日本共産党
川崎市議会議員(中原区)

市古次郎

ブログ
2020年7月8日

川崎市の新型コロナウイルス感染患者の発表について

 おとなりの東京では昨日(7月7日)まで連日コロナウイルス感染者が100名を超え、川崎市でも4月23日以来の2桁【7月3日11名、5日10名】となる感染者が発生しており、罹患された方々には心よりお見舞い申し上げます。

 連日更新される市内感染者情報は「川崎市内の新型コロナウイルスに感染した患者の発生状況」として本市のホームぺージのトップで発表されています。

http://www.city.kawasaki.jp/

 このコロナウイルス感染者発表について、検査数の少なさから民間で行った検査数は含まれているのか?また感染者も民間の検査結果を反映しているのか?というご質問を頂戴した為、関係局から聞き取りを行い、本市の発表資料の詳細を以下、ご説明させていただきます。

①その前に、PCR検査とは?

(本市HP、川崎市健康安全研究所⇒ウイルス検査、記載内容より抜粋)

患者の血液や糞便のほか、食中毒検査の場合は原因とされる食品等から、特定の薬品等を用いてウイルスの遺伝子を抽出し、PCR法という方法によりウイルス遺伝子を増幅させます。増幅させた遺伝子は、電気泳動の後UV照射写真撮影を行い、目的のウイルス遺伝子が増幅したかどうかを目に見える形で確認し、陽性か陰性かを判断します。

 増やしたい遺伝子を増幅させ、増幅する過程で特殊なマーキングをすることで、増えた遺伝子を目で確認する事ができるようになるとのことで、主に食中毒検査等で用いられる検査方法。また別途ウイルスを検出する方法として、抗原検査という方法があります。以下が、PCR検査と抗原検査の相違点です。

厚生労働省HPより

 主にインフルエンザ検査で用いられているのが抗原検査。精度のところで一定以上のウイルスが必要な為、感度がPCR検査より低いという欠点も指摘されています。

※最近は、抗原検査でも検体を送り民間で検査する方法も出てきているとのこと。

②本市のPCR検査体制

今回の調査で感染症対策課からお示し頂いた資料。
(ありがとうございました)

 もう少し掘り下げます(資料右上部分を拡大します)。

※1市内医療機関とは

 主に帰国者・接触者外来を設置していない総合病院を指します。

※2医師会が運営する集合検査所とは…

 5月11日より川崎市が公益社団法人川崎市医師会に運営を委託し、市内の病院や診療所の医師が検査を行う施設。市内3か所に設置。

http://www.city.kawasaki.jp/350/page/0000117308.html

検査機関の補足

①自施設⇒普及はまだまだこれからとのことですが(ネットでは大手メーカーが開発を進めています)、簡易キットを使用しての検査で、主に抗体を搬送しない抗原検査を実施しています。

②健康安全研究所⇒川崎市の衛生行政を支える科学的・技術的中核機関

http://www.city.kawasaki.jp/kurashi/category/22-13-8-0-0-0-0-0-0-0.html

↓↓場所↓↓

③民間検査機関⇒当初は検体数がある程度まとまってからの対応だったようですが、最近は企業努力でレスポンスも良くなってきているとのこと。

③発表までのスケジュール

発表日が7月5日だった場合

①7月4日に行った検査を集計⇒

②検査結果をベースに翌日の7月5日午前中に職員が行動歴、濃厚接触者等の追跡調査実施⇒

③その結果を7月5日午後に感染者発生として報道発表

④以上を踏まえて、市の発表資料を見てみますと…

7月5日報道発表の資料で見てみます。

患者情報①、②の方は両者共に医療機関を受診し検体を採取、安全研究所で検査を実施。

 患者情報④の方は医療機関で抗原検査(簡易検査キットを使用した検査)を実施。

 患者情報⑤の方は帰国者・接触者外来設置医療機関を受診、検体を採取しています。

患者情報⑧の方は医師会が運営する集合検査場で検体採取後、民間検査機関で検査を実施。

 以上の10名が新たな感染者情報となります。

 7月5日に発表があった感染症患者の方々の検体検査場所、検査機関をまとめますと、

検体採取場所

  • 市内医療機関8名(うち抗原検査2名)
  • 帰国者・接触者外来設置医療機関1名
  • 医師会が運営する集合検査所1名

検査機関

  • 市健康安全研究所6名
  • 民間検査場2名
  • 医療機関での抗原検査2名

となります。

 新たな感染者の方の発表が終わりますと、次に「市民の皆様へ」という題名で各ご相談、問い合わせ先記載ページとなります。

 「症状のない方の検査を行なうことはできない」とありますが、この点に関して先の議会で、医療従事者、学校、保育所、幼稚園、介護施設等クラスター発生の可能性、三密が避けられない環境で働く方々への定期的なPCR検査を本市に求めましたが、未だ積極的なPCR検査の実現には至っていません。

 次に、これまで感染された方々の経過が示されるページになるわけですが…

 亡くなられた23名の方々には謹んでお悔やみ申し上げます。

(7月8日現在も23人のままです)

 更に上記部分を拡大しますと、

 

 7月4日の検査検体数97件とありますが、この数には、民間検査場で行った検査数は入っておらず健康安全研究所での検査結果のみの件数となります。

 以上のことから、例えば健康安全研究所のみのコロナ陽性率は

6÷97×100=6.185567となり

約6%となります。

 横浜市では民間検査場で検査したものも合わせたPCR検査数の資料提供があったようですが、本市では正確性を欠くため、公表については検討中とのこと。

⑤まとめと課題

 まず、本市が発表する「新型コロナウイルス感染症患者の発生について」にはご質問で寄せられた、検査数は民間の数は入っておらず、感染者は民間の検査結果も入っているということになります。また今回の調査過程で分かりにくい記載もあり、改善も要望させていただきました。

 また、これは6月議会の代表質問でも指摘していますが、保健所の職員の方達は、陽性者が確認されると

  • 2日前からの行動、接触した方の氏名、連絡先の聞き取り
  • 2週間前どこで感染したかの他県も含め調査
  • 感染者への入院調整、軽症の方はホテル等へ
  • PCR検査の検体や感染者を搬送
  • 他都市からの追跡調査依頼などなど…

多岐にわたる調査、対応が必要とされます。1日に10名の感染者が発生しますとかなりの激務が予想されるわけです。今まで縮小(20年間で人口30万人増に対して保健所の職員数53人削減)してきた本市の保健所体制の強化は必要不可欠です。

 加えて、現在市議団で実施している「コロナウイルス対策に関する市民アンケート」では、発熱等の症状が出た場合、PCR検査がいつでも受けられる体制を求める声が本当に多く寄せられています。今回の関係局での聞き取りでは、医療関係者や民間事業者のご協力、ご尽力で検体採取場所や検査機関も増えてきている実態はあるようです。しかし、例えば患者情報⑩の方は発熱から陽性判定まで6日間を要しています。

 詳細は不明ですが、その間発熱が続いていた可能性もあります。今後も発熱などの症状が続いているのにも係わらず、PCR検査が受けられないような事例が発生しないよう、市内検査体制や市の支援体制、正確な情報発進も含め、注視、改善を求めていかなければなりません。

 最後に、今回のブログ、調査は寄せられた声がきっかけでした。正直、普段は感染者の人数ばかりで、分かっているようで分かっていなかった本市が毎日行っているコロナウイルスに関する情報提供について(誤った説明、記載があればなんなりとご指摘ください)、各医療機関での検査体制、及び民間検査技術の進捗等、新たな発見の機会となりました。声を寄せて頂いた方々に心より感謝申し上げます。

 引き続き。

 

 


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