日本共産党
川崎市議会議員(中原区)

市古次郎

ブログ
2020年10月7日

予算が足らない。

なんで言われないとやらないの?

 夏から秋にかけて、大変多くの要望が届く雑草の除去や街路樹の剪定。9月27日(日)だけでも、一斉美化活動の場で、地域を廻っている最中にも続々とご要望を頂戴します。

例えば…

二ヶ領用水の草木の剪定、除草であったり
苅宿神社のユリノキの剪定であったり

 ユリノキに関して言えば、一見「何が問題なの?」と思われるかもしれませんが、一説によりますとユリノキは昆虫の宝庫と言われており、よく見ると…

3匹のカメムシが…
(友人提供画像①)

 そこから飛び立ったカメムシは、時には洗濯物に付着したり、また時には…

部屋にお邪魔したり
(友人提供画像②)

 カメムシは危険を感じると異臭を放つ習性がある為、慎重に対処しなければ、洗濯物や家具に臭いが付着することも…毎年対処に苦労している方からは、定期的な複数回の剪定(葉に卵を産む習性がある)や消毒作業等の要望が届きます。しかし、複数回の剪定が行われることはなく、毎年のようにカメムシとの攻防が繰り広げられ、結果、私や道路公園センターに要望を届けることとなり

「なんで、言われないとやらないの?」 

 といった声になるわけです。

時には陥没の危険も…

 次にご要望が多いのは、道路の修繕や段差の改善、街路樹などの植樹からではなく、アスファルトの隙間から力強く生えてきた草木の除草です。

多摩沿線道路
アスファルトの隙間から生命力豊かに
ガタガタと剥がれてしまったL型側溝
新丸子駅前の横断歩道にかかる歩道(改善後)
ベビーカーや高齢者の手押し車が引っ掛かるとの声が届きました。
道路に亀裂があるというご相談
原因は下水道管の漏水でした。
放置していたら陥没の恐れもあったとのこと。

 道路維持補修費と街路樹維持管理費

 ここまでご紹介した街路樹等、市が植樹した樹木や垣根を管理する為の予算は「街路樹維持管理費」、道路から生えた草木や道路の補修、修繕をする為の予算は「道路維持補修費及び、その内の陳情等があった場合の修繕対応に使用する緊急工事分」となり、主に各区に「区づくり推進費」として配分されます。

決算審査特別委員会

 10月5日まで決算審査特別委員会が開催され、

※決算審査特別委員会とは…

「決算」が議会に提出される9月定例会において、その認定審査のために設置される委員会(米沢市HPより抜粋)

 先日まちづくり委員会分科会での各議員(委員)の皆様からの質疑が終了いたしました。本年度私は、僭越ながらまちづくり委員会、委員長を務めさせて頂いておりますので、私の役目は議事進行、個人の質疑時間はなかったのですが、石川議員をはじめ「道路維持管理費」や「街路樹維持管理費」について質疑がありました。その質疑の中で明らかになったことは

道路維持補修事業費で雑草等の処理、その内の緊急工事で道路の修繕、補修を行うとのこと
分科会での質疑を中心に作成

石川議員の資料を基に作成

 ここ3年、道路維持管理費はほぼ100%前後を推移、緊急工事、街路樹維持管理費は共に予算執行率100%を越えているということです。先のブログで「とどかない支援」と題して、小規模事業者臨時給付金を取り上げさせていただきました。申請率5%で終了。つまり予算執行率5%です。それに比べて軒並み100%越えの執行率。バランスが悪すぎる…各区の道路公園センターは与えられた区づくり推進費の中で、やりくりして、あちこちから流用しながらの対応になっているとのこと。この執行率だけを根拠に、予算が足りないと断定することはできないかもしれませんが、毎年予算がオーバーすると分かっているとすると、道路に生えた草木などの除草や、多少の道路の凸凹は後回しにしようと、若しくは言われたら対応しようと、「鳴くまで待とう…」ちょっと違いますね。とにかく対応が後手後手になることは察しがつきます。 

 この予算執行の状況では、現在、年に1回の街路樹(特にユリノキ)の剪定を定期的に、例えば春先(虫対策)と秋(落ち葉対策)の年2回のペースに。という剪定回数を増やす要望の実現は遠のきます。しかし、本市が平成22年に作成した「公園緑地の維持管理」には…

https://www.city.kawasaki.jp/530/cmsfiles/contents/0000021/21486/ijikanri.pdf

 「高木については冬と夏、年2回の剪定を」との記載があるのです。計画と実務に差が生じています。

 ランニングコストの関係でできないのであれば、例えば昆虫の宝庫とも言われているユリノキについては、民家が隣接している場合は別の樹木への植え替えは?という声も聞こえてきます。

川崎市街路樹管理計画

 川崎市も何もしないというわけではもちろんありません。「川崎市街路樹管理計画」として今後の街路樹のあり方を定めています。

https://www.city.kawasaki.jp/530/page/0000096594.html

 その中で、「更新」という項目で、中低木への変更(植え替え)の検討の記載があり、

対象樹木は「ユリノキ」が半数です。

 中原区でも対象地域はあるものの、

平成30年~令和9年度実施プログラムより
中原区の対象地域は更新ではなく撤去の方針。

 令和9年度までで、対応がとられるのは上記区間のみの計画となっています。

 しかし、一方で川崎をブランディングする街路樹による「まちづくり」と銘打って緑化推進重点地区を指定。中原区は言うまでもなく、小杉地区を指定し、定期的な剪定等による統一美を発揮できる街路樹として管理するとのこと。俗に言う、選択と集中です。

まとめ

 と言っても、なんだか話を広げすぎましたので、伏線の回収です(回収しきれなかったら申し訳ありません)。後半はほぼ街路樹のことだけでしたので(街路樹に絞れば良かった…)、まず街路樹の意義について、本市は以下の5つの機能があると定義しています。

 ②環境保全③緑陰形成機能に関しては納得です。④交通安全機能に関しては「そういう機能もあるんですね」と勉強になりました。しかし、①景観向上と⑤防災機能については…

8月29日撮影(南武沿線道路、中丸子付近)

 景観向上?防災?雨が数日降らず、万が一火災が発生した場合、草木に燃え移り、延焼が広がる危険性の方が…

 やはり定期的なメンテナンスをして初めて街路樹の機能、魅力を最大限発揮できるのではないでしょうか。小杉を重点的に管理する。それを100%否定はしません。しかし、

「こっちは草ボーボーで、金かけんのは小杉ばっかりだな…」

 という声が南武沿線道路沿いにお住まいの方から届きます。少し車を走らせるとそんな草ボーボーの状態が、川崎の主要幹線道路で起こっています。これが「川崎をブランディング」することなのか甚だ疑問です。過度な選択と集中は、切り捨てと受け取られかねません。

「東京の道は綺麗だぞ~」

「横浜も最近は綺麗よ~」

 隣の芝生は青いのか?他都市との比較も検討しましたが、幹線道路の長さ等で一概に比較ができず、もう少し調査が必要ですので、

 ここは、決算審査特別委員会で示されたデータ、及び私が感じる現場の状況のみで進めます。

 改めて街路樹維持管理費の予算執行率を貼ります。

 支出額は増加傾向であるのにも関わらず、予算額は据え置きのまま。現場の道路公園センターには懸命に対応をしていただいております。しかし、毎年のように声を上げなければならない剪定、除草の要望を頂戴する方からは

「なんで、言われないとやらないの?」

 いつまでたっても修繕が行われない道路については

「一体いつ頃になるの?」

 その度、道路公園センターに進捗を確認すると

「今、調整中です。」

 の回答。

 その裏で懸命に予算をかき集めながら対応しているという予算執行率の状況を鑑みれば、

予算が足らない。

 と結論付けても、過言ではないと考えます。

 街路樹の機能が最大限発揮されれば、それは貴重な市民の財産になります。しかしそれが近隣住民の悩みのタネになっているとすれば、本末転倒です。誰もが快適で安心安全なまちづくりの実現の為にも、道路維持補修費と街路樹維持管理費は予算の増額が必要です。

 引き続き。

 長々と失礼いたしました。

 

  


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