5月補正予算、「川崎じもと応援券」について
明日、5月13日からの臨時議会で、本市のコロナウィルスに対する「川崎市緊急経済対策」に伴う補正予算、約1800億円について各党、会派の質疑が行なわれます。
そもそも補正予算とは…
- 予算をわかりやすく、単純にするためには本来、予算の調整も当初予算のみの一回とするのが望ましいのですが、国の補助金等の変動や緊急やむを得ない場合などに予算の追加その他の変更を行うものを補正予算といいます(岡山市HPより)。
- 補正予算とは、当初予算調製後に生じた事由に基づいて、既定の予算に追加や変更を加える必要が生じたときに調製される予算です(会津若松市HPより)。
他都市の説明の通り、緊急時に新たな予算を組み対応するというもので、直近では、台風19号被災者支援金や浸水対策を目的とした事業を実施する際に補正予算が組まれています。
そして今回の補正予算は云うまでもなく、当初想定していなかったコロナウイルス対応が生じた為、新たな予算を組み「川崎市緊急経済対策」と銘打って支援を行なうというものです。
1781億円のうち、1549億円は一人10万円支給される「特定定額給付金」の支給事業ですので、国からの交付金で賄われます。
そして、マスコミにも取り上げられ、なんといっても今回の目玉政策となっているのが
川崎じもと応援券
内容は13000円分の商品券を10000円で販売するというもの。
金額は30億円を計上していますが、補正予算書の説明によると、財源は全て新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時金から賄われるとのこと。
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時金とは(内閣府HPより)
新型コロナウイルス感染拡大を防止するとともに、感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生 活を支援し地方創生を図るため、緊急経済対策の全ての事項についての対応として、地方公共団体が 地域の実情に応じてきめ細やかに必要な事業を実施できるよう、「新型コロナウイルス感染症対応地 方創生臨時交付金~脱コロナに向けた協生支援金~ 」を創設する。
〇使途
地方公共団体が地域の実情に応じてきめ細やかに実施する ・ 新型コロナウイルス感染症に対する対応(感染拡大の防止策、医療提供体制の整備) ・ 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた地域経済、住民生活の支援 等の事業に充当。
聞こえてくる声は
川崎じもと応援券の目的の所に記載がある、「売り上げが大幅に減少している飲食店」の方から聞こえてくる声は、
「収入がなくてもお店の賃料は変わらない、その負担があまりにも大きい」
「自粛が続くと、あと1ヶ月もつかどうか…」
という切迫した声が聞こえてきます。実際に商品券を申請し、手元に届くまでどれくらいの時間を要するのか?「新型コロナウイルスの状況を見極めつつ、可能な限り早期に販売」とありますが、
ちなみに2015年に行った今回とほぼ同規模の予算額33億円の「川崎プレミアム商品券」は…
抽選と先着順という違いはあるものの、記者会見から販売まで約3ヵ月半の時間を要しています。
それまで補正予算内にある「新型コロナウイルス感染症対策対応資金利子補給金」を活用し、融資で繋いでくれといわれても記載の通り利子補給の期間は3年まで。いつまでも無利子ではありません。そもそも融資だけでは運営費が嵩むだけで、抜本的な支援策にはならないのです。
コロナが終息し、いざ「川崎じもと券」を持ってお店に行っても、すでに閉店してしまっていた。ということになりかねないのではないでしょうか。
他都市はどうか?(5月12日時点)
全てではありませんが、調査した範囲で判明した他都市の支援事例。
休業協力金⇒休業要請に応じた事業者に対する協力金
- 札幌市⇒個人事業主に北海道の協力金に10万円上乗せ、合わせて上限30万円
- 仙台市⇒宮城県一律30万円に加え、市独自で上乗せ10万円、市内に2施設以上有している場合は上乗せ額50万円、合わせて最大80万円支援
- 千葉市⇒中小企業・小規模事業者の店舗に対し賃料減額や免除、支払い猶予などの対応を取ったビル等のオーナーに協力金を支給する。上限50万円で、減額した家賃の8割を補填。
- 新潟市⇒1事業所あたり10万円、複数の店舗で営業時間の短縮をしている事業者20万円
- 豊橋市⇒1事業者あたり25万円(愛知県50万円)
- 大阪市⇒大阪府と1/2ずつ負担、中小企業100万円、個人事業主50万円
- 名古屋市⇒愛知県と1/2ずつ負担、1事業者あたり50万円
- 浜松市⇒静岡県の20万とは別に1事業者あたり50万円、2事業所以上有する場合は100万円
固定費補助⇒売上減少、休業を余儀なくされた事業者に対する家賃などの補助
- 宮崎市⇒同月比売上高等が50%以上減少した中小企業等に家賃の8割補助
- 熊本市⇒休業要請を受け休業した市内事業者に対し、熊本県の休業協力金30万円とは別に賃料の8割(上限28万円)を補助
- 横須賀市⇒3月から4月、売上20%減で月20万円、上限2ヶ月で40万円賃料補助
- 神戸市⇒テナントが入る不動産オーナーを対象に家賃減額総額の約8割、1オーナーあたり最大200万円補助
- 福岡市⇒上限50万円(賃料の8割)
- 鎌倉市⇒売上5%減を条件に2ヶ月間の賃料、最大100万円補助
また、最近の動きとしては、テイクアウトを始めている飲食店が増えてきていることから、テイクアウト支援事業と銘打って、テイクアウト、デリバリーをしている事業者に対し、
- 和歌山市最大10万円(補助率1/2)
- 福岡市1店舗あたり10万円
- 神戸市飲食店のUber Eats手数料の約4割を負担
などテイクアウト、デリバリーを支援する自治体が広がっています。
ちなみに本市は…
http://www.city.kawasaki.jp/280/page/0000116918.html
テイクアウトやデリバリーができるお店をまとめサイトでご紹介のみ…もちろん、見ていただいてご活用いただければと思います。
優先順位
商品券を喜ぶ方ももちろんいらっしゃいます。じもと応援を目的としたプレミアム商品券そのものを全て否定するわけでは決してありません。しかし、
はたして今なのでしょうか?
なによりも考慮しなければならないのは、今すぐに支援を必要としている方々の実態であり、その方々に行き届くような支援策です。少なくとも休業協力金、固定費補助、テイクアウト支援事業に取組む上記の他都市は実態を考慮し、現状に目を向け、声に耳を傾けているように映ります。
ちなみに、残念ながら現在のところ、本市同様にプレミアム商品券を販売する自治体の動きはありません。
補正予算総額約1800億円。しかし予算書によると、財源は全て国の国庫支出金と県支出金となり、川崎市独自の財政出動はありません。
今、やるべきことは、窮地に立たされている事業者に目を向け、耳を傾け、本市独自で予算措置を講じ、川崎市でくらす方々の明日を守る「緊急生活支援」ではないでしょうか?
明日、13日より補正予算に関する代表質疑がはじまります。