ストローレスパックから見える課題。
今年度から、学校給食の牛乳がストローレスパックに変更されました。
「子ども達の声をうけて」
「環境効果も明確」
ふと、一点の曇りもない良い取組みのように映りますが、様々な声が届いています。
考えてみればそうか…
ストローがなくなったことにより、牛乳パックに直で口を付けて飲むことになります。でも、普段冷蔵庫にある牛乳パックに直接口を付けて飲むようなことはしません(私が500CCの紙パックをグビグビ飲んでいたのは中学生ぐらいだった記憶も)。
特に小学校低学年は小さな手で普段やっていない飲み方をするわけですから、衣服にこぼれることも…
こぼれるのは牛乳です。そのまま午後の授業、放課後に遊んだりして、臭いが付着することに…
そこで本市のお知らせには「その他」の所に、配慮が必要な児童生徒(小学1年生など)については、環境に配慮したストローを提供いたします。と記載があります。
学校によっては、低学年はストローを使用している等、学校ごとに様々な対応をしているというのが教育委員会の認識です。
しかし…
聞こえてくる声は…
児童や保護者がストローを希望しても
「できるだけストローを使わず飲んで欲しい」
「ストローを提供しすぎると在庫がなくなってしまう」
「みんなこぼさないで飲んでいる」
一方で先生からはこんな声も…
「3月までストローで飲んでいたのに、いきなり4月からストローなしというのは急すぎる。低学年への対応が大変」
よくお聞きする教育委員会の突然の、一方的な決定。特にコロナ禍に入ってから一斉臨時休業、限られた環境下でのオンライン授業等々、教育現場からの混乱の声は後を絶ちませんでした。
教育委員会はこういった反省をせず、また突然の決定で現場に放り投げたのでしょうか?
聞き取り
担当の方に聞き取りを行ないましたので、以下、ご紹介いたします。
Q1 この決定はいつ現場に周知されたのか?
A1 2月20日付けで各校長宛に通知を行なった。
Q2 ストローの配備は各学校にどれぐらい行なったのか? 在庫切れになったらどうすれば良いのか?
A2 ストローの在庫が少なくなった時点で各学校はメグミルクにストローの発注をする流れになっているので、在庫切れということはない。
Q3 保護者からは様々な声が届いている。一定期間を設けてアンケートを実施し、より良い取組みにするべきでは?
A3 実施直後に数校ピックアップして栄養士にヒアリングを行なった。また牛乳パックに直で口を付けて飲むことについては指摘を受け、希望があった場合はストローだけでなく、家庭から持ってきたコップに移して飲む等、柔軟な対応を行なうよう4月19日付けで各校長宛に通知を出した。
まとめ
ここまでの聞き取りでは、教育委員会はやることをやっている。という印象を受けるかもしれません。ここをご覧になった方は、ぜひこの方針を担任の先生等にもご確認、ご紹介いただき必要な配慮についてご相談をしていただければと思います。
またやりっぱなしではなく、子ども達、先生、保護者を対象にしたアンケートについても、引き続き求めていきたいと思っています。
しかし教育委員会がよく使用する「柔軟な対応」。
これは、いわゆる個々の子どもの状況に応じた対応とも理解できるのですが、先生方がそうありあたいと思っていっても、容易ではないというのが現在の学校現場の状況ではないでしょうか?
まず給食時間。小学校の給食時間は45分。しかしその時間内に配膳、片付けもあります。
以前、川崎子ども会議で子どもから市長に「給食時間が短すぎる」という意見がありました。
市長は「そこは先生方に努力していただく必要があると思います」(添付ページ議事録12ページあたり)
川崎市教育委員会:川崎市子ども会議 カワサキ☆U18【動画配信あり】 (city.kawasaki.jp)
と発言していますが、現場の先生に聞くと
「これだけキツキツのカリキュラムでどこを努力すればいいの?その後の掃除やめる?」
といった声が聞こえてきます。
そして児童生徒数。
今年度本市は国の方針に基づき小学校4年生まで35人学級となりますが、まだ35人です。
限られた時間で30人以上の低学年を相手に、この子はストロー、この子はコップといった、きめ細かい柔軟な対応がもれなく全ての学級で可能となるでしょうか。中には決まったことだからストローレス一律で対応。といった判断となってしまうこともあり得るのではないでしょうか。
学校給食牛乳のストローレス対応ひとつ取ってみても生じる教育委員会と学校現場の温度差。
そしてそのシワ寄せは、結局子ども達に…
改めて他会派の皆さん、子ども達に寄り添い、行き届いた教育(食育)の実現の為にも、市独自の少人数学級推進を求める請願に反対している場合ではありません(新議会に期待を込めて)。
他会派だけではありません。ストローレスパックの対応から見える課題。それは結局、詰め込まれた授業時数、人手が足らない現状等、柔軟な対応など容易ではない川崎の教育現場の現状を露わにしている気がしてなりません。
福田市長、もっと教育に、子ども達に予算が必要です。結果そこに帰結します。
ぜひ引き続き、様々な声をお寄せ頂けたら幸いです。
全ては川崎で学び、遊び、育つ子ども達のために。