日本共産党
川崎市議会議員(中原区)

市古次郎

ブログ
2021年7月9日

代表質問抜粋 高齢者施設でのコロナ対応について

 7月8日、日本共産党川崎市議団は、川崎市に対し、「高齢者施設での新型コロナウイルス感染防止に関する要望書」を提出し、マスコミに対して記者会見を行いました(私はまちづくり委員会の視察で欠席)。

 

4月に発出された通知

 しかし、対応した市側は、6月議会の代表質問での答弁の通りと、要望書に対しての回答を控えました。そこで、その代表質問の内容をこちらでご紹介します。但し質問当時(6月10日)、施設での感染は拡大中で、感染者数等は当時の状況のままです。

 ※この高齢者施設で発生したクラスターは49名の方が感染者し、14名の方がお亡くなりになりました。謹んでお悔やみ申し上げます(6月15日収束)。

高齢者施設、介護事業所でのコロナ対策についてです。

※正式な議事録ではありません。

設問① 

 川崎市は、1月18日に福祉施設に対して入院調整、119番通報を制限する通知を出しました。本来、福祉施設から陽性者が出た場合は高齢者・障がい者の重症化を防ぎ、クラスターを防ぐためにも入院措置は不可欠です。私たちはこの措置は「命の選別」であり、感染拡大防止の観点からも撤回を求めました。しかし、いまだに解除されていません。第4波のなか、病床がひっ迫し陽性者を施設内で療養させた大阪府門真市や神戸市では高齢者施設でクラスターが発生し、多数の死亡者が出ましたが、本市でも幸区の高齢者施設で職員12人を含む47人のクラスターが発生し、入所者8名が死亡。うち、6名は施設内で亡くなられたとのことです。私たちが心配していたことが現実になっています。やはり、あの通知はただちに撤回し、施設内で陽性者が出たときは速やかに入院させるべきです。うかがいます。

答弁①(健康福祉局長)

 高齢者施設におけるコロナ対策についての御質問でございますが、

「神奈川モデル」においては、症状に応じて入院が必要と医師が判断した方に入院していただくことを原則としており、とりわけ高齢者施設におきましては、県から県内全施設あてに発出した「高齢者福祉施設における対応の手引き」に基づきノ池設内感染の予防・拡大防止刈策や、感染者が発生した場合の健康管理基準に即した対応に御協力いただいております。
 また、幸区内高齢者施設におけるクラスターにつきましては、保健所支所と施設嘱託医が連携して、患者とその家族に、症状が悪化した際の入院希望等について聞き取りを行い、御希望に沿った対応を行っており、入院が必要かつ希望される方については全員入院していただいております。
 なお、1月18日付け発出の文書につきましては、緊急性がない軽症・無症状であっても、施設からの119番による救急搬送要請が頻発し、真に必要な方々の速やかな入院が困難になるなど救急医療に深刻な影響が生じていたことから、医療現場の実情を踏まえた入院要請の月安をお示ししたものでございまして、その後県から施設療養の指針が示されたことを受けて、 2月12日付けにて同指針に即した対応を行う旨、施設あて通知したところでございます。

https://www.city.kawasaki.jp/350/page/0000114508.html

設問②

 答弁では「神奈川モデルでは、入院が必要と医師が判断した方は入院していただくことが原則」とのことですが、とりわけ高齢者施設においては陽性者が出た場合はクラスターや重症化を防ぐために、入院が原則でした。しかし、こういう原則を崩し、入院措置が遅れた結果、幸区の高齢者施設では職員14名を含む49名が感染し、入所者13名が死亡する事態となっています。症状が悪化する前に入院できたら救える命があったのではないでしょうか。市は、このような事態を起こした自責の念はあるのか、伺います。

答弁②(健康福祉局長)

  「神奈川モデノレ」においては、自宅・施設等の別なく、症状に応じて入院が必要と医師が判断した方に入院していただくことを原則としております。
 その上で、幸区内高齢者施設におけるクラスター対応にっきましては、発生時から現在まで、保健所支所と施設・嘱託医が連携して>患者とその家族に、症状が悪化した際の入院希望等について闇き取りを行った上、入院が必要かつ希望される方については全員速やかに入院していただいくおりますことから、適切に対応しているものと考えているところでございます。

設問③

 高齢者施設におけるコロナ対策について、市長に伺います。

 入院の判断について、「神奈川モデルでは、自宅・施設の別なく、症状に応じて入院が必要と医師が判断した方」に対して入院措置をするとの答弁でした。神奈川モデルのスコアでは、75歳以上の高齢者で基礎疾患があれば、みな5点で入院対象になります。この施設の入所者については、陽性者のほとんど全員が入院対象です。県の「高齢者福祉施設における対応の手引き」では、

guidance.pdf (pref.kanagawa.jp)

 「陽性が確認された場合、原則は入院」と書かれており「県内病床が逼迫状況や感染者の病状等に応じて当該施設での療養をお願いする場合がある」と述べています。陽性者は入院が原則であり、現在、県内病床は逼迫状況にはなく、感染者の病状はスコアで判断されるので、スコアが5点以上であれば入院措置は必須のはずです。それなのに陽性者35人のうち入院された方は12人ということで、23人の方が入院措置されず施設に残されました。

 「症状が悪化した際の入院希望」をとったという答弁でした。しかし、県のしおりでは、希望をとるのは「県内病床が逼迫していて、当該施設での療養」を余儀なくされている方に対してです。しかも、県の担当者に入院判断について聞いたところ「病床の状況を見て、あくまでも保健所の判断で振り分ける。ご家族の判断にゆだねることはない」とのことでした。「入院を希望された方は全員入院している」との答弁もありました。ということは、自ら入院希望しなければ入院措置されなかったわけです。このように入院判断をご家族の判断にゆだねること自体、県の方針と違いますし、入院が必要な方が多数入院できなかったことは、重大な過失です。

 施設に残されている方が、症状が悪化しないように、この施設で検査や治療ができたのでしょうか。この高齢者施設には、感染者の症状を診るレントゲンやCTなど検査設備はありませんし、医療が必要な時に治療を行う装置もほとんどありません。市が入院措置を取らなかったために、検査も治療の設備もほとんどない施設で、重症化リスクが高い高齢者が放置された形となりました。また、死亡した方13人のうちの7人が施設で亡くなっているように、重症化してからも入院措置が取られない方が半分以上いました。悪化する前に入院措置を取っていれば助かる命はあったはずです。助かる命は助けるべきです。陽性がわかった段階で入院を勧めるべきだし、今からでも施設内に残っている方に入院を勧めるべきです、伺います。

 この対応について「適切な対応だった」という答弁ですが、この対応の結果、1つの施設から49人の感染者、13人の死亡者が出るという重大な事態を引き起こしたのです。このような深刻な結果が出ていても、「この対応は適切だった」というのか、伺います。入院希望者以外は入院できず、検査も治療もできない施設で放置され、重症化しても入院措置がされない、これは「命の選別」ではないのか、伺います。

答弁③(市長)

 まず、お亡くなりになられた方々にお悔やみ申し上けたいと存じます。
繰り返しになりますが、この度の案件につきましては、保健所・施設・嘱託医・ ご本人及びご家族の間において、医学的な知見並びにご本人・ご家族の思いを踏まえながらケアと治療の方針を共有した上で、必要かつ適切な対応を図っているものでございまして、「命の選別」には全く当たらないものと老えております。
 また、このことは事前に判断のルールや数値、ご家族の意向など御会派に詳細にわたって丁寧に説明をさせていただいいておりまして、その上での「命の選別」との誤った発言を繰り返すのは、御遺族の心情などにも配慮を欠くものと申し上げざるを得ません。

最終意見

 1月に市は福祉施設に対して、陽性者が出ても入院措置せず、入院調整、119番通報を制限する通知を出しました。わが党は3月議会で、この通知は施設内にクラスターを広げ、高齢者の命を危険にさらす「命の選別」だと追求してきました。第4波では、川崎市と同様の措置を取った大阪や神戸で高齢者施設でのクラスターが発生し多数の方が亡くなった事例が多発。それでも市は、この通知を撤回しませんでした。そして、5月末に幸区の高齢者施設で、49人の方が感染し、13人が死亡するという重大事態が起こりました。市は、希望を聞くという形をとり入院判断を家族の判断にゆだねましたが、これ自体県の方針とも違いますし、実際に市が行ったことは「命の選別」でした。

 入院希望者以外は入院できず、検査も治療もできない施設で放置され、重症化しても入院措置がされない、まさに「命の選別」そのものでした。市長は「命の選別と発言するのはご家族の心情に配慮を欠くもの」という答弁をしました。しかし、入院措置をすれば救えた命を救わなかった対応こそ「ご家族の心情に配慮を欠く」ものではないですか。13人の命が失われたのに、市は「この対応は適切だった」と強弁し、反省の言葉も一言もなく開き直りました。人の命を軽視する姿勢が明らかになりました。高齢者施設内の陽性者は、速やかに入院措置を取ることと、陽性者は入院させるという原則を堅持することを求めます。

※7月9日、読売、東京、神奈川新聞の3社が記者会見の模様を報じましています。


新着情報

わくわくプラザの夏休み期間中の配食サービスについて
ブログ
わくわくプラザの夏休み期間中の配食サービスについて
等々力緑地再編整備、市民のスペースや樹木が危ない!?
ブログ
等々力緑地再編整備、市民のスペースや樹木が危ない!?
市政レポート10月号
ブログ
市政レポート10月号

タグ

過去記事一覧

PAGE TOP