けて適切に対応してまいります。