市税のクレジットカード納付について
友人からこんな問い合わせが。
「川崎市の固定資産税、クレジットカードで納付しようと思ったんだけど、手数料高すぎない?」
①市税クレジットカード納付利用者負担額(割合)
実際に市のHPを確認してみると
川崎市:インターネットを利用した市税のクレジットカード納付 (city.kawasaki.jp)
手数料ではなく、システム利用料と記載、利用者が負担するシステム利用料の%を計算してみますと(小数点第2位の四捨五入)
- 10001円の場合⇒10221円 2.2%
- 20000円の場合⇒20220円 1.1%
- 20001円の場合⇒20331円 1.7%
- 30000円の場合⇒30330円 1.1%
- 40001円の場合⇒40551円 1.4%
- 50000円の場合⇒50550円 1.1%
- 100001円の場合⇒101211円 1.2%
- 110000円の場合⇒111210円 1.1%
となり金額が低く、〇万円の端数が小さいほど利用者負担割合は高い傾向に。
具体的に市税とは、市県民税、軽自動車税、固定資産税を指します。市県民税や固定資産税は収入等によりそれぞれになりますので、例えば、軽自動車税ですと
グリーン化特例を受けない平成27年4月以降の4輪乗用自家用車(軽)は10800円、
- 10800円+220円(手数料)=11020円 2%
2%のシステム手数料を負担することとなります。
ん? ところでクレジットカード払いの時って1、2回払いの時は手数料取られないのが原則ではなかった? これが利用者にとって高くない?と疑問を抱かせる原因では?
②手数料(システム利用料)を徴収する根拠
担当の方に聞きとりをしたところ、国の通知に基づき、運用しているとのこと。以下、国の通知を添付いたします。
端的にまとめますと、
- 利用者によるカード決済等で納付が行われ、地方団体(川崎市等)に指定納付受託者(カード会社等)が納付した後、利用者から受託者へ代金が支払われるまでの間のタイムラグが生じ、受託者はリスクを負う一方、利用者は納付繰り延べ等の利益を得る。
- 国税については、国が支払う事務取扱手数料とは別に、利用者が一定の手数料を負担する仕組みになっている。 以上のことから、地方団体が負担に係わる上限額を定め、それを超える部分を利用者本人が負担することが適当。
とのことです。ところで、「地方団体が負担に係る上限を定められる」とありますので、他都市はどのような負担額(割合)になっているのか主に政令市を調査してみました。
③他都市との比較
横浜市⇒同額(同割合)
システム利用料試算 │ F-REGI 公金支払い – 横浜市税 納付サイト – クレジットカード納付
納付額を入力すると自動計算できる仕組みとなっており、利用者負担は本市と同額(割合)に。
相模原市⇒本市よりやや安く、特に低額納付の場合、手数料を一律加算していない。
10800円の場合⇒10965円 1.5%(本市2%)
全体的に若干安く、特に5000円までの手数料が本市に比べて半額(本市55円)、また5001円以降も一律の加算(本市110円一律)ではなく、納付額が低いほど低く設定しており、負担割合の差を軽減、公平性を担保しているねらいがあるかもしれません。
大阪市⇒本市よりも相模原市よりも低料金。
システム利用料試算 │ 大阪市税 納付サイト:F-REGI 公金支払い
10800円の場合⇒10925円 1.1%(本市2%)
一律加算だが、84円と本市(110円)よりも安く、10000円までが41円と相模原市の半額の為、相模原市よりも低料金に。
名古屋市⇒最安値できめ細かい料金設定
名古屋市:クレジットカード納税(暮らしの情報) (city.nagoya.jp)
10800円の場合⇒10855円 0.5%(本市2%)
加算も一律ではなく、料金設定も他都市の1万円単位ではなく、5000円単位となっており、額による負担割合の公平性を限りなく担保しようという意図が伺えます。ちなみに、納付額が15万円の場合、
- 川崎市 151650円(手数料1650円 1.1%)
- 名古屋市 151086円(手数料1086円 0.7%)
差し引き564円。お手軽ランチ1食分相当の差が確認できました(他都市との差については、まとめの所で少し触れます)。
④妥当性
改めて、本市のHPを見てみますと、
システム利用料は、本市の収入ではなく、指定納付受託者(カード会社等)の収入になるとあります。クレジットカード決済が増えれば増えるほど、受託者の利益になるという構図なのですが、
本来、一般のお店でクレジットカード決済(1〜2回払い)をすると手数料を値段に上乗せされることは原則ありません(例外はあるようですが)。それは、お店がカード会社に加盟店手数料を支払っているからです。例えば家電量販店で「現金ポイント還元」なんて言葉は、手数料が発生するか否かが背景にあります。
ではその手数料はどれぐらい?
金額の3%台が中心とのことです。
参考ページクレジットカード決済で加盟店が支払う手数料はいくら?消費者との違いは?|クレジットカードの三井住友VISAカード (smbc-card.com)
3%…
小規模事業者の方々にとっては大きすぎると感じます。現在、国が1/3を補助しているようですが、それでも2%…
メリットについて、上記のHPには利用者が増える、利用単価が上がる等ありますが、キャッシュレスが当たり前になれば利用者増の効果は薄いでしょうし、小さなカフェ等では単価が上がる期待は薄いです。
納税の話に戻します。3%を基準にすると、市が指定納付受託者とどのような契約をしているかがポイントです。担当の方に確認したところ、以下の資料が出されました。
少し解説します。
〇昨年度実績
約13万4千件 約53億円(うち固定資産税が約63%)
〇指定納付受託者
株式会社エフレジ(システム担当)
三菱UFJニコス株式会社 株式会社ジェーシービー(カード会社)
〇契約形態
契約名:川崎市税クレジットカード収納業務委託契約(今年度より4年契約)
契約金額:令和4年度 561880円(初期費用あり)
令和5年度~7年度まで 341880円
本来、民間での契約であれば、カード・システム会社には店舗等から53億の3%で1億5900万円の収入が得られるところ、本市の場合の利用者負担は1%~2%、固定資産税が多いということであれば、10万円以上は1%台となりますので1.3%と仮定して、カード会社への収入は6890万円、そこに本市の委託契約金額341880円を足しても、一般の契約だった場合よりも約9000万減収ということになります。
もちろん公共料金を支払えるということで、カード選びの際の選択肢の一つになる等、カード会社のメリットもあります。
また市が委託契約金額をもっと増やせば…というのも、現金納付されている方にとっては関係のない話ですから、公平性から考えても簡単な話ではありません。
そもそも3%が高すぎる…という議論はさておき、カード会社にとっては一般の契約と比べて、かなり収益が少ない事業であるという点において、メリットを加味したとしても、
妥当ではない。
と断言することは難しいと考えますが、
皆さんはどうお感じになったでしょうか?
⑤まとめ
他都市との差について、市へ質問したところ、
契約時期が一番の違いではないか? 川崎市は導入が遅かった。本市より先に導入していた政令市については、当初カード会社もまずは浸透をさせようと、手数料を低く設定して契約していたと思う。全国で広がりつつある現在、今後契約を更新していくなかでカード会社も手数料を上げてくると思う。
とのこと。
うーん…
はたして…
今後も、他都市の料金設定状況を注視しながら、本市の手数料の妥当性について継続してチェックしていくこと、また名古屋市のように5000円単位の料金設定のような、市民の皆さんにとってのきめ細やかな対応を見る限り、
本市の事業は改善の余地あり。
ということが分かったところで、今回の調査はここまでとさせていただきます。
なかなか決め手に欠ける結果となりましたが、皆さんが市税をカードで納付する際の判断材料にしていただけたら幸いです。
最後に
改めてキャッシュレス決済の手数料の高さを再認識し、小さなカフェ等では現金で支払おう。と心に決めた調査となりました。
引き続き、皆様の声、ささいな疑問、ドシドシお寄せ下さい。
時間の許す限り、調査、要望させていただきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。