決算審査特別委員会⑥ 学校における保護者負担軽減の検討を(教育委員会予算より)
※正式な議事録ではありません。
13款2項2目及び13款3項2目教育振興費のうち備品購入費について伺います。
設問1
備品購入費ではどのようなものを購入しているのか伺います。
答弁1
備品購入費についての御質問でございますが、
教育振興事業費では、理科教育の充実を図るため、生物顕微鏡や人体模型、電子てんびんなどの教材備品を購入しております。
設問2
そういった備品は公費で購入するとはっきりしているわけですが、各学校が購入している様々な備品や教材について、これは公費なのか、私費なのか、明確でないものもあると思います。具体的には、学事課が昨年度作成した「公費・私費の負担区分について」の公費の中の、用途別区分に該当している教材等です。例えば、「柔道着」「彫刻刀」は用途別区分に該当していますが、用途別区分の考え方について「学校に備え付け、共用または貸し出し用として使用するものは公費・教科や行事で共用として使用するものは公費」と説明されています。学校で使用する柔道着や彫刻刀は私費で購入する認識なのですが、なぜ用途別区分に該当しているのでしょうか、その目的を伺います。
答弁2
学校で使用する柔道着や彫刻刀についての御質問でございますが、
個人で所有するものにつきましては、本来、各家庭で御用意いただくものになりますが、忘れ物などのために備え付ける場合や、学校で共用又は貸出し用として使用する場合は、公費により購入することも考えられますので、用途別区分に記載しているところでございます。
設問3
忘れ物と共用対応のための公費購入とのことですが、同じく用途別区分に分類されている算数セットは、保護者がフルセットで購入する学校と、かずのブロックやけいさんカードのみ購入する学校があるとお聞きしていいます。保護者負担が学校によって差異が生じていると思うのですが、なぜこのようなことが可能なのか伺います。
答弁3
学用品についての御質問でございますが、
各学校の教育課程につきましては、児童生徒の心身の発達の段階の特性及び学校や地域の実態を考慮し、教員の創意工夫を加えて学校が編成するものであり、各教科の学習活動も児童生徒や地域の実態に応じて展開しております。
そのため、各教科の学用品につきましては、教育効果を上げるために、各学校の教育課程に応じて、個人所有又は共用のいずれかを選択しているところでございます。
設問4
選択というと聞こえは良いですが、算数セットにおいて、必要な備品を管理している学校と、全て保護者に購入をお願いしている学校があるというのは保護者負担の公平性の観点から逸脱していると思います。算数セットの共有が可能なものは公費で一律に学校管理とするべきではないでしょうか。伺います。
答弁4
共有が可能な学用品についての御質問でございますが、
各教科の学用品の管理につきましては、各学校の教育課程、学習活動に応じて、必要な学用品が異なることから、一律に管理することは難しいものと考えているところでございます。
設問5
学習活動に応じて必要な学用品が異なるということですと、ある学校は算数セットを使わずに学習を行っているという風にも聞こえますが、そうではなくて、例えば算数セットの時計だけを学校側で一括購入して、子ども達に共有しながら学習を行っているとお聞きしています。使用する教材は同じで学習を進めているのに、保護者負担が違うことを指摘しています。根本の課題は、教材の購入判断をギリギリの予算でやりくりしている学校判断にしているということではないでしょうか。学校任せではなく、市として検討していくことが公平性の観点からも必要と感じます。
加えてお聞きしたいのが、学校における保護者の経済的負担の軽減についての観点です。この点については文科省の事務連絡をはじめ、各自治体でも取り組みが進んでいます。
海老名市では、保護者負担経費について保護者へのアンケートを行い、その結果を受けて保護者、学校、教育委員会で構成する義務教育の保護者負担検討委員会を設置し、議論を重ね使用頻度の低い柔道着、彫刻刀については市費で購入し学校管理に。加えて小学校1年生時1万円、中学校1年生時1万7千円を教材費として支給しているとのことです。
保護者負担経費検討にかかるアンケート結果報告|海老名市公式ウェブサイト (city.ebina.kanagawa.jp)
本市は保護者負担軽減について、今後どのように検討を進めていくのか伺います。
答弁5
保護者の負担軽減についての御質問でございますが、
これまでも、個人所有となる学用品等の負担が過重にならないよう十分に検討することや、公費と私費の負担区分の基本的な考え方に基づく適正な予算執行等を行うよう、学校に周知するほか、経済的な理由で費用支出が困難な家庭への生活保護制度や、就学援助制度の適切な活用などを行ってまいりましたが、今後も引き続き、可能な限り軽減を図っていく必要があると認識しておりますので、学校への周知も含め取り組んでまいります。
要望
可能な限り軽減を図っていく必要があるという認識はありながら、明確にされたのは「学校への周知」だけでした。繰り返しますが、学校任せでは保護者負担の差異が生じることは明白です。杉並区が今年5月にまとめた「義務教育保護者負担軽減のあり方についての報告書」
杉並区立学校における義務教育保護者負担軽減のあり方検討委員会での検討報告について(令和5年5月29日)|杉並区公式ホームページ (city.suginami.tokyo.jp)
には、少子化が進んでいる大きな要因の一つとして教育費の負担感があり、これを解消していくためには、収入、家族の状況にかかわらず、公平・平等に、子どもは地域、社会全体で支えていくという視点で施策を構築していく必要がある。こうした対策は、国は中心となって進めていくべきと考えるが、地域ごとに特性も異なることから、住民に最も近い基礎自治体において、できることから取り組む必要があると、まとめています。
学校における保護者の経済的負担軽減のとりくみについて、「収入、家族の状況にかかわらず、公平・平等」の観点から、まずは川崎で暮らす保護者の声を聞き、市として方針作成の検討を要望し、この取り組みは引き続き注視させていただくことを申し上げて質問を終わります。