第5回市議会定例会代表質疑⑤被災者住宅対策事業費について
被災者住宅対策事業費について
歳出費 179,000,000円
(概要)災害救済法に基づき、台風で被災した住宅の応急修理を実施するための費用を計上するもの
被災者住宅対策事業費について(担当 井口市議)
台風19号による川崎市内の物的被害状況は、11月12日の時点で全壊38件、半壊753件、一部破損128件、床上浸水1011件、床下浸水344件、非住家被害(全壊・半壊)45件となっています。予算案では、災害救助法に基づき台風で被災した住宅の応急修理を実施するためとして、当面、半壊以上が約200軒、準半壊が約200軒程度と想定して、1億7900万円余が計上されています。この制度は、半壊以上の場合は59万5千円ですが、「準半壊」は30万円で、「準半壊」とは建物の壁、屋根、床の面積全体のうち、10%から19%に被害がある場合で、2階建ての場合、準半壊にもならない事例が出ています。住宅は一度浸水すれば、その階は全く生活ができなくなります。壁の中の断熱材は床から天井まで張られており、水を吸って壁全体をはがして取り換えなければならないなど、大きな工事にならざるをえません。床上浸水にあった方からは「準半壊と判定されなかったが、修理の見積もりをとったら合計400万円程度かかることになった。全額自己負担だ」と述べています。災害救助基準の但し書きには「この基準によって救助の適切な実施が困難な場合は…救助の程度、方法及び期間を定めることができる」とされており、被災の実態に沿って支援を手厚くするべきと思いますが、伺います。
鳥取県では、2017年の鳥取県中部地震の被害を受け、住宅損壊割合が10%以上の世帯には上限30万円の支援、10%未満の世帯には1万から5万円の支援を行っています。また、この地震の被害では屋根の被害が多かったので、屋根の修繕に対して、事業者に原材料費などを30万円支援する制度や、生活困窮者が屋根を修理するための補助を30万円から58万4千円行う制度も作りました。本市においても、水害から一日も早く元の生活に戻れるようにするために、応急修理制度にあてはまらない被災住宅にも支援する、独自の補助を創設すべきと思いますが、うかがいます。
答弁
今回の台風第19号により被災された方への対応におきましては、本市独自の取組といたしまして、浸水被害が集中している地区を対象に、プッシュ型口―ラー方式による建物被害認定調査を実施し、そこで寄せられました御相談等につきましては、区役所等を通じて関係部署へ繋いでまいりました。
また、中原区では被災地域の要援護者を対象に、高津区では被災地域における75歳以上の単身世帯を対象に、多摩区では被災地域の要援護者を対象に、保健師等の職員による戸別訪問や電話相談など、各区役所において地域キH談を実施したところでございます。現時点での被災者支援につきましては、櫂災証明書を迅速に発行する段階から、被災された方の二ーズに応じた支援メニューの提供の段階に移ってきたところでございまして、今後、支援メニューにない相談があった場合につきましても、関係部署が連携し、調整していくこととしております。
再質問
応急修理制度を利用しても補助額が小さい、または応急修理制度に当てはまらない被害の方たちに市独自の支援を求めましたが、いずれも行わないという答弁でした。京都市は、政令市初の制度として、昨年度「京都市被災者住宅再建支援金」制度を創設しました。これはり災証明で全壊、半壊、一部損壊、床上浸水の被害認定を受けた世帯に対し、基礎支援金は5万円、さらに、加算支援金として、全壊の住宅の建て替えや購入には上限295万円、床上浸水でも上限45万円を支援するものです。工事を終了した場合も申請できます。
今回の浸水で住宅に泥が入った方から「被災から1か月以上たっても、いまだに直すことができず、かび臭いなかで暮らしている」と切実な訴えがありました。一日も早く直したいが、突然の災害に本当に困っているのです。まずは住宅の改修などに支援するというのは自治体の当然の姿勢ではないでしょうか。京都市のような制度を新設すべきですが、伺います。
答弁
災害救助法に基づく応急修理制度のほか、大きな被害 を受けた住宅について補修や建替え等を行う場合に、「公益財団法人都道府県センター」が最大300万円を支給する被災者生活再建支援制度などがございます。また、被害の程度に関わらず、住宅金融支援機構において、建替えや補修等のための資金を低利・長期固定で融資する制度が用意されているところでございます 新たな補助制度につきましては、現時点では創設することは考えておりませんが、関係機関と連携のもと、これらを活用し、適切な支援に努めてまいります。
※参考サイト 京都市被災者住宅再建等支援金
https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/page/0000242883.html