日本共産党
川崎市議会議員(中原区)

市古次郎

ブログ
2020年8月10日

PCR検査拡充について

 

ヒト(人員)

 冒頭で、日々、様々なコロナウイルス対応にご尽力されている職員の皆様に心から敬意を表します。

 しかし、PCR検査拡充については、感謝だけで終わらせる訳にはいきません。

 そもそも、市の職員の方々にとって、市会議員とはなんなのでしょうか?

 「先生」などと呼ばれますが、これに関して言えば、職員の方が議員の名前を忘れたとき、若しくは間違えないようにあえて「呼称」を使用して「先生」と呼んでいる背景もあるとのことですので…話がそれました。

「それは…パンクします」

 PCR検査の拡充について現状の聞き取り、要望を伝えた際、課長さん側から聞こえてきた声です。

 例えば市議会議員が会社でいうところのお客様だった場合、無理な仕事を頼まれ苦慮したときに「いついつまでお時間頂ければ…」と代替案?を提示、若しくは「私の車を2駆から4駆にしてくれ」(実際にありました)等のあまりにも突拍子もないご依頼だった場合は低調にお断りします。私も前職が課長職だった為、同じ社内であれば「人が足らんのでパンクする!」ということは漏らしたかもしれませんが、部外者の方に対しては「パンクします」などとはなかなか吐露できず、なんとか任せられた人員で対応を検討していたと思います。

 しかし、行政側から出てきた言葉は…

 「パンクします」

 コロナ感染拡大が続く状況下、現場の職員の方からまだ1期目の私に対して、そんな言葉がこぼれてくるほど、切羽詰まっている、明らかに人員が足りていないのです。

 本市のコロナウイルス感染者は8月4日から5日連続で20名を超えています。20名を超えてくると、お一人お一人の行動歴調査が追い付かなくなり深夜まで業務が続いているそうです。

本市ではないですが、日経新聞さんの記事

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58039770U0A410C2CC1000/

ちなみにその調査を行っている本市の感染症対策課は…

http://www.city.kawasaki.jp/350/soshiki/8-3-8-0-0.html

 文字通りコロナウイルスの対応だけをしているわけではなく、子どもの予防接種、風疹対策等、そして間もなくやって来るインフルエンザ対応も迫られることになります。

モノ(検査機器)

 前にブログでもお伝えしましたが、本市が運営する遺伝子検査場は川崎市健康安全研究所。そのキャパについては、8月4日市長が発信した動画の中で「1日あたりの検査数は300件まで」という発言がありました。

http://www.city.kawasaki.jp/kurashi/category/22-5-15-1-0-0-0-0-0-0.html

 担当の方へ根拠をお聞きしたところ、同研究所には遺伝子検査ができる機械が3機あり、1回に検査できる検体は24人分。前処理等もあり検査に要する時間は最低でも2~3時間(4~5時間かかることも)を要するとのこと。3機あるので24×3で72人分。4回転させたとして8~12時間で288人分の検体検査が可能という計算になります。24時間体制?という発想もあるかもしれませんが、検査をする方も大学の研究所で研究に携わっていた等、一定の専門的な知識、経験が必要となり、簡単に人員は増やせないとのこと。

 一方で、抗原検査キットの開発も進んでおり、この普及が進めばインフルエンザ検査同様に、多くの医療機関でその場で判定ができる状況も見込めるとのことで、

 いわゆる過渡期(検査方法の切替期)という認識。

 但し、これもブログで前述しましたが、抗原検査の精度については、

 ■抗原検査の精度
 抗原検査キットによりますが、PCR検査との比較で、ウイルスが400個以上で93%、100個以上83%、30個で50%と言われています。したがって、ウイルス量が少ない時期には、実際は感染していても陰性になってしまう可能性があります。

記載元All About(オールアバウト)さんの記事https://allabout.co.jp/gm/gc/484554/

 

 また、民間検査機関の検査数は本市で公表が始まった7月29日の時点で市研究所での検査数を上回っており、8月4日には市研究所のキャパ数300を超える453件の検体を検査しています。

カネ(財源)

 やれやれとだけ言うのは、仕事柄、無責任とのご指摘も受けます。財源についても少し触れておきます。但し正確なモノではない可能性もありますので、ご指摘あればなんなりと。

 まず、そもそも上記で市が公表しているのは行政検査(保険適用あり・自己負担なし)の数です。行政検査の他には、例えばプロ野球選手やJリーガー、仕事等で海外渡航される方が自ら検査をする自由診療(保険適用なし・自己負担あり)があります。

8月4日市長の動画内で使われた画像

 この行政検査を拡充するべきだと考えます。例えば、保育所でコロナウイルスに罹患された方が発生した場合、保健所、保育所で罹患者の行動歴から濃厚接触者を協議し、PCR(行政)検査対象者を決定。それ以外の職員、園児等は行政検査対象外、

「ご心配な方は自費でどうぞ。」

 というのが現在の状況です。PCR検査の相場は2万円から3万円と言われており高額です。

 ある方からは、会社が検査費用を負担してくれたので、家族全員PCR検査を受けることができたというお話もお聞きしました。

 これは、社員を守る為に疑いがある場合には早めのPCR検査を実施することが事業継続をする上でも重要であることの現れではないでしょうか?しかし、4人家族の場合8万円~コロナ禍においてどこの企業、事業者でも容易に負担できる金額ではありません。

 個人、及び事業者でも負担が大きくなる自由診療という名の自己負担PCR検査。密が避けられない保育所等でコロナ感染者が発生した場合は、職員、園児を含めた施設利用者は、行政検査の対象にするべきです。

 ちなみに、厚生労働省から7月15日付で保健所設置市等に送られた通知には…

 濃厚接触者だけでなく、「クラスター連鎖が生じやすいと考えられる状況にある」場合には行政検査の対象となると記載されています。保育所などはまさにクラスターが発生しやすい場所であるわけですから、上記で記載した、コロナ罹患者が発生した場合の保健所、該当施設との協議の中で、行政検査の対象として定められるのではないでしょうか。そうなれば、財源は国費で賄えることになるわけです。

 次に、本市独自でPCR検査を拡充する場合の財源となりますが、国からコロナ対策として「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」が交付されています。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/rinjikoufukin/index.html

川崎市へ交付される額は1次、2次合わせて約88億円。

市ホームページより

 ここまでで予算執行した額、約42億円(じもと応援券30億円については前のブログで記載したので今回は割愛します)

市から提出された資料より

 単純計算で残り46億円。

 さらに8月7日、厚生労働省から新たな事務連絡が届きました。

新型コロナウイルスに関するPCR検査体制の更なる強化についてhttp://www.toyama.med.or.jp/gunsi/tona/member/new_corona/2020.08.07_newcorona_pcr_kensa_kyouka_.pdf

 

 そこには、第2次補正予算(上でお示しした地方創生交付金のことです)を活用し、PCR検査機器等の整備に取組んでいただきたい。さらにさらに

 唾液検査の活用促進(検査時の感染リスク低減)、幅広くかつ、積極的に検査という文言がようやく国から出されました。

 8月9日の市内感染者は26名。過去最高を更新しています。26名中、感染経路(感染者との接触歴等)にはっきり記載があるのは9名。残りの17名には記載がなく、市中感染が確実に広がっていると言わざるを得ません。

http://www.city.kawasaki.jp/350/page/0000115886.html

 国からの検査拡大要請は遅すぎる気も否めませんが、まずは地方創生交付金を活用し、例えば行政区ごとで感染者、陽性率が上昇している地域を中心に(現在は川崎区、中原区等)、感染震源地を特定、積極的なPCR検査を実施し、無症状者の把握、保護に取組むべきです。

※感染震源地とは…感染者とくに「無症状」の感染者が集い、感染が集積されている地域。

 その為には、 

「20名の感染者が出ると追いつかない」

「PCR検査を増やすとパンクする…」

 という声が聞こえてくる担当局、及び保健所の早急な体制強化は必要不可欠です。

 そもそもコロナウイルスは最近始まった話ではありません。2月にダイヤモンドプリンセス号で集団感染が発生し、同月には神奈川県で国内初となる犠牲者がでています。4月からの緊急事態宣言、学校一斉休業、市内も感染が広がりました。2月から半年が経過しているのにも係わらず、市は何ら対策を講じてこなかったのか。1日に20名以上感染者が出るという想定すらしていなかったのか。その根拠はどこにあるのか。多くの疑問が残ります。

 昨日も「発熱の症状発生からPCR検査を受けられるまで6日間かかった。」

 という声が届きました。

 8月7日の厚生労働省からの通知には最後のページにこうあります。

 「相談から結果判明までの日数の改善を図られるよう取組んでいただきたい」

 国の方針をただひたすら待つ。という受け身一辺倒の本市の姿勢ですが、これでやらない理由を挙げることの方が難しくなったのではないでしょうか。

 梅雨が明け、暑い日々が続きますが、夏が過ぎればすぐにインフルエンザの季節がやってきます。コロナとインフルエンザの判別は非常に難しいという医療関係者からの声もお聞きしています。

 医療崩壊を防ぐ為にも、経済を少しでも回していく為にも、そして市民の暮らしを守る為にも、保護隔離施設の確保も含めた積極的なPCR検査体制の早急な構築が必要不可欠です。

 長文、失礼いたしました。

 引き続き。


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