日本共産党
川崎市議会議員(中原区)

市古次郎

ブログ
2021年7月16日

高齢者施設のコロナ対応についての解説

 日本共産党川崎市議団として6月議会では代表質問で取り上げ、議会閉会後も市へ要望書を提出し、改善を求めている市の新型コロナウイルス高齢者施設の対応について、改めて解説します。

1、事実関係

 5月20日頃、市内高齢者施設で約30名の陽性者が確認され、新型コロナウイルスによる集団感染が発生。その後6月15日の収束まで49名が陽性となり、14名の方がお亡くなりになりました。

 お亡くなりになられた方々には、謹んでお悔やみ申し上げます。

2、行なわれない入院措置

 陽性となった方の内訳は、利用者35名。職員14名。利用者35名のうち23名の方に入院措置が行われず、施設内でお亡くなりになった方は8名を数えました。

 なぜ入院措置が行われなかったのでしょうか? 市は私たちの代表質問に以下のように答弁しています。

「保健所支所と施設嘱託医が連携して、患者とその家族に、症状が悪化した際の入院希望等について聞き取りを行い、ご希望に沿った対応を行っており、入院が必要かつご希望される方については全員入院していただいております」

 市はこの答弁の文言を再質問でも繰り返しており、答弁の肝の部分であることが伺えます。少し読み解きますと…入院の条件は

  • ご希望に沿った対応
  • 入院が必要かつご希望される方

 接続詞が「かつ」ですので、入院措置を取る条件は入院をご希望される方ということになります。つまり、ご家族の判断に委ねたことになるわけです。 

3、入院措置の判断が、ご家族の判断に委ねられる?

 一体いつからそんなルールになったのか?市は「神奈川モデル」「高齢者福祉施設における対応の手引き」に沿った形として県の指針を根拠として挙げていますが、その手引き(しおり)には…

 原則は入院ですが

  • 県内病床の逼迫状況
  • 感染者の病状等

 に応じて施設での療養をお願いする場合がある。としており、ご家族に判断を委ねるとはどこにも記載がありません。それでは県内病床が逼迫していたのか?

 グラフは県のHPから引用したものです。ラインのあたりが5月20日前後になりますが、オープンデータによると5月20日時点で即応病床1474床に対し全入院者数580名。速報病床使用率39%で逼迫している状況ではありません。

県内の最新感染動向 | 神奈川県 新型コロナウイルス感染症対策サイト (pref.kanagawa.jp)

 となると、感染者の症状等により入院措置を取らなかった?となりますが、これはあくまでも無症状、軽症の方を対象にするもので、中等症、重症の方に用いるものではないはずです。

 念のため、私は君嶋県議を通じて、神奈川県の担当の方に聞き取りをしていただきました。回答は

入院措置については、病床の逼迫状況、感染者の症状(医師の判断)を考慮し、保健所が入院調整を行なうもので、ご家族の判断に委ねることはない

 というものでした。

4、施設側の負担は計り知れない。

 高齢者施設にある医療器具は酸素吸入器ぐらいだったとのこと。酸素療法という療法を少し調べるだけでも、酸素量、濃度など単純なものではなく、感染者の方の症状に応じて療法が行える器具が施設に揃っていたのか?また入院ができていれば、医療現場では酸素を用いた新療法も直近のニュースでは報じられています。

「鼻から大量酸素」コロナ新療法広がる 家族と電話も [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル (asahi.com)

 加えてレントゲンやCTも行なうことができない施設で、どのように症状の経過を判断することができたのか? 

 食料や水分が摂れなくなってしまった場合、点滴等の対応ができたのか?

 そしてなにより、その様な状況で、感染者の対応に当たられた嘱託医、職員の方々、施設側の負担は計り知れません。

5、原則とはなにか?

 ここまでの当該高齢者施設に対する市の対応は、「ご家族の判断に委ねる」という神奈川県の方針からも逸脱した対応になっていると言わざるを得ません。こういった対応は、川崎市の入院率の低さ(直近では、神奈川県平均22%、相模原市36%、横浜市26%、川崎市13%)と何か関連があるのでは?とも思ってしまいます。

 加えて病床が逼迫していない状況下での、この川崎市の対応は、5月に神戸、大阪市で発生した高齢者施設でのクラスターにより入院先が見つからず施設でお亡くなりになってしまった事案とは全く異なるもである。ということも指摘しておきます。

 やはり、陽性が確認されたら入院という原則に立ち返るべきです(その為には病床確保の取組も継続して必要です)。

 入院先で適切な医療を受け、それでも症状が悪化した時に改めて、ご家族のご意向を確認するべきです。

 市民の命を守る。これが自治体の大原則です。

最後に

 明日、川崎市は私達が提出した要望書(前のブログに添付しています)に対する記者会見を行なう予定とのことです。

 しっかり市の説明をお聞きしたいと思います。


新着情報

わくわくプラザの夏休み期間中の配食サービスについて
ブログ
わくわくプラザの夏休み期間中の配食サービスについて
等々力緑地再編整備、市民のスペースや樹木が危ない!?
ブログ
等々力緑地再編整備、市民のスペースや樹木が危ない!?
市政レポート10月号
ブログ
市政レポート10月号

タグ

過去記事一覧

PAGE TOP