日本共産党
川崎市議会議員(中原区)

市古次郎

ブログ
2022年8月13日

横浜市中学3年生まで医療費無償化へ 横浜でできて、川崎でできない理由はあるのか?

 8月11日、お隣の横浜市から中学3年生まで医療費無償化のニュースが入ってきました。

横浜市、中学3年まで医療費無償化へ 所得制限を撤廃、2023年度内から(カナロコ by 神奈川新聞) – Yahoo!ニュース

 私達は再三、他都市に比べて大きく遅れを取りいまだ小学校6年生までとなっている小児医療費助成についての拡充、及び必要な医療・教育・保育を受けるのはその子どもの固有の権利であり、保護者の収入で格差を生じさせるべきではないと所得制限の撤廃及び一部負担金の廃止を求めています。

 特に所得制限については、本市では2割を超える世帯が助成対象外となっていること、本市の市民税等を加味した場合、可処分所得の逆転がおきていること、国に求めるという答弁に対しては、その国自体が主要国で唯一所得制限を設けている異例の子育て支援を行なっていること、

 2019年時点ですでに85.6%の自治体が所得制限撤廃に踏み切っていること(その後、近隣では鎌倉市や寒川町、東京23区、そして横浜市も)を直視し、国に求めるだけでは他都市との差は広がるばかりであることを昨年12月議会の一般質問でも指摘しています。

 市は「限られた財源の中で、持続可能な制度として着実に運営していくため、引き続き所得制限を設けていく必要があると考えております」と、財源が厳しいことを強調する答弁に終始しました。

予特質問③ 小児医療費助成の所得制限について | ブログ | 市古次郎 日本共産党川崎市議会議員(中原区) (ichiko-jiro.jp)

 一方で横浜市は、小児医療費の所得制限撤廃を決めました。横浜と比べて、本市の財政状況は本当に厳しいのか?

 横浜市のHPで以下のようなものを見つけました。 

令和4年度 横浜市予算 ひと目でわかる横浜の財政 横浜市 (yokohama.lg.jp)

 そこには、他都市と横浜市の様々な財政状況の比較が行なわれています。抜粋してご紹介します。

 市税収入構造は横浜市と類似しており、個人市民税の割合が高く、市民の皆様1人ひとりに支えられている、景気に左右されにくい収入構造となっています。

 市民1人あたりの市債残高は、横浜市よりも約10万円低い状況です。

 実質公債費比率、将来負担比率共に横浜市より良好です。

 市民1人当たりの負債額は横浜市よりも4.4万円低く、市民1人当たりの行政コストも2千円横浜市より高いだけで、他都市とは桁違いの低さです。

 この状況で、横浜市はできて、本市は財政状況が厳しくてできない?

 報道によると、横浜市の中学3年まで医療費無償化について新たにかかる費用は39億円と試算されているとのことです。本市が実施した場合、20億円の費用がかかると私達の過去の調査で明らかになっています。

 この20億という額が、限られた財源の中では捻出できない…

 先日、環境委員会で臨港道路東扇島水江町線整備事業(直轄)に係る事業評価監視委員会の結果について報告がありました。

 川崎市:令和4年度 環境委員会 (city.kawasaki.jp)

 その中で示された資料の中に、

 事業費の見直しに伴う新たな980億円の事業費のうち、(市負担165億円増)という記載がありました。

 市は遺憾としながらも、コスト削減を要請しながらも、工事を実施されたい。と。

 なんだ、出るじゃないですか。ポーンと165億円。

 遺憾としながら165億円は環境委員会での報告のみで支出する方針を示し(この問題については看過するわけではありません)小児医療費拡充、所得制限撤廃については、何度議会で要望しても、どれだけ署名が届いても、財政が厳しいの一点張り。

 誰を、どこを見て市政を運営しているのか。

 本市には2000年に制定された子どもの権利条例があります。その条例策定の背景にあったのは、国が批准した「子どもの権利条約」です。子どもの権利条約は、 

 すべての子どもには、生命・生存・発達の権利、最善の利益を保障される権利、意見が尊重される権利、差別されない権利の保障をうたっており、

 本市の子どもの権利条例の前文は

 子どもは、それぞれが1人の人間である。

 という文言から始まります。

 保護者の収入に関係なく、子ども1人ひとりの権利が保障される社会。これが本市の条例に込められた趣旨ではないのでしょうか?

 もうできない理由を述べている場合ではありません。いや、子どもの権利条約から照らしても、横浜市の財政状況と比較しても、できない、やらないという言い分は全く通用しないところまできています。すでに外堀は埋め尽くされているんです。

 市長、ご決断の時です。


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