日本共産党
川崎市議会議員(中原区)

市古次郎

ブログ
2021年12月20日

一般質問② 就学援助のうち修学旅行費について

※正式な議事録ではありません。

就学援助のうち修学旅行費について教育次長に伺います。

設問1

 就学援助について、本市のホームページでは、「お子さんを市立小・中学校等へ通学させるのに経済的な理由でお困りの方に対して、必要な費用を援助する制度を設けています」と書かれています。この補助対象項目については、国が示したものと本市とは相違があるわけです。

就学援助制度について(就学援助ポータルサイト):文部科学省 (mext.go.jp)

川崎市教育委員会:令和3年度川崎市就学援助制度のお知らせ (city.kawasaki.jp)

 私達は先の代表質問でも国の補助対象項目に挙げられているPTA費等も本市の援助項目に入れるよう要望しているわけですが、なかなか前向きな答弁はいただけません。一方で修学旅行費は本市の援助対象項目に含まれているわけですが、

なぜ修学旅行費を援助項目に含めているのか、その理由を伺います。

答弁1

 就学援助についての御質問でございますが、

 就学援助制度につきましては、経済的理由により就学することが困難と認められる児童生徒の保護者等に対し、就学援助費を支給することにより、児童生徒等の就学を奨励することを目的としているものでございまして、修学旅行費を含め就学に必要な経費について、支給対象としているものでございます。

設問2

 就学することが困難と認められる児童生徒の保護者に対し、必要な経費について修学旅行費も含め、支給対象としているとのことですが、この制度は実費、後払いという建て付けから「毎月の積立が厳しく、子どもを中学の修学旅行に参加させるのを諦めてしまう家庭がある」という声が届いています。中学校の修学旅行費については、6万円を超えるとのことですから、この額を事前に支払うというのは、答弁にあった困難を抱える就学援助世帯にとって、大きな負担になります。

 先の議会でも取り上げましたが、(ディスプレイお願いします)

 事前の調査でコロナ禍前の2019年度、中学校3年生の就学援助対象1492人のうち127人が修学旅行に不参加であること。中でも生活保護世帯は256人中45人、5.7人に1人が不参加という実態が明らかになっています。この実態に対して、経済的な理由なのか、その他の様々な理由で不参加となったのか、まずは実態を調査すべきではないでしょうか。伺います。

答弁2

 実態調査についての御質問でございますが、

 児童生徒の修学旅行不参加の理由につきましては、プライバシーに触れるケースも含め、様々な背景がございますので、日頃から学校と情報共有を図りながら実態把握に努めてまいります。

設問3

 様々な事情があるのは理解します。ただし、生活保護世帯では5.7人に一人が旅費が支援されるのにも関わらず、一生に一度の修学旅行に不参加となっている。もしこれが経済的な理由であったとすれば、決して看過できない事態だと思います。まずはしっかり学校側と情報共有していただき実態把握に努めていただきたいと思うんですが、その学校との連携ということにも重なるんですが、先の議会では「中には柔軟な対応もしている」という答弁がありました。しかし、学校、旅行代理店の現場では全くそうはなっていません。これは実際にお聞きした事例ですが、学校に相談を持ちかけても、学校側は「契約は旅行代理店と保護者が結んでいるので、旅行代理店に相談して欲しい」旅行代理店に相談しても、「あくまで契約相手なので、個々のご家庭のご事情を考慮して対応はできない。約束の支払いができなければ契約できない。」という対応だったそうです。現場は相談に乗る環境など全く整っておらず、柔軟な対応とはほど遠い状況です。答弁の通り相談があった場合は柔軟な対応もできるとするならば、この現状をどう改善していくのか、伺います。

答弁3

 修学旅行費についての御質問でございますが、

 御指摘のようなケースは学校から報告を受けておりませんが、児童生徒が、経済的な理由により修学旅行不参加となることがないよう、各学校や校長会と情報共有を図るとともに、旅行業者等とも適宜調整を行っておりますので、引き続き配慮に努めてまいります。

設問4

 校長会と情報共有いう答弁もありました。ぜひあらゆる機会を通じて、直接対応する学校の先生方にも相談に乗れる選択肢があるということを周知して頂ければと思います。

 さて柔軟な対応というのは、旅行代理店が本市からの後払いを認めるという方法になるわけなんですが、市から支給されるのはおおよそ2カ月後とのこと。旅行代理店にしてみれば、旅行出発前までに全額振込という契約の特例になるわけです。相手はあくまで民間企業ですから、後払いというのはいわば売り掛けになります。これは私も経験がありますが、売り掛けは極力作りたくない。毎月の売上を追いかけている民間企業の現場からしてみれば当然の心理です。そうではなくて、市が学校を経由してなどで旅行代理店に契約通り前もって支払えば、保護者、旅行代理店に対しても負担とならない解決策となると思うのですが、なぜそれができないのか伺います。

答弁4

 就学援助費の前払いについての御質問でございますが、

 就学援助制度における修学旅行費は、交通費、宿泊料、見学料等の実際にかかった費用を支給対象とし、実施後に上限の範囲内の実費を就学援助認定者に支給しておりますので、修学旅行の実施前に支給することは難しいものと考えております。

要望

 いわゆる実費支給が原則の為、実施前に支給するのは難しいという答弁でしたが、例外はあります。新入学準備(支度)金です。制服や体操着等の購入でまとまった費用がかかる入学準備を行う時期に、実費ではなく、前払いで中学校入学前では6万円(小学校入学時51,060円)を支給しています。

就学援助費の各項目の中で、もっとも高額なのは、入学準備金と同じく6万円を超える中学校の修学旅行費です。

見にくいですが、修学旅行費は上限66000円まで支給されます。

 複雑で様々な事情を抱えるご家庭のなかで、高額な修学旅行費について事前に支払うことができないことを、なかなか声に出せない方もいらっしゃるのではないでしょうか。児童生徒にとっては一生に一度しかない修学旅行です。相談があった場合の柔軟な対応、その相談体制の確立も進めていただきながら、修学旅行費も入学準備金同様、例外的な運用で前払いを可能とする等、あらゆる知恵を出し、一人として経済的な理由で修学旅行に行けない子どもを出さぬよう取り組むのが、就学援助の趣旨であり行政の責務です。この問題は引き続き調査、議論していくこを申し上げまして、次の質問へ移ります。


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