12月議会代表質問(抜粋) 新型コロナ対策について
新型コロナウイルス感染症対策についてです。
※正式な議事録ではありません。
【質問】新型コロナ第6波に対応する医療提供体制についてです。
病床確保についてです。本市は第6波に向けては「第5波で拡大した最大確保病床数を反映し、災害時レベルのフェーズ5で477床を確保した」と伺いました。しかし、第5波8月の感染拡大ピーク時の最大確保数295床の使用率は、重症病床が146.7%、確保病床全体でも93.9%と、ほぼ満床状態でした。同月のコロナ陽性者の救急搬送件数は958件でした。この期間における医療機関への受け入れ照会が4回以上の救急搬送困難事例も402件ありました。また、自宅療養者はピーク時3,800人に達し、容態が急変した40代2名が亡くなっています。必要な方に充分な医療が提供できなかったという認識はあるのか、伺います。
【答弁】健康福祉局長
医療提供体制についての御質問でございますが、本市の確保病床数につきましては、 8月22日時点では295床、現時点では当時の1.6倍を超える最大
477床の病床を確保しているところでございます。
なお、現在まで、入院調整に時間を要する場面はございましたが、入院適用基準に即した要請があった方については全員入院していただいております。
今後につきましても感染再拡大に備えて、病床の更なる拡充とともに、病院の機官を・規模等に応じたコロナ医療と通常医療需要の受け皿としての役割分担と連携に向けた取組を進めてまいりたいと存じます。
【再質問】
第5波においては「入院適用基準に即し要請があった方は全員入院」し、現在、本市が確保する477床は第5波感染ピーク時の1.6倍になっているとの答弁でした。
しかし、本市の入院率は感染ピーク時わずか6.7%で、自宅療養者が3,800人にも上りました。神奈川モデルの入院適用基準スコア5の方が全員入院できたのでしょうか、伺います。
また、入院調整に時間を要する場面はあったとの答弁ですが、実際、すぐに入院できない、入院を拒否された事例もあり、そのような状況が半月間も続くこと自体、医療ひっ迫の表れではないでしょうか。477床の増床も感染の急拡大には間に合いませんでした。今後、感染の急拡大が再度起こったときに477床は即応できるのか、伺います。
【答弁】健康福祉局長
医療捌共体制についての御質問でございますが、第6波に備えて、この間、各病院とは、他の通常医療二ーズとの均衡、及び人員体制の確保の実効性などを勘案しながら、個々の状況に応じた協議・調整を行い、現時点で市内では最大477床を確保するどともに、「神奈川モデル」全体では、国の示す「今夏の1.3倍の病床数」を超える約2,500床を確保し、広域搬送体制を整えているところでございます。
加えて、病床確保の協定では、県からの要請を受けて3週間以内の病床稼働を定めておりますが、本市では、これまで同様に、市域の感染状況や県からの事前情報を踏まえながら、県の要請前でも稼働準備を呼び掛け、1日も早い患者受入れを図るなど、引き続き、状況に応じて迅速かつ的確に対応してまいりたいと存じます。
【意見】
「病床確保の協定では、県からの要請を受けて3週間以内の病床稼働を定め」、市独自にも医療機関への働きかけを行ったとのことですが、それでも第5波の感染急拡大には間に合いませんでした。民間医療機関などは、病床確保、人材確保をするためには時間がかかり、財政的な保障もないと困難です。ぜひ、医療機関がいつでも安心して要請に応えられるよう、県や国待ちにせず、市独自の財政支援もして、県の要請前からの病床、人材確保を求めておきます。
【質問】病床確保について
国からは第5波時の130%の病床拡大が求められています。本市でもさらなる病床拡大をすべきです。伺います。
たとえば東京都は、第3波以降、都立広尾病院をコロナ専門病院と位置づけ、島しょ部対応病床以外の240床をコロナ病床に転換し、集中的にコロナ患者を受け入れてきました。第5波終息後も「危機事象対応こそ公立病院の使命」と、この体制を維持しています。市民のいのちを守るべき公立病院として、市立3病院こそ、ICUやHCU、ネーザルハイフロー等の医療資源や感染症専門医、スタッフを拡充し、危機事象時にはコロナ集中医療機関としても機能する体制を強化すべきです。伺います。
【答弁】病院局長
新型コロナウイルス感染症対応に係る体制強化についての御質問でございますが、市立病院におきましては、地域における基幹病院及び中核病院として、救急やがん、小児、周産期など、重要かつ不可欠な医療を提供しながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況に応じて、一般病床の一部休床によりスタッフを配置転換し、必要な病床を確保するとともに、補助金を活用して医療機器や設備を拡充するなど、順次、受入体制を強化してきたところでございます。
こうした取組を通じて、川崎病院では、救命センター病棟20床をすべてコロナ病床に転換し、累計で重症入院200例以上に対応するとともに、井田病院では、第
5波の際に、病院の西側の病棟を、一部を休床にしながら、すべてコロナ対応としており、入院受入数の累計は約800名になっております。また、多摩病院では、感染症病床がない中、入院受入数の累計は約550名,となっており、いずれも県下トップレベルの実績を残しております。
第5波の状況を踏まえた神奈川県にょる病床確保フェーズの見直しでは、確保病床数が最大となるフェーズ5が設定され、川崎病院では重症26床を含む62床、井田病院では92床、多摩病院では36床、 3病院合計で190床を確保しております。
今後、感染が拡大した場合におきましても、県や関係局と連携し、地域に必要な医療を提供しながら、公立病院としての役割を果たしてまいります。
【質問】年末年始の発熱外来開設に協力した医療機関への協力金についてです。
昨年度は新型コロナウイルス感染拡大が懸念される中、年末年始の医療提供体制の確保を図るため、年末年始に発熱患者等の診療・検査を行う「発熱診療等医療機関」や新型コロナウイルス感染症患者の入院受け入れを行う医療機関に協力金支給が行われました。新型コロナウイルス感染再拡大が危惧される今年の年末年始も、発熱診療に協力する医療機関への協力金を支給すべきです。伺います。
【答弁】健康福祉局長
医療機関への協力金についての御質問でございますが、新型コロナウイルス感染症に対応する医療機関として、神奈川県の指定を受けた「発熱診療等医療機関」のうち、年末年始の対象となる期間に発熱患者の診療を実施する体制を整備した場合には、県と本市が連携して対応することを検討しているところでございます。
【意見】
新型コロナウイルス感染再拡大が危惧される中、今年も年末年始の発熱診療を開設する医療機関に協力金を支給し、医療機関の協力を得られるよう求めました。「県と本市が連携して対応することを検討している」とのことですが、県と横浜市も協力金支給を発表しています。早急に協力金支給を決定し、対応することを求めておきます。
【質問】ワクチン接種と検査体制についてです。
新型コロナの追加接種が開始されます。11月17日時点、本市では12歳以上の全対象者の82.1%が2回目の接種を終え、3回目接種券は個々の接種状況に応じて段階的に発送するとのことです。1,2回目接種の際に予約が取りにくい状況が発生しましたが、今後はどう改善されるのか伺います。新たな接種対象者や希望者に対しても、スムーズに接種できるよう配慮すべきですが、対応について伺います。また、ワクチン接種をしても感染するブレイクスルー感染は、神奈川県感染症対策協議会の報告では全感染者の2.56%に見られました。重症化や死亡を防ぐ効果は認められつつも、ワクチン接種だけでは感染の抑え込みはできません。やはり、必要な方が無料で迅速に、PCR検査を受けられる検査体制が必要です。伺います。
【答弁】健康福祉局長
新型コロナワクチン接種についての御質問でございますが、はじめに、追加接種の予約についてでございますが、高齢の方でも円滑に予約を行えるよう、通院の際など、かかりつけ医療機関から予約案内を実施していただくとともに、接種券発送時に協力医療機関の一覧を同封する予定でございます。
また、協力医療機関を容易に見つけることができるよう、市予約サイトの利用促進に向けて、市内医療機関と調整を進めており、併せて、各月の対象者数を踏まえた接種体制を構築してまいりたいと存じます。
次に、 1・2回目接種につきましては、新だに対象年齢を迎える方や療養等により接種できなかった方など引き続き希望者に接種機会を提供する必要があるものと芳えておりまして、個別接種による接種体制を継続するとともに、今後再開する集団接種会場におきましても、特定の曜日における受入枠の設定等を検討しているところでございます。
次にPCR検査についての御質問でございますが、令和3年11月に国から示された「次の感染拡大に向けた安心確保のための取組」の中で、誰もが簡易かつ迅速
に利用できる検査の環境整備が示されたところであり、本市といたしましては、実施主体である神奈川県と連携を図りながら、国の動向を注視し、対応してまいりたいと存じます。
【質問】新型コロナの後遺症対策についてです。
後遺症に悩む方が増えています。国立国際医療センターが、2020年2~6月に退院したコロナ患者を対象に行った疫学調査では、後遺症は年代や重症軽症にかかわらずコロナ罹患者の76%に見られ、また症状が多岐にわたり、最近では「ブレイン・フォグ」と呼ばれる、脳に霧がかかったように判断力や認知機能が低下する症状も問題視されています。世田谷区が行った調査では、無症状者でも3割に後遺症が出ることがわかりました。
川崎市在住の40代女性は9月にコロナに感染。発熱もなく軽症でしたが、療養期間終了後に突然激しい咳や刺すような胸の痛みに襲われました。かかりつけ医を受診しても原因がわからず、ネットで探し当てたコロナ後遺症外来を受診し、症状は緩和されたものの完治には至っていません。不定愁訴の原因究明には複数の検査を受けねばならず、受診や治療にかかる時間や経済的負担がつらいと訴えています。後遺症は6か月以上続く場合もあり、現役世代にとっては就労にかかわるため深刻な問題です。
独自の後遺症アンケート調査で実態把握に乗り出す自治体は増えており、東京都や埼玉県は後遺症のチェックシートやリーフレットを作成し、後遺症外来への紹介も行っています。本市の新型コロナ罹患者は11月17日現在、累計で4万149人。その約8割が何らかの後遺症を抱えている可能性があります。本市でも、アンケート調査の実施や相談窓口の開設を急ぐべきです。伺います。
【答弁】健康福祉局長
新型コロナウイルス感染症の後遺症についての御質問でございますが、療養期間終了後においても、一部の症状が残るいわゆる後遺症は、御本人にとっては、日常生活や仕事、学業などの支障が出る場合も想定され、また、大変な不安や悩み
を抱えながら生活を送られる状況となることは認識しているところでございます。
国の研究事業による実態調査の中間報告によりますと、新型コロナウイルス感染症になった後、治療や療養が終わっても、疲労感や倦怠感、息切れなど、一部の症状が長引く人が見られる一方で、長期に遷延する症状の実態や、回復後の経過等については、いまだ不明点が多い状況にあるとされております。
現在、本市では、新型ユロナウイルス感染症の後遺症に関する一般的な質問については、「川崎市新型コロナウイルス感染症・ワクチン接種コールセンターにおいて対応しているところでございますが、後遺症と感じられる場合には、症状にょり、先ずは、新型コロナウイルス感染症の診断を受けた医療機関や、かかりつけ医、お住いの近くの医療機関等への相談、必要に応じ受診いただくことを
基本として考えているところでございます。
なお、今月には、国から「罹患後症状のマネジメント」として診療の手引きが発表されたところでございますので、今後につきましては、国の手引きを参考にするとともに、引き続き国や他都市の動向を注視してまいりたいと存じます。
【意見】
アンケート調査の実施と相談窓口の設置を求めましたが、国の手引きに基づき既存のコールセンターで対応するとの答弁でした。しかし、後遺症についてはいまだ不明点が多く、後遺症は今後も増加することが予測されます。厚労省も自治体における実態把握を促しており、罹患者数の多い本市だからこそ、疫学調査の意味があります。実態調査と後遺症に悩む方々を速やかに医療に結びつける専門窓口の設置を改めて求めておきます。
【質問】市立病院へ後遺症外来設置について
また、市立病院にコロナ後遺症外来も設置すべきです。伺います。
【答弁】病院局長
市立病院へのコロナ後遺症外来設置についての御質問でございますが、
後遺症で受診される患者さんは多くはございませんが、その症状は様々であるため、川崎病院においては総合内科、井田病院においては感染症内科’や呼吸器内科で診察し、症状に応じて他の診療部門と連携して治療を行っております。
また、多摩病院においては、聖マリアンナ医科大学病院の後遺症外来に紹介しているところでございます。
現時点におきましては、後遺症外来を設置する予定はございませんが、今後、医療二ーズを把握しながら、必要な刈応を検討してまいります。
市立学校教職員と保育士等への定期的なPCR検査についてです。
検査対象者はワクチン未接種者などに限定されていますが、ワクチン接種の有無や基礎疾患などは重要な個人情報です。学校や施設経由で検査キットを対象者に渡すことで、これらの情報が特定されかねない危険があります。対象者に直接郵送するなどの方法にすべきですが、伺います。
またワクチン接種後にブレークスルー感染している事例が全国で増えています。教育を受ける権利の保障や再度の感染拡大の予兆や感染状況を早期に探知することを目的とするならば、すべての教職員・保育士等を対象に定期的にPCR検査を行うべきです。伺います。
【答弁】こども未来局長
保育所等へのPCR検査キットの配付についての御質問でございますが、
本検査は、子どもの安全を確保するとともに、保育所等の運営を安定的に行うことを目的に実施するものでございまして、 PCR検査キットを各施設へ配布し、御協力をお願いするものでございます。
実施に際して、職員等の個人情報を事業主が保護することは大変重要であると考えておりますので、施設での検査キットの受け渡しや検査結果の取り扱いなどに配慮しながら、適切な実施を図ってまいりたいと存じます。
また、検査対象者につきましては、新型コロナワクチンは、感染を予防する効果が確認されていると国が示していることを踏まえ、ワクチン未接種者を対象としたところでございます。
【答弁】教育次長
PCR検査についての御質問でございますが、市立学校教職員のPCR検査につきましては、検査結果が陽性と判明した場合、学校運営上、至急管理職が対応する必要があるため、希望者が直接専用サイトで申し込むとともに、検査を希望する具体的な理由は不要とした上で、申込の事実を管理職に報告することとしている
ところでございます。
検査の実施に際しましては、管理職が希望者に直接検査キットを配布すること、さらに、希望者が検査機関に検体を送付することにより、個人情報に配慮しているところでございます。
検査対象者につきましては、新型コロナワクチンの感染予防効果を踏まえワクチン未接種者を対象とするとともに、新型コロナウイルス感染症には重症化しやすい基礎疾患があることが国から示されていることから、一定の基礎疾患のある接種者も対象としているところでございます。